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【古典落語】つづら泥 あらすじ・オチ・解説 | つづらで質屋泥棒を企んだ与太郎が、自分の家で自分の物を盗もうとする究極のドジ話

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話芸の殿堂-古典落語-つづら泥
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つづら泥

3行でわかるあらすじ

与太郎が質物を取り返すため兄貴分とつづらに隠れて質屋泥棒を企むが、質屋の親父に「泥棒が盗んで来て捨てて行った」と思われてつづらごと与太郎の家に送り返される。
夜中にこっそり出て来た二人は自分の家にいることに気づかず、「汚い家だなあ」「俺の家に似てる」などと言いながら自分の家の物を盗もうとする。
妻が起きて文句を言うと、与太郎は「いけねえ、かかあまで質に取られた」と勘違いする。

10行でわかるあらすじとオチ

質屋の伊勢屋に質物をたくさん預けているが受け戻すお金のない与太郎が、兄貴分に相談する。
兄貴分は、つづらに隠れて伊勢屋の前で「泥棒が入った」と騒ぎ、つづらごと店に運び込ませる計画を提案する。
夜中につづらから出て質物を取り返そうという寸法だったが、伊勢屋の親父は汚いつづらを見て「泥棒が与太郎の家から盗んで来たが汚いので捨てて行った」と判断。
つづらを与太郎の家まで送り返してしまい、妻は迷惑そうに隅っこに置いて寝てしまう。
夜中に仕事に取りかかろうとつづらから出た二人は、あたりが真っ暗で自分の家にいることに気づかない。
与太郎は「汚ねえ家だなあ。でもなんだか俺の家に似てるな」と言いながら、自分の半纏や寝間着を見つけて「かかあのやつ、こんなもんまで質に入れやがった」。
台所を見て「この角の欠けたへっついは俺んちのだ。へっついまで質に入れるたあ、ひでえかかあだ」と勘違い。
騒がしくて目を覚ました妻が「静かにしとくれよ」と文句を言う。
すると与太郎は「いけねえ、かかあまで質に取られた」と最後まで自分の家にいることに気づかない。
オチは、質屋泥棒を企んだのに結局自分の家で自分の物を盗もうとする与太郎の間抜けさ。

解説

「つづら泥」は、与太郎噺の中でも特に間抜けさが際立つ傑作です。
質屋泥棒という犯罪を企むものの、計画は最初から穴だらけで、案の定失敗に終わります。

しかし本当の面白さは、自分の家にいることに全く気づかずに自分の物を「質物」だと思い込む与太郎の純粋すぎる間抜けさにあります。
「汚ねえ家だなあ。
でもなんだか俺の家に似てるな」という台詞は、観客に「気づけよ!」とツッコミを入れたくなる絶妙な表現です。

最後の「いけねえ、かかあまで質に取られた」というオチも、与太郎の頭の悪さを最大限に表現した名台詞で、聞き手を爆笑の渦に巻き込みます。
貧乏な庶民の生活を描きながらも、悲惨さよりもユーモラスさを前面に出した、江戸落語らしい人情と笑いに満ちた演目です。

あらすじ

質屋の伊勢屋に流れそうな質物がたんとある与太郎。
受け戻す金などなく兄貴分に相談する。
兄貴分も同様で質物を盗み出す方策を考える。

その方策とは、つづら(葛籠)を伊勢屋の前まで運び、「伊勢屋さん、伊勢屋さん 泥棒が入った」と怒鳴り、二人でつづらの中に隠れる。
伊勢屋の親父は強欲で因業だから、つづらを見て早く店の中にしまえと言うだろう。
夜中につづらから抜け出して、二人の質物を取り返してつづらに入れて帰って来るという寸法だ。

さあ、二人は段取りどおり進めてつづらに入ったまではよかったが、伊勢屋は汚い大きなつづらを見て、丸に柏の紋と大与と書かれているのに気づき、「泥棒が大工の与太郎の家から盗んで来たが、あまり汚いので呆れて放り出して行ったのだろう」、こんな物でも与太郎のところでは大事な物だろうからと、店の者に与太郎の家まで運ばせる。

