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【AI落語】ユーザーネーム無限

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ユーザーネーム無限

誰もが知っている古典落語「寿限無」。

あの長い長い名前の話を、今回はSNS時代に置き換えてみました。原作では、生まれたばかりの子供に縁起の良い名前をつけようとして、お寺の和尚さんから教わった縁起の良い言葉を全部つなげてしまうという噺でしたが、これを現代のユーザーネーム決めに応用してみたらどうなるか。

インスタグラム、Twitter、TikTokなど、SNS全盛の時代ならではの「寿限無」をお楽しみください。

赤ちゃんとSNSデビュー

ときは令和の現代、場所は東京の下町。

この界隈でも評判のIT企業に勤める若夫婦、健太と美咲のもとに、待望の第一子が誕生しました。元気な男の子で、名前は「蓮(れん)」。シンプルで呼びやすい、今どきの名前です。

健太「いやー、ついに俺も父親かあ。なんか実感わかないなあ」

美咲「あなた、さっきから同じこと10回は言ってるわよ」

二人は病院の個室で、生まれたばかりの蓮くんを見つめながら、幸せに浸っていました。すると、健太がスマートフォンを取り出します。

健太「そうだ!蓮のSNSアカウント作らなきゃ」

美咲「え?もう?生まれたばかりよ?」

健太「いやいや、今の時代、早い者勝ちだよ。良いユーザーネームは早く取らないと、他の人に取られちゃう」

美咲「まあ、それもそうね。じゃあ、どんな名前にする?」

健太「うーん、普通に『ren』とか?」

スマホを操作する健太。しかし、すぐに顔をしかめます。

健太「ダメだ、もう取られてる。『ren_2024』は?」

美咲「なんか味気ないわね」

健太「じゃあ『ren_tokyo』…これもダメか。『baby_ren』…これも既に使われてる」

次々と試すものの、シンプルなユーザーネームは既に埋まっています。そこで美咲が提案しました。

美咲「ねえ、いっそのこと、世界中から縁起の良い言葉を集めて、特別なユーザーネームにしたらどう?」

健太「それいいね!一生使うものだし、縁起が良いに越したことはない」

世界中の縁起物を求めて

こうして二人は、スマートフォンを駆使して、世界中の縁起の良い言葉を調べ始めました。

健太「まずは日本から。『寿』これは外せないよな」

美咲「そうね。長寿の意味もあるし」

健太「英語だと…『Forever』永遠って意味だ」

美咲「中国語では『福』がいいんじゃない?」

健太「インドのサンスクリット語で『シャンティ』平和って意味らしい」

美咲「フランス語の『ボヌール』幸福よ」

健太「ドイツ語で『グリュック』これも幸運」

美咲「イタリア語なら『フォルトゥーナ』」

健太「スペイン語の『エスペランサ』希望だって」

美咲「アラビア語で『バラカ』祝福の意味」

健太「ギリシャ語の『エウダイモニア』幸福で満ち足りた人生」

どんどんエスカレートしていく二人。気がつけば、メモ帳には各国の縁起の良い言葉がびっしりと書き込まれています。

美咲「ねえ、数字も入れたほうがいいんじゃない?」

健太「そうだな。中国では『8』が縁起いいんだよな」

美咲「西洋では『7』がラッキーナンバーよ」

健太「日本だと『3』『5』『7』かな」

美咲「誕生日の『2024』も入れましょう」

暴走する名づけ

さらに二人の暴走は続きます。

健太「待てよ、絵文字も使えるんじゃない?」

美咲「あ!それいいわね!」

健太「ハートマーク、星、虹、クローバー…」

美咲「王冠、ダイヤモンド、桜…」

健太「そうだ!各国の国旗の絵文字も入れよう。国際的な子に育って欲しいし」

美咲「いいわね!日本、アメリカ、イギリス、フランス…」

さらに健太が思いつきます。

健太「特殊文字も使えるよ。『♪』とか『◎』とか『☆』とか」

美咲「記号も!『@』『#』『&』」

健太「大文字小文字も組み合わせて…」

美咲「数字とアルファベットを交互に…」

二人は夢中になって、どんどん文字を追加していきます。病室の看護師さんが様子を見に来ても、気づかないほどの集中ぶりです。

看護師「あの…面会時間もうすぐ終了ですけど…」

健太・美咲「はい!もうすぐ終わります!」

しかし、二人の作業は一向に終わる気配がありません。

完成したユーザーネーム

数時間後、ついに二人は満足のいくユーザーネームを完成させました。

健太「できた!完璧だ!」

美咲「世界一縁起の良いユーザーネームね!」

その名前とは…

@寿Forever福Shanti7Bonheur8Glück★Fortuna♪Esperanza2024Baraka◎Eudaimonia七五三🇯🇵🇺🇸🇬🇧🇫🇷🇩🇪🇮🇹🇪🇸❤️⭐🌈🍀👑💎🌸LuckyRen#Blessed&Happy∞

