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三枚起請 落語|あらすじ・オチ「朝寝がしたい」意味を完全解説

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話芸の殿堂-古典落語-三枚起請
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三枚起請 落語|あらすじ・オチ「朝寝がしたい」意味を完全解説

三枚起請(さんまいきしょう) は、吉原の花魁・喜瀬川が三人の男を同時に騙す廓噺の傑作。問い詰められても開き直り、「朝寝がしたいよ」と都々逸で切り返す粋なオチが秀逸です。

都々逸「三千世界の烏を殺し主と朝寝がしてみたい」は、高杉晋作の都々逸としても知られる有名な歌です。

項目内容
演目名三枚起請(さんまいきしょう)
ジャンル古典落語・廓噺
主人公喜瀬川(花魁)・亥のさん・棟梁・清公
舞台吉原
オチ「世界中の烏を殺したい」「何のため?」「朝寝がしたいよ」
見どころ花魁のしたたかさと都々逸を使った粋なオチ

3行でわかるあらすじ

吉原の花魁・喜瀬川が三人の男(亥のさん、棟梁、清公)に同じ起請文を書いて騙していた。
騙されたことに気づいた三人が吉原で喜瀬川を問い詰める。
喜瀬川は開き直って「烏を殺して朝寝がしたい」と都々逸で切り返す。

10行でわかるあらすじとオチ

唐物屋の若旦那・亥のさんが吉原の喜瀬川から起請文をもらって入れあげている。
棟梁が起請文を見せてもらうと、自分も同じものをもらっていたことが判明。
そこへ経師屋の清公が来て、自分も同じ起請文をもらい、25円も貢いでいたことがわかる。
三人は吉原の井筒という茶屋で喜瀬川を呼び出し、二人が隠れて棟梁が対峰する。
棟梁が起請文をキセルのヤニを通す紙として渡し、喜瀬川を責める。
「水瓶に落ちたおまんま粒」「日陰の桃の木」と悪口を言われた二人も飛び出してくる。
喜瀬川は「騙すのが商売さ」と開き直る。
棟梁が「嫌で起請を書く時は熊野で烏が三羽死ぬ」と言うと、
喜瀬川は「世界中の烏を殺したい」と返す。
オチ:「何のため?」「朝寝がしたいよ」で都々逸を使った粋なオチ。

解説

「三枚起請」は吉原を舞台にした廓話の代表作で、花魁のしたたかさを描いた作品です。
起請文とは、遊女が客に渡す愛情の証文で、神仏に誓った約束状です。
「嫌で起請を書く時は熊野で烏が三羽死ぬ」という俗信があり、これを踏まえて「三千世界の烏を殺し主と朝寝がしてみたい」という都々逸でオチを付けます。
喜瀬川の男たちへの悪口(「水瓶に落ちたおまんま粒」「日陰の桃の木」)や、「騙すのが商売さ」という開き直りは、吉原の女郎のたくましさを表現しています。
三人の男が連合しても喜瀬川一人にかなわない構図が笑いを誘い、最後の都々逸での切り返しが見事です。

あらすじ

昔は朝早くから烏(からす)の鳴き声がうるさく、「三千世界の烏を殺し主と朝寝がしてみたい」と都々逸にも歌われたほどだ。

唐物屋の若旦那の亥のさんは、このところ遊びが過ぎるようで母親が心配し、棟梁に聞いてもらう。
亥のさんは吉原の喜瀬川という女郎に入れあげて相思相愛、起請文までもらっているという。

いやがる亥のさんから起請文を見せてもらうと、「一つ起請文の事也 私事、来年3月年期が明け候らへば 貴方様と夫婦になる事実証なり 江戸丁二丁目朝日楼内喜瀬川こと本名中山みつ」。
これを見た棟梁、腕組みをし苦虫を噛み殺したような顔になり、考え込んでしまった。
自分も喜瀬川から同じ起請文をもらっているのだ。

そこへ来たのが経師屋の清公、人呼んで「おしゃべり清公」がやって来た。
二人から起請文の話を聞くと、自慢のおしゃべりも影をひそめ顔色が変わってしまった。
むろん喜瀬川の三人目の犠牲者なのだ。
まして清公の場合は、喜瀬川に金をせびられて25円も貢いでいるのだ。
その金は日本橋に奉公している妹を、母親が具合が悪いので医者に見せると偽って、無理に作らせた金なので、怒り、口惜しさ、無念さは倍増だ。
三人は仕返しをしようと相談し、吉原へ討ち入りだ。