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【古典落語】真景累ヶ淵⑤ あらすじ・オチ・解説 | 血みどろの復讐劇

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話芸の殿堂-古典落語-真景累ヶ淵5
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真景累ヶ淵⑤

3行でわかるあらすじ

新吉とお賤が惣右衛門を殺害すると、目撃した甚蔵が二人を脅迫して金を要求してくる。
二人は甚蔵を騙して聖天山におびき出し殺害するが、甚蔵は生き延びて血まみれで復讐しに現れる。
最後はお賤が鉄砲で甚蔵を撃ち殺し、新吉と二人で江戸へ逃亡して第5話が終わる。

10行でわかるあらすじとオチ

お累を殺した新吉は村人に嫌われ、そんな中でお賤から夫の惣右衛門殺しを頼まれる。
新吉は躊躇するがお賤に急かされ、細引きで首を絞めて寝ている惣右衛門を殺害する。
湯灌の手伝いをした甚蔵が死体の首の細引きの跡を発見し、新吉に殺人を白状させる。
甚蔵はお賤のもとに行き、三十両を要求して口止めしようと脅迫をかける。
お賤は甚蔵に金を渡しても一生脅され続けると考え、新吉と共に甚蔵を殺すことを決める。
新吉は甚蔵に聖天山に二百両が埋まっているという嘘をつき、半分の百両で手を打とうと持ちかける。
甚蔵は欲に目がくらんで山へ向かい、穴を掘っている最中に新吉に背後から刺される。
新吉は甚蔵を崖から突き落として石を投げつけ、死んだと思ってお賤のもとに帰る。
しかし甚蔵は生きており、血まみれでお賤の家に現れて新吉に復讐しようと襲いかかる。
最後はお賤が鉄砲で甚蔵を撃ち殺し、新吉と共に江戸へと逃亡して物語は終わる。

解説

「真景累ヶ淵⑤」は三遊亭圓朝作の連続もの怪談落語「真景累ヶ淵(しんけいかさねがふち)」の第5話で、江戸後期から明治にかけて大人気を博した長編シリーズの一部です。この演目は通常の落語とは異なり、笑いよりもサスペンスと恐怖を重視した怪談噺として構成されています。

第5話の見どころは、殺人の連鎖と復讐の恐ろしさにあります。新吉とお賤による惣右衛門殺害から始まり、目撃者の甚蔵による脅迫、そして甚蔵殺害未遂と復讐劇へと発展する血生臭い展開が特徴的です。特に甚蔵が血まみれで復活する場面は、古典落語の中でも屈指の恐怖シーンとして知られています。

圓朝の巧妙な構成により、単なる殺人劇ではなく因果応報の恐ろしさと人間の欲深さを描いた深い物語となっており、現代でも多くの落語家によって演じられ続けている古典落語の傑作シリーズの重要な一篇です。

あらすじ

お累が死ぬと新吉の行状を感づいていた村人たちは新吉を恨み、誰も付き合わなくなった。
そんな新吉にお賤は、「うちの旦那を殺しておくれな」と持ちかける。
躊躇する新吉をせかして、細引きで首を絞めて寝ている惣右衛門を殺害する。

お賤は本家へ走って惣右衛門が寝ている間に死んだと知らせる。
遺言状には、「・・・お賤には五十両つけて江戸に帰してやってくれ、・・・湯灌は新吉に頼む・・・」という奇妙な物だが遺言は遺言だ。

新吉は一人では亡骸の湯灌はできずにいると、甚蔵が手伝い始める。
甚蔵は死骸の首に細引きの跡の筋がくっきりと残っているのを見逃さない。
甚蔵は新吉に惣右衛門殺しを白状させて、お賤を強請(ゆす)りに行く。

甚蔵 「姉さん、ちっとばかり小づけえをねえ・・・」、「しょうがないねえ」と、二朱金ふたつ、一分を差し出したお賤に、

甚蔵 「一分、二分のはした金じゃどうにもなりやせん。三十両もらわなけりゃ追っつかねえんで」、甚蔵は外にいる新吉を引き入れる。

新吉から惣右衛門殺しがバレてしまったこと聞いたお賤は仕方なく、「今はないから晩方までに持って行くよ」、「きっと持って来いよ」で甚蔵は帰って行った。

お賤 「甚蔵に三十両渡したってそれで済むもんかね。
一生たかられるのが落ちさ。いっそのこと殺してしまおうよ」、新吉も得心して甚蔵を殺す算段をする。

新吉は甚蔵の家に行って、「実は根本の聖天山の手水鉢の根元に二百両埋めてあるんだ。
あたしらはその金で江戸に帰って世帯を持つつもりだ。兄いに三十両ぽっち渡しても焼け石に水、どうだ半分の百両ですっぱりとこっれきりにしてくれないか」