健太「よし、これで登録だ!」

しかし…

「文字数制限を超えています。15文字以内で入力してください」

健太「え!?」

美咲「文字数制限!?」

健太「じゃあ、少し短くして…いや、でもどれも外せない…」

美咲「じゃあ、他のSNSで試してみましょう」

しかし、InstagramもTwitterもTikTokも、どこも文字数制限があります。唯一、メールアドレスなら長い名前も可能でしたが…

健太「これだ!メールアドレスなら大丈夫!」

こうして、蓮くんのメールアドレスは、世界一長いものとなりました。

保育園での出来事

時は流れて3年後。蓮くんは元気に保育園に通い始めました。

ある日の朝、保育園の玄関で。

保育士「おはようございます!今日から緊急連絡用のメールアドレスを登録していただくことになりました」

健太「あ、はい。蓮のメールアドレスですね」

保育士「お願いします」

健太は、スマートフォンを取り出して、メールアドレスを見せます。保育士の顔が、みるみる青ざめていきます。

保育士「え…えーっと…」

健太「あ、読み上げますね。アットマーク、寿、Forever、福、Shanti、7、Bonheur、8…」

15分後。

保育士「…すみません、もう一度最初から…」

健太「アットマーク、寿…」

他の保護者たちが、続々と登園してきます。しかし、玄関は健太と保育士で塞がれたまま。

母親A「あの…すみません、通してもらえますか?」

保育士「す、すみません!もうすぐ終わりますので!」

健太「…Blessed、アンド、Happy、無限大マーク、アットマーク…」

母親B「何やってるの?」

母親A「メールアドレスの登録らしいけど…」

30分経過。

保育士「(半泣き)も、もう一回…最初から…」

健太「え?また?じゃあ、アットマーク、寿…」

ついに列に並んでいた父親が切れました。

父親C「おい!いい加減にしろ!みんな仕事があるんだ!」

健太「す、すみません!もうすぐ…」

保育士「(完全に泣いている)私、もう無理です…」

小学校での悲劇

さらに3年後、蓮くんは小学生になりました。

担任の田中先生は、クラスの連絡網を作るため、各家庭のメールアドレスを集めていました。

田中先生「では、蓮くんのお家のメールアドレスを教えてください」

蓮「はい!えーっと…」

蓮くんは、必死に暗記したメールアドレスを言い始めます。

蓮「アットマーク、じゅ、えいえん、ふく、しゃんてぃ…」

クラスメイトたちがざわつき始めます。

生徒A「なにそれ?」

生徒B「呪文?」

蓮「ちがうよ!メールアドレスだよ!」

10分後。

蓮「…はーと、ほし、にじ、くろーばー…」

田中先生「蓮くん、もういいよ。後でお母さんに紙に書いてもらって」

蓮「でも、まだ半分も言ってない…」

クラス全員「ええーっ!?」

家族会議

その夜、健太と美咲の家では緊急家族会議が開かれました。

蓮「パパ、ママ、もう僕のメールアドレス、普通のにして」

美咲「でも、せっかく縁起の良い…」

蓮「友達に笑われるんだ。『お前のメアド、呪文かよ』って」

健太「うーん…でも、これだけ縁起を担いだんだから…」

蓮「この前なんて、懸賞に応募しようとしたら、メアド入力だけで締切時間過ぎちゃったんだよ!」

美咲「それは…」

蓮「オンラインゲームの登録もできない!メアドが長すぎてエラーになる!」

健太「…」

蓮「お願い!普通のメアドにして!『ren@』とかでいいから!」

改名への道

観念した健太と美咲は、ついにメールアドレスの変更を決意しました。

健太「分かった。じゃあ、新しいメアドを作ろう」

蓮「やった!」

美咲「でも、少しは縁起の良い要素を…」

蓮「ママ!」

健太「分かった分かった。シンプルに『ren_2024@…』でどう?」

蓮「うん!それでいい!」

こうして、世界一長いメールアドレスは、ついに引退することになりました。

しかし…

健太「あ、でも、各種サービスに登録してあるメアドを全部変更しないと…」

美咲「Amazon、楽天、ネットバンキング、保険会社…」

蓮「保育園、学校、習い事…」

健太「…100個以上ある」

美咲「全部にあの長いメアドを入力してたのよね…」

蓮「変更するのも大変だ…」

オチ

三人は顔を見合わせます。そして、健太がぽつりと言いました。

健太「なあ、蓮」

蓮「なに?」

健太「お前、将来子供ができたら、絶対に…」

蓮「分かってる」

美咲「何が?」

蓮と健太、声を揃えて。

「名前は『太郎』にする」

美咲「え?」

蓮「メアドは『taro』だ」

健太「これが一番だ」

美咲「ちょっと!縁起は!?」

蓮・健太「シンプル・イズ・ベスト!

そんな蓮くんも今では立派な高校生。

友達との連絡は全てLINEで、メールアドレスを使うことはほとんどなくなりました。

でも、たまに昔のメールボックスを開くと、あの長いアドレスからのメールが残っていて…

「送信者:@寿Forever福Shanti7Bonh…(以下省略)」

「件名:がんばって!」

「本文:蓮へ。パパとママより」

それを見るたびに、蓮くんは苦笑いしながらも、ちょっと温かい気持ちになるのでした。

まとめ

落語界の金字塔「寿限無」を令和のSNS時代に移植してみましたが、いかがでしたでしょうか。

名前の代わりにユーザーネームという着想で、現代ならではの「長すぎて困る」エピソードを盛り込んでみました。

元ネタでは、名前を呼ぶだけで日が暮れるという展開でしたが、こちらはメールアドレスを入力するだけで時間切れという、デジタル時代ならではのオチに。

でも結局、親の愛情が空回りするという本質は変わらないんですよね。

私も最近、パスワードを複雑にしすぎて自分でも入力できなくなったことがあるので、他人事とは思えません…。

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