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【古典落語】仕立おろし あらすじ・オチの意味を解説|泣き上戸の男が語るダメ嫁失敗談

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話芸の殿堂-古典落語-仕立ておろし
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仕立おろし

仕立おろし(したておろし) は、泣き上戸の男が何もできない女房の失敗談を酒の席で愚痴る夫婦噺。浴衣を縫わせたら風呂敷に穴を開けただけの物を作った爆笑エピソードと、**「仕立おろしを着てご機嫌だね」**という地口オチが秀逸です。

項目 内容
演目名 仕立おろし(したておろし)
ジャンル 古典落語・滑稽噺
主人公 泣き上戸の男・女房
舞台 酒の席・夫婦の家
オチ 「仕立おろしを着てご機嫌だね」
見どころ 女房の突拍子もない失敗談の数々、タイトルとの呼応が見事な地口オチ

3行でわかるあらすじ

泣き上戸の男が酒を飲みながら、何もできない女房の失敗談を延々と愚痴っている。
特に浴衣を縫わせたら、風呂敷の真ん中に穴を開けただけの変な物を作ってしまった話をする。
最後に女房が現れて「仕立おろしを着てご機嫌だね」と言い、地口オチで締めくくる。

10行でわかるあらすじとオチ

酒飲みには様々な種類がおり、笑上戸、怒り上戸、からみ上戸、薬上戸、後引き上戸、踊り上戸などがいる。
泣き上戸・愚痴上戸の男が酒を飲みながら女房の悪口を並べ立てる。
女房はおかずもまともに作れず、牛肉をかつぶしで煮たり、バナナをぬか味噌につけたりする。
冷蔵庫に煙草や帽子、靴まで入れて、夏なのに足に霜焼けができた始末。
針仕事ができるかと聞くと、何でも縫えるが仕立屋の商売を邪魔するのでやらないと言う。
浴衣の生地を渡して縫わせると、生地を縫い合わせて大きな風呂敷を作った。
真ん中に鍋のフタを乗せ、出刃包丁で丸く切り抜いて穴を開ける。
「できたから着て見ろ」と言うので穴から首を出すと、まるでほうずきの化物のようになった。
あまりに馬鹿馬鹿しくて笑っていると、女房が現れる。
女房は「この人はまるで子どもだね。仕立おろしを着てご機嫌だね」と言って地口オチで終わる。

解説

「仕立おろし」は、泣き上戸の男の愚痴話を通じて夫婦のやりとりを描いた古典落語です。冒頭の酒の上戸に関する「まくら」が充実しており、笑上戸、怒り上戸、からみ上戸、薬上戸、後引き上戸、踊り上戸と、さまざまな酔態を列挙する場面は、演者の腕の見せどころでもあります。

噺の中心は女房の数々の失敗談で、料理の失敗から冷蔵庫の使い方まで、次々と繰り出されるエピソードが聴衆の笑いを誘います。特に浴衣を縫わせる場面は、生地を縫い合わせて風呂敷にし、鍋のフタを型にして出刃包丁で穴を開けるという、裁縫の常識を完全に無視した発想が荒唐無稽で面白い場面です。「ほうずきの化物」という比喩も、首だけが丸い布から突き出た滑稽な姿を巧みに表現しています。

最後の「仕立おろしを着てご機嫌だね」は、「仕立おろし」が新しく仕立てた着物を意味する言葉であることを利用した地口オチです。風呂敷に穴を開けただけの代物を「仕立おろし」と呼ぶ皮肉と、演目タイトルを回収する構造が見事に重なっています。表面上は女房の悪口を言い続ける噺ですが、最後に女房が現れて夫を「子どもだね」と笑うところには、夫婦の愛情が感じられる温かな締めくくりとなっています。

また、この噺は「泣き上戸」という設定が重要な役割を果たしています。泣き上戸だからこそ延々と愚痴を言い続け、聴き手にとってはそれ自体が可笑しいという構造です。愚痴の内容がどれも荒唐無稽であるため、悲壮感はなく、むしろ愛すべきダメ夫婦の日常として楽しめます。

成り立ちと歴史

「仕立おろし」は、江戸時代後期から明治にかけて成立した古典落語で、酒席での愚痴話という身近な設定が特徴です。「上戸」の種類を列挙する「まくら」は、古くから落語の定番として親しまれており、この噺以外にも多くの演目で使われています。酒の席での酔態描写は落語の得意分野であり、「替り目」「親子酒」「試し酒」など酒にまつわる演目は枚挙にいとまがありません。

夫婦の日常を描く「夫婦噺」は古典落語の重要なジャンルで、「替り目」「厩火事」「芝浜」など名作が多くあります。「仕立おろし」はその中でも、女房の失敗談を誇張して描くことで笑いを生む手法が特徴的です。江戸時代の庶民にとって裁縫は女性の基本的な技能とされており、それができない女房というのは当時の聴衆にとって大きな笑いの種でした。

演者としては、柳家小さん(五代目)が泣き上戸の男の愚痴を絶妙な間合いで演じたことで知られています。三遊亭圓生(六代目)は失敗談の一つ一つを品良く語り、古今亭志ん朝(三代目)は夫婦のやり取りを明るく軽妙に演じました。現代でも寄席の中入り前などに演じられることがある親しみやすい演目です。