百両の話に目がくらんだ甚蔵は、「じゃあ早く掘り起こしに行こうぜ」と大乗り気。
二人は聖天山へ登り、手水鉢の根元を掘り始める。

新吉は一心不乱に掘っている甚蔵の背後に回って短刀で一突き、苦しがってもがく甚蔵を引きずって崖から突き落とし、上から大きな石を投げつけて一目散にお賤のところへ逃げ帰った。

お賤 「うまくいったかえ」、「やった、やった、これでさばさばした」、これから二人で仲良く酒盛りをして寝ようとすると、表の生垣がゴソゴソ、何だろうと新吉が見ると、髪はざんばらざん、全身泥まみれで血だらけの甚蔵が月の灯りに照らされて物凄い形相で入って来た。

甚蔵はふらふらと新吉に近づいて、「よくもおれをだましやがったな」、腰から出刃包丁を取り出して新吉の胸元めがけて突こうとする。
逃げようとする新吉は震えて仰向けに転んでしまう。

甚蔵は出刃包丁を振りかざしたところへ、どこから飛んで来たのかズドンと鉄砲の音、甚蔵は胸を打たれてバッタリと前に倒れた。
見るとお賤が鉄砲を持っている。

お賤 「新吉さん、怪我はなかったかえ。これは旦那の鉄砲であたしも撃ったことがあるんだよ」

新吉 「甚蔵をぶっ殺しちまって、もうこんなとこには居られやしねえや」

お賤 「そうだね、すぐに逃げようじゃあないか」

新吉 「よし、少しも早く今宵のうちに」、逐電した二人は江戸に向かった。


落語用語解説

  • 細引き – 細い縄のこと。この噺では惣右衛門を絞め殺す凶器として使われます。
  • 湯灌(ゆかん) – 死者の身体を湯で洗い清める儀式。甚蔵が殺人の証拠を発見する場面です。
  • 聖天山 – 妻沼聖天山のこと。埼玉県にある寺院で、新吉が甚蔵を騙して連れて行く場所です。
  • 強請る(ゆする) – 脅迫して金品を要求すること。甚蔵の行為を表します。
  • 逐電(ちくでん) – 逃亡すること。新吉とお賤が江戸に逃げることを意味します。

よくある質問(FAQ)

Q: お賤と新吉の関係にはどんな因縁がありますか?
A: お賤は深川の遊郭にいた女性で、新吉が貸本屋として働いていた頃からの知り合いでした。宗悦の血縁との因縁を知らずに関係を持っています。

Q: 甚蔵が復活したのは怪談的な要素ですか?
A: いいえ、甚蔵は実際に生き延びていました。ただし、血まみれで復讐に現れる場面は怪談的な恐怖を演出しています。

Q: なぜお賤が鉄砲を撃てたのですか?
A: お賤は名主の妾として屋敷に住んでおり、旦那の鉄砲を使ったことがあるという設定です。

名演者による口演

  • 三遊亭圓朝 – この作品の創作者。殺人の連鎖と復讐劇を臨場感たっぷりに演じました。
  • 三遊亭圓生(六代目) – 昭和の名人。甚蔵の復活場面を恐怖感たっぷりに演じました。
  • 桂歌丸 – 怪談噺の名手。血生臭い展開を独特の語り口で伝えました。

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この噺の魅力と現代への示唆

「真景累ヶ淵⑤」は、殺人の連鎖と復讐の恐ろしさを描いた怪談落語の傑作です。惣右衛門殺害から甚蔵の脅迫、そして甚蔵殺害未遂と復讐劇へと発展する展開は、人間の欲望と暴力の連鎖を描いています。

甚蔵が血まみれで復活する場面は、古典落語の中でも屈指の恐怖シーンとして知られています。

最後にお賤が鉄砲で甚蔵を撃ち殺す展開は、女性の強さと残忍さを同時に描いた印象的な締めくくりです。

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