嘘つき見栄
性懲りもなく新作落語を作ってしまいました。
嘘つきと見栄っ張りという、どちらも困った性格を組み合わせてみました。
まあ、私の落語作りも似たようなものですが…。
見栄っ張りが嘘で塗り固めた末路
あらすじ
見栄っ張りの弥助が、幼馴染の金持ち・佐吉と十年ぶりに再会した。
佐吉:「おう、弥助じゃねえか。久しぶりだな」
弥助:「これは佐吉さん。お変わりないようで」
佐吉:「おかげさまで商売も順調でな。お前はどうしてる」
弥助:「い、いやあ、私も店を三軒ほど持ってまして」
佐吉:「へえ、大したもんだ。何の店だ」
弥助:「え?あ、その…呉服と…米と…あと何だっけな」
—
弥助は咄嗟に嘘をついてしまった。
佐吉:「三軒も持ってて、忘れるもんかね」
弥助:「いやいや、店が多すぎて把握しきれなくて。ははは」
佐吉:「それは羨ましい悩みだな。今度遊びに行ってもいいか」
弥助:「え?店に?」
佐吉:「ああ、場所はどこだ」
弥助:「場所は…その…日本橋と…浅草と…」
佐吉:「三軒目は?」
弥助:「三軒目は…移転中でして」
—
嘘は雪だるま式に大きくなっていった。
佐吉:「そういえば、結婚はしたのか」
弥助:「ええ、美人の嫁をもらいまして」
佐吉:「それはめでたい。子供は」
弥助:「三人います」
佐吉:「三人も!名前は」
弥助:「太郎と…次郎と…」
佐吉:「三人目は?」
弥助:「三人目は…今、名前を考え中で」
—
佐吉:「考え中って、もう生まれてるんだろ」
弥助:「いや、その…あまりに可愛くて、いい名前が思いつかなくて」
佐吉:「なるほど。で、住まいは」
弥助:「大きな屋敷に住んでます」
佐吉:「どの辺だ」
弥助:「えーと…山の手の…」
佐吉:「山の手のどこ」
弥助:「山の…上の方です」
—
翌日、佐吉が仲間を連れて弥助を訪ねてきた。
佐吉:「弥助、実は商売の相談があってな」
仲間:「三軒も店を持つ弥助さんなら、いい知恵があるだろうって」
弥助:「あ、いや、その…」
佐吉:「謙遜するなよ。で、嫁さんは?」
弥助:「嫁は…実家に帰ってまして」
佐吉:「子供三人も連れて?」
弥助:「はい、三人とも…」
—
仲間:「ところで、ここが大きな屋敷?」
弥助:「いや、ここは仮住まいで…」
佐吉:「なんだ、全部嘘だったのか」
弥助:「す、すみません…」
仲間:「でも正直に白状したんだから、見込みがある」
佐吉:「そうだな。『正直な嘘つき』として有名になるかもな」
弥助:「それじゃ意味がないような…」
結局、弥助は「嘘つきだけど憎めない奴」として町内で評判になってしまった。
まとめ
見栄を張って嘘をつき続けた結果、「正直な嘘つき」という訳の分からない評価を得るという話でした。
嘘に嘘を重ねて自爆するパターンは、我ながらベタすぎます。
でも、正直に嘘を認める人って、確かに憎めないですよね。
…って、それじゃ褒めてることになっちゃいますね。