あらすじ

「酒は百薬の長」とも「酒は命を削る鉋(かんな)」ともいうが、酒好きにはいろんな飲み方の癖がある。
飲むと陽気になっておかしくもないのに笑い出す笑上戸、飲むと青くなって怒り出す怒り上戸、誰にでもからみ始めるからみ上戸、苦い、まずいと嫌な顔をしながら何杯も飲む薬上戸、飲みだすとだらだらといつまでも飲む後引き上戸、婦人に多いのが踊りの手つきになる踊り上戸など酔態は百態だ。

泣き上戸、愚痴上戸の男が、酒飲み相手に女房の悪口を並べ立てている。「悪い女房を持つと六十年の不作というが、生涯の不作だ。
うちの女房は女でなく亭主の命を削る鉋だ。
夜中に起きたら木村屋のアンパン見たいにへそを出して寝ていた。
おかずだってまともに作れない。
この間は牛肉をかつぶしで煮て、バナナをぬか味噌につけた。
冷蔵庫を買ったら、煙草、帽子、靴も入れてしまい、夏なのに足に霜焼けができた。
針仕事ができるかと聞いたら、何でも縫えるが仕立屋の商売を邪魔するのでやらないだけと言うから、浴衣の生地をもらったので縫って見ろと言うと、生地を縫い合わせ大きな風呂敷をこしらへ、真ん中に鍋のフタを乗せ、出刃包丁で丸く切り抜いて、"できたから着て見ろ"と言うから穴から首を出したら、まるでほうずきの化物だ。あんまり馬鹿馬鹿しいので笑ったら」

女房 「この人はまるで子どもだね。仕立おろしを着てご機嫌だね」


落語用語解説

  • 仕立おろし – 新しく仕立てた着物のこと。このオチでは「仕立て下ろしの着物を着て機嫌がいい」という意味と、男の機嫌が良いことを掛けています。
  • 上戸(じょうご) – 酒の飲み方の癖を表す言葉。笑上戸、泣き上戸、怒り上戸などがあります。
  • 泣き上戸 – 酒を飲むと涙もろくなったり愚痴っぽくなる人のこと。この噺の主人公がそれです。
  • 鉋(かんな) – 大工道具。「酒は命を削る鉋」は酒で寿命が縮むという意味です。
  • ほうずきの化物 – 鬼灯(ほおずき)は丸い形をしているので、首だけ出した姿を表現しています。

よくある質問(FAQ)

Q: 「仕立おろしを着てご機嫌だね」というオチの意味は何ですか?
A: 「仕立おろし」は新しく仕立てた着物という意味ですが、風呂敷に穴を開けただけの物を着て笑っている夫を、新しい着物を着て機嫌がいいと皮肉っています。演目タイトルを回収する地口オチとしても秀逸です。

Q: なぜ女房は浴衣を風呂敷のように作ったのですか?
A: 裁縫の知識がないために、生地を縫い合わせて大きな布にし、真ん中に穴を開ければ着られると考えた結果です。突拍子もない発想が笑いを誘います。

Q: この噺は夫婦喧嘩の話ですか?
A: 表面上は夫が女房の悪口を言う愚痴話ですが、最後に女房が現れて温かいやり取りをするところに、夫婦の愛情が感じられます。愚痴を言いつつも離れない夫婦の絆が描かれています。

Q: 冒頭の「上戸」の列挙にはどんな意味がありますか?
A: 落語では「まくら」と呼ばれる導入部分で、噺の本題に入る前に聴衆を引き込む役割があります。さまざまな酔態を列挙することで酒の席の雰囲気を作り、泣き上戸である主人公の登場を自然に導いています。

Q: 「ほうずきの化物」とはどんな姿ですか?
A: 鬼灯(ほおずき)は丸い実の中に小さな種がある植物です。大きな風呂敷から首だけが突き出た姿を、丸い鬼灯の実から種が覗いている様子に例えた比喩で、滑稽な姿を想像させます。

名演者による口演

  • 柳家小さん(五代目) – 人間国宝。泣き上戸の男の愚痴を絶妙な間で演じました。
  • 三遊亭圓生(六代目) – 昭和の名人。女房の失敗談を品良く表現しました。
  • 古今亭志ん朝(三代目) – 軽妙な語り口で夫婦のやり取りを楽しく演じました。
  • 柳家小三治 – 人間国宝。泣き上戸の男の情けなさと可笑しさを絶妙に表現し、人間味あふれる口演で定評がありました。

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この噺の魅力と現代への示唆

「仕立おろし」は、泣き上戸の男の愚痴話を通じて夫婦のやりとりを描いた温かい落語です。女房の数々の失敗談が笑いを誘います。

浴衣を縫わせたら風呂敷に穴を開けただけという突拍子もない発想は、落語らしい荒唐無稽さが光ります。

最後の「仕立おろしを着てご機嫌だね」は、タイトルとの見事な呼応を見せる地口オチで、夫婦の愛情を感じさせる締めくくりです。

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