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鹿政談|落語のあらすじ・オチ「きらずにやるぞ」「まめで帰ります」の意味

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話芸の殿堂-古典落語-鹿政談
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鹿政談

3行でわかるあらすじ

奈良の豆腐屋六兵衛が誤って神鹿を殺してしまい死罪になりかける大事件。
名奉行曲淵甲斐守が「これは鹿ではなく犬だ」と言い張って六兵衛を救おうとする。
さらに鹿奉行の不正を暴いて六兵衛を無罪にし、最後は言葉遊びで締める政談落語の傑作。

10行でわかるあらすじとオチ

奈良の豆腐屋六兵衛が朝早く仕事をしていると、犬がおからを食べているのを発見。
割木を投げて退治したところ、それは犬ではなく神鹿だった。
鹿を殺すのは死罪のため、六兵衛は奈良町奉行所に引き立てられる。
名奉行曲淵甲斐守が取り調べを開始し、六兵衛を救おうと尽力する。
奉行は「これは鹿ではなく犬だ」と主張するが、鹿奉行の塚原出雲が反論。
出雲が鹿の角について講釈を始めると、奉行はその隙を突く。
奉行は出雲らの餌料横領を暴き、鹿が飢えて町をうろついていると指摘。
追い詰められた出雲は「犬です」と認めざるを得なくなる。
六兵衛は無罪放免となり、奉行は「きらずにやるぞ」と言葉をかける。
六兵衛は「はい、まめで帰ります」と答え、おから(きらず)と豆腐屋(まめ)の洒落で締める。

解説

「鹿政談」は、名奉行の機知と正義感を描いた政談落語の代表作です。実在の奈良町奉行曲淵甲斐守をモデルにした痛快な裁判劇として親しまれています。

この噺の見どころは、奉行の巧妙な弁護戦術にあります。最初は六兵衛の出身地を問うことで「鹿殺しの罪を知らなかった」という情状酌量を狙い、次に「鹿を犬だと言い張る」という強引な手法を取ります。そして最終的に相手方の不正を暴いて形勢を逆転させるという三段構えの戦略は見事です。

オチの「きらずにやるぞ」「まめで帰ります」は、おから(きらず)と豆腐屋の「まめ(達者で)」という二重の意味を持つ絶妙な言葉遊びです。緊迫した法廷劇の後に、ほっとするような温かいユーモアで締める構成が秀逸な古典落語の名作です。

あらすじ

奈良の名物といえば、「大仏に、鹿の巻き筆、あられ酒、春日灯篭、町の早起き」なんて言います。
鹿は春日大社のお使いで、神鹿(しんろく)です。
徳川時代にはこの鹿に年に三千石の餌料が与えられ、鹿奉行がこの三千石を預り管理していました。

鹿を誤って殺しても死罪になるので、朝起きて家の前に鹿の死骸でもあるものなら、これを隣の家に回しておく、隣の家でもこれを向いの家にというわけで、早起きしないとどんな災難にあうかわからんというので奈良の町は早起きが名物になったとか。

その中でも朝が早いのが豆腐屋さん。
三条横町の豆腐屋の六兵衛さん、今日も朝早くから豆腐をつくり、きらずを桶に入れ表へ出します。「きらず」とは「おから」のこと、「から」というげんの悪い言葉をきらって「きらず」といいます。
豆腐は包丁で切れるけど、おからは切れないので「きらず」。

表で音がするので外へ出てみると大きな犬がおからを食べている。
六兵衛さん割木をつかみ投げるとうまく犬に当たり倒れた。
近寄って見るとこれが犬ではなく、なんと鹿で死んでしまっている。
そのうちに近所も起き出して大さわぎになり、町役が目代屋敷に届けると役人が来て六兵衛さんを引っ立てて行った。

そして鹿の守役の塚原出雲と興福寺の伴僧良然が連署して奈良町奉行所へ訴え、奈良町奉行の曲淵甲斐守の取調べが始まった。

奉行は六兵衛に生まれた地はどこかと聞く。
他所で生まれ奈良で鹿を殺すと大罪だということを知らなかったという取り計らいで、六兵衛さんを助けようとするのだが、正直者の六兵衛さん、三代に渡り三条横町で豆腐屋をしていると答える始末。

