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【AI落語】時ラーメン

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時ラーメン
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時ラーメン

本日は、古典落語の名作中の名作「時そば」を現代風にアレンジしてお送りします。

元ネタは、屋台のそば屋で勘定を払う際に、時刻を聞きながら小銭を数えることで一文ごまかす男と、それを見ていてマネをしようとして失敗する男の話。

あの巧妙な騙しのテクニックを、現代のキャッシュレス決済に置き換えたらどうなるか。

令和の「時そば」、題して「時ラーメン」、どうぞお楽しみください。

深夜の六本木

時は令和の現代、場所は東京・六本木。

IT企業が立ち並ぶこの街も、深夜ともなれば人通りはまばら。そんな午前2時過ぎ、ビルの谷間にぽつんと灯りがともっている場所がありました。

「らーめん大将」

赤い提灯に書かれた文字。この界隈では知る人ぞ知る、深夜営業の屋台ラーメンです。

店主は、60歳を過ぎた大野さん。昔ながらの屋台を改造して、今どきのキャッシュレス決済にも対応している、新旧融合の店です。カウンターには、QRコードが貼られ、「PayPay」「LINE Pay」「楽天ペイ」などの文字が並んでいます。

そんな屋台に、一人の男がふらりと現れました。

スマートな常連客

男の名は、斎藤。35歳のプログラマーで、この界隈のIT企業に勤めています。髪はボサボサ、目は充血し、いかにも残業帰りという風情。

斎藤「大将、やってる?」

大野「おお、斎藤さん。今日も遅いね」

斎藤「システムのバグでさ。やっと片付いたよ」

そう言いながら、カウンターに腰を下ろす斎藤。慣れた手つきでメニューを眺めます。

斎藤「じゃあ、いつもの」

大野「はいよ、味噌チャーシュー、ネギ多めね」

手際よく麺を茹で始める大野。その間、斎藤はスマートフォンを取り出して、何やら操作を始めます。画面には、仮想通貨の相場やらプログラミングのコードやらが映っています。

大野「相変わらず忙しそうだね」

斎藤「まあね。でも、大将のラーメン食べないと、一日が終わらないんだよ」

大野「そう言ってもらえると嬉しいね」

完璧なラーメン

やがて、湯気を立てるラーメンが斎藤の前に置かれました。

斎藤「うわー、今日も美味そう!」

味噌の香りが鼻をくすぐり、チャーシューが艶やかに光っています。ネギもたっぷり。斎藤は割り箸を割ると、まずはスープを一口。

斎藤「ふぅ〜、最高!大将、やっぱりここのラーメンは格別だよ」

大野「ありがとう」

斎藤「スープのコクといい、麺のコシといい、完璧だね。チャーシューも、口の中でとろけるよ」

褒めちぎりながら、斎藤は麺をすすります。その食べっぷりの良さに、大野も満足そうな顔。

斎藤「大将は、何年この屋台やってるんだっけ?」

大野「もう30年になるかな」

斎藤「30年!すごいなあ。その間、ずっとこの味を守ってきたんだ」

大野「まあ、少しずつ改良はしてるけどね」

斎藤「でも、基本は変わらない。それがいいんだよ」

キャッシュレス決済の準備

ラーメンを平らげた斎藤は、満足そうに箸を置きます。

斎藤「ごちそうさま!今日も最高だった」

大野「お粗末さま。1,200円になります」

斎藤「はい、じゃあPayPayで」

そう言って、斎藤はスマートフォンを取り出します。しかし、ここで妙な動きを始めました。

斎藤「あれ?今何時だっけ?」

大野「え?今は…(腕時計を見る)2時15分だよ」

斎藤「2時15分かあ。深夜料金とかないんだよね?」

大野「うちは24時間同じ値段だよ」

斎藤「そっか、良心的だなあ」

そう言いながら、斎藤はPayPayアプリを開きます。QRコードを読み取る画面を出して、カウンターのQRコードにかざします。

斎藤「えーっと、1,200円っと…」

金額を入力する画面で、斎藤は数字を打ち込み始めます。しかし、なぜかゆっくりと、一文字ずつ。

巧妙なトリック

斎藤「1…」

ポチッと1を押す。

斎藤「あ、大将、今日は満月だね」

大野「え?ああ、そうだね」

窓の外を見る大野。その隙に、斎藤は素早く画面を操作。

斎藤「2…」

また一文字。

斎藤「そういえば、大将の故郷はどこだっけ?」

大野「福岡だよ」

斎藤「福岡!いいところだよね。博多ラーメンも美味しいし」

大野「まあね。でも、俺は味噌ラーメンの方が好きでね」

話に夢中になる大野。斎藤は、その間にまた画面を操作。

斎藤「0…」

そして、最後の一文字を打つ前に。

斎藤「あ!流れ星!」

大野「え?どこ?」

慌てて空を見上げる大野。斎藤は、その瞬間に決済ボタンを押しました。

「ピピッ!」

決済完了の音。

斎藤「あ、間違えた。まあいいや、ごちそうさまでした!」

そう言って、斎藤はさっさと立ち上がります。

大野「あ、ちょっと待って…」

しかし、斎藤はもう歩き始めていました。

斎藤「また来るよ!大将!」

大野「…?」

確認する店主

何か違和感を覚えた大野は、レジのタブレットを確認します。

決済履歴を見ると…

「PayPay決済:120円」

大野「120円!?」

1,200円のはずが、120円になっています。ゼロが一つ足りない。

大野「あの野郎…わざとか!」

しかし、斎藤の姿はもう見えません。大野は悔しそうに頭をかきます。

大野「くそっ、してやられた…」

一部始終を見ていた男

実は、この一連のやり取りを、隣の席でじっと見ている男がいました。

田村、28歳のフリーター。コンビニでバイトをしながら、YouTuberを目指している男です。安いカップラーメンばかり食べているせいか、たまには美味いものを、と奮発してこの屋台に来ていました。