与太郎のかみさんは、ずっと何も入っておらず、図体だけでかい汚いつづらを迷惑そうに、隅っこの方へ置いてもらって寝てしまった。

つづらの中の二人、夜中にそろそろ仕事に取り掛かろうとつづらから出る。
あたりは真っ暗だが、
与太郎 「汚ねえ家(うち)だなあ。でもなんだか俺の家に似てるな」

兄貴分 「さあ、早くおめえのもんをつづらへ入れちまえ」

与太郎 「ああ・・・みんなボロばっかりだ。ありゃ、俺の半纏(はんてん)だ。・・・これは俺の寝間着・・・枕まであるぞ、かかあのやつ、こんなもんまで質に入れやがった」

兄貴分 「おや、蔵の中と思っちゃいたが、隣は台所だぜ」

与太郎 「汚ねえ台所だ。
おや、この角の欠けたへっついは俺んちのだ。へっついまで質に入れるたあ、ひでえかかあだ」

がやがやうるさくて目を覚ましたかみさん 「静かにしとくれよ。うるさくて寝られないじゃないか」

与太郎 「いけねえ、かかあまで質に取られた」


落語用語解説

  • つづら(葛籠) – 葛(くず)の蔓で編んだ大きな籠。衣類などを入れる収納箱として使われた。
  • 質屋 – 品物を担保にお金を貸す商売。期限までに返済しないと品物は流れてしまう。
  • 伊勢屋 – 江戸で最も多かった屋号の一つ。質屋に多く使われた。
  • 半纏(はんてん) – 袖の短い防寒着。職人が仕事着として着用した。
  • へっつい – 竈(かまど)のこと。煮炊きに使う台所の設備。
  • 丸に柏の紋 – 家紋の一種。柏の葉を丸で囲んだデザイン。

よくある質問(FAQ)

Q: なぜ与太郎は自分の家にいることに気づかなかったのですか?
A: つづらの中で長時間過ごし、夜中に真っ暗な中で出てきたため、周囲がよく見えなかったのです。また与太郎の間抜けな性格設定が、この滑稽な状況を生み出しています。

Q: 質屋の親父はなぜつづらを与太郎の家に送ったのですか?
A: つづらに「丸に柏の紋」と「大与」という印があったため、大工の与太郎の家のものだと分かりました。泥棒が盗んだものの汚くて捨てたと判断し、持ち主に返してやろうとしたのです。

Q: 「かかあまで質に取られた」というオチの意味は?
A: 与太郎は最後まで自分の家にいることに気づかず、妻の声を聞いても「妻まで質屋に取られた」と勘違いします。自分の家で自分の物を盗もうとする究極の間抜けさを表現した傑作オチです。

名演者による口演

  • 三遊亭圓生(六代目) – 昭和の名人。与太郎の間抜けさを丁寧に演じ分けました。
  • 古今亭志ん生(五代目) – 昭和の名人。貧乏暮らしの哀愁とユーモアを絶妙に表現しました。
  • 柳家小さん(五代目) – 人間国宝。庶民の生活感を巧みに描きました。

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この噺の魅力と現代への示唆

「つづら泥」は、与太郎噺の中でも特に間抜けさが際立つ傑作です。質屋泥棒という犯罪を企みながら、結局自分の家で自分の物を盗もうとするという究極のドジ話は、聞く者を爆笑の渦に巻き込みます。

「汚ねえ家だなあ。でもなんだか俺の家に似てるな」という台詞は、観客に「気づけよ!」とツッコミを入れたくなる絶妙な表現で、与太郎の純粋すぎる間抜けさが光ります。最後の「かかあまで質に取られた」というオチは、与太郎の頭の悪さを最大限に表現した名台詞です。

現代でも、思い込みで物事を判断して失敗することは珍しくありません。この噺は、自分の状況を客観的に見ることの大切さを、笑いを通じて教えてくれる人情味あふれる作品です。

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