こんどは奉行さん、鹿の死骸を持って来させ自ら吟味してこれは鹿に毛並みのよく似た犬ではないかと言い出す。
回りの役人、町役もこれには大賛成で、犬を殺しても罪はなく書類は取り下げと言う奉行。

すると塚原出雲、鹿と犬とを取り違えることなどはないと言い張る。
奉行がこれには角が無いではないかと言うと、出雲はえらそうに「鹿の落とし角」の講釈を始めた。

途中まで聞いていた奉行さん、「黙れ!奈良の奉行を務むる身が、鹿の落し角を心得おらぬと思いよるか・・・」と、一喝のあと、出雲らの罪をあばき出す。
出雲らが鹿の餌料を横領し町民に高利で貸付け、町民は難儀し鹿は餌不足で町をうろつき、きらずなどを盗み食いするというのだ。
奉行さんは、いかに鹿とはいえ人の物を盗み食うとは賊に過ぎず殺してもかまわないとも言う。

奉行からこれを鹿と言い張るなら、餌料横領の件から吟味すると言われた出雲、改めて犬か鹿かと問われ、もう犬と答えるしかなくなった。
奉行から角の落ちたような痕があるがどうだ追い討ちをかけられ、それは腫物、できものの痕だと苦しい答え。

奉行 「よくぞ申した。しからばいよいよ犬であるな」

塚原出雲 「犬に相違ございません」

奉行 「犬を殺したる者にとがはない。
書類は取り下げてよろしかろ。
一同の者、裁きはそれまで、立ちませえ・・・・六兵衛、待て。その方は豆腐屋じゃな。・・・きらずにやるぞ」

六兵衛 「はい、まめで帰ります」


落語用語解説

  • 神鹿(しんろく) – 春日大社の使いとされる神聖な鹿。奈良では古来から保護され、殺すと死罪になりました。
  • 鹿奉行 – 神鹿を管理する役職。三千石の餌料を預かり、その不正が噺の重要な要素となっています。
  • きらず – おからのこと。「から」は縁起が悪いため「切らず(きらず)」と呼びました。豆腐は切れるがおからは切れないという意味も。
  • 曲淵甲斐守 – 実在の奈良町奉行。名奉行として知られ、この噺のモデルになりました。
  • 落とし角 – 鹿の角は毎年生え変わり、春に落ちます。鹿奉行がこの講釈を始めたことが墓穴を掘る結果に。

よくある質問(FAQ)

Q: 「きらずにやるぞ」「まめで帰ります」のオチの意味は?
A: 「きらず」はおから、「まめ」は豆腐屋を表すと同時に、「切らず(許す)」「達者で」という意味の二重の言葉遊びになっています。緊迫した裁判の後の温かいユーモアです。

Q: 奉行はなぜ「鹿は犬だ」と言い張ったのですか?
A: 六兵衛を助けるためです。犬を殺しても罪にはならないため、鹿を犬だと言い張ることで無罪にしようとしました。最終的には相手方の不正を暴いて勝利しました。

Q: 鹿奉行の不正とは何ですか?
A: 鹿の餌料三千石を横領し、町民に高利で貸し付けていました。そのため鹿は餌不足で町をうろつき、人の物を盗み食いするようになったのです。

名演者による口演

  • 桂米朝(三代目) – 人間国宝。奈良の風物を活き活きと描き、法廷劇の緊張感を見事に演じました。
  • 三遊亭圓生(六代目) – 昭和の名人。曲淵甲斐守の知恵と正義感を格調高く表現しました。
  • 桂枝雀 – 奉行と塚原出雲のやり取りを独特の迫力で演じました。

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この噺の魅力と現代への示唆

「鹿政談」は、名奉行の機知と正義感を描いた政談落語の代表作です。実在の曲淵甲斐守をモデルにした法廷劇は、緊迫感と痛快さを兼ね備えています。

この噺の見どころは、奉行の三段構えの弁護戦術です。最初は情状酌量を狙い、次に「鹿を犬だと言い張る」という強引な手法を取り、最後に相手の不正を暴いて形勢を逆転させます。この展開は現代の法廷ドラマにも通じる面白さがあります。

オチの「きらず」「まめ」の言葉遊びは、緊迫した裁判の後にほっとするような温かいユーモアを添えています。

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