田村「(へえ、あんな手があるのか…)」

斎藤の手口を見て、感心する田村。金額入力の途中で店主の注意をそらし、ゼロを一つ少なく入力して決済。確かに巧妙です。

田村「(俺もやってみるか…)」

翌日の挑戦

翌日の深夜、田村は意気揚々と屋台にやってきました。

田村「大将!ラーメン一つ!」

大野「はいよ」

昨日と同じように、田村もスマートフォンを準備します。しかし、緊張のせいか、手が震えています。

ラーメンが出てきて、田村は必死に褒めちぎります。

田村「う、美味い!最高のラーメンだ!」

大野「…そう?」

明らかに不自然な褒め方に、大野は首をかしげます。

田村「じゃ、じゃあ、お会計!」

大野「1,200円です」

田村「PayPayで!」

失敗の連続

田村は、昨日の斎藤を真似しようとします。

田村「1…あ、今何時?」

大野「1時45分」

田村「そ、そうか…2…」

ここで話題を変えようとする田村。

田村「大将の好きな食べ物は?」

大野「…ラーメン」

田村「そ、そうだよね…0…」

最後のゼロを入力しようとした時。

田村「あ!UFO!」

大野「…」

大野は全く動きません。それどころか、じっと田村の手元を見ています。

田村「U、UFOが…」

大野「お客さん、1,200円ね」

田村「は、はい…」

結局、田村は正直に1,200円を入力。さらに…

スマホトラブル

田村「よし、決済!」

ボタンを押そうとした瞬間。

「バッテリー残量が少なくなっています」

田村「え!?」

なんと、スマートフォンのバッテリーが切れかけています。

田村「ちょ、ちょっと待って!」

慌てて充電器を探す田村。しかし、持っていません。

大野「現金でもいいよ」

田村「い、いや、PayPayのポイントが…」

必死に操作する田村。しかし…

プツン。

画面が真っ黒になりました。

田村「ああああ!」

さらなる災難

大野「じゃあ、現金で」

田村「…実は、現金持ってないんです」

大野「は?」

田村「キャッシュレス派なんで…」

大野の顔が、みるみる怖くなっていきます。

大野「…ATM、あそこにあるから」

田村「は、はい…」

とぼとぼとATMに向かう田村。しかし…

「ご利用時間外です」

田村「えええ!?」

深夜2時。多くのATMは利用時間外。

田村は泣きそうな顔で屋台に戻ります。

田村「あの…」

大野「…」

結末

結局、田村は身分証を預けて、翌日払いに来ることに。しかも…

大野「迷惑料込みで、1,500円ね」

田村「え!?」

大野「当たり前だろ。食い逃げしようとしたんだから」

田村「ち、違います!」

大野「じゃあ、なんであんな変な動きしてたんだ?」

田村「それは…」

言葉に詰まる田村。

翌日、田村は律儀に1,500円を払いに来ました。すると、カウンターには新しい張り紙が。

「決済画面の確認を徹底します。不正な決済は警察に通報します」

そして、もう一枚。

「充電器貸します(有料:100円)」

田村「…」

それ以来、田村はカップラーメンの生活に戻りました。

一方、斎藤は相変わらず屋台に通っていましたが、ある日…

大野「斎藤さん、この前の1,080円、まだもらってないよね」

斎藤「え?」

大野「ほら、決済履歴。120円になってるよ」

スマホの画面を見せる大野。そこには、しっかりと証拠が残っていました。

斎藤「あ…えーっと…」

大野「デジタルは記録が残るからね。便利な世の中だ」

観念した斎藤は、差額を支払いました。そして…

斎藤「すみませんでした…」

大野「まあ、常連さんだから、今回は大目に見るよ。でも、もうやるなよ」

斎藤「はい…」

それ以来、斎藤は正直に支払うようになりました。

そして大野は、つぶやきます。

「昔の現金商売の方が、人情があったなあ」

まとめ

古典の名作「時そば」をキャッシュレス時代に移植してみましたが、デジタルならではの落とし穴もあれば、昔ながらの人情もまだ残っているという話になりました。

原作の「勘定をごまかす」という核心は残しつつ、スマホのバッテリー切れやATMの時間外といった現代的なトラブルを盛り込んでみました。

それにしても、何事も正直が一番。ズルをしようとすると、必ずどこかでボロが出るものです。

私も最近、ポイント欲しさに複雑な決済方法を試して、結局間違えて損をしたことがあるので、田村の気持ちが少し分かります。

やっぱり、シンプルに払うのが一番ですね。

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