寄席夫婦喧嘩
また新作落語を作ってしまいました。
寄席と夫婦喧嘩という、場所と出来事の組み合わせです。
静かに聞くべき場所で喧嘩するなんて、我ながら迷惑な設定ですね。
寄席で始まった夫婦の大喧嘩
あらすじ
人気の寄席で、夫婦連れの茂吉とお松が落語を聞いていた。
高座では若手の噺家が「芝浜」を演じている。
噺家:「『また夢になるといけねえ』」
茂吉:「いい話だなあ」
お松:「ちっ、男はいいわね。女房が苦労するのよ」
茂吉:「なんだよ、急に」
お松:「あんただって、酒ばっかり飲んで」
茂吉:「しっ、みんな聞いてるぞ」
—
お松の声は次第に大きくなっていった。
お松:「芝浜の亭主とあんた、そっくりじゃない」
茂吉:「俺は財布なんか拾ったことねえよ」
お松:「拾う前に、働きなさいよ」
茂吉:「働いてるだろ」
お松:「月に三日じゃ、働いてるうちに入らないわよ」
隣の客:「ちょっと、静かにしてくれないか」
—
しかし夫婦喧嘩は止まらない。
茂吉:「お前だって、無駄遣いばかりしてるじゃねえか」
お松:「何が無駄遣いよ」
茂吉:「この前の櫛はどうした」
お松:「あれは必要なものよ」
茂吉:「三本も買う必要あるか」
高座の噺家も気になり始めた。
噺家:「え〜、なんだか客席が賑やかで…」
—
とうとう周りの客も巻き込まれた。
客 A:「奥さんの言う通りだ」
客 B:「いや、旦那の肩を持つね」
客 C:「どっちもどっちだろ」
寄席中が二派に分かれて言い争いを始めた。
噺家:「あの〜、落語の続きを…」
客達:「今はそれどころじゃない!」
—
噺家も困り果てた。
噺家:「じゃあ、私も一言。夫婦喧嘩は犬も食わないって言いますが…」
茂吉:「若造が何を偉そうに」
お松:「そうよ、あんたに何が分かるの」
噺家:「いや、私も結婚してまして…」
茂吉・お松:「じゃあ、あんたはどっちの味方だ!」
噺家:「え?どっちって…」
—
結局、噺家も喧嘩に巻き込まれ、高座はめちゃくちゃに。
寄席の主人:「もう今日はここまで!」
客:「えっ、落語は?」
主人:「落語より面白い『生の夫婦喧嘩』を見られたんだから、いいじゃないか」
噺家:「そうです。今日の演目は急遽『寄席夫婦喧嘩』に変更させていただきました」
茂吉:「俺たちが演目かよ!」
お松:「出演料もらえるの?」
二人は急に仲良くなって、金勘定を始めた。
まとめ
寄席で夫婦喧嘩を始めて、それが演目になってしまうという強引な話でした。
落語を聞きに来て、生の夫婦喧嘩を見せられる客も災難ですね。
でも、案外そっちの方が面白かったりして…
いや、やっぱり迷惑ですね。すみません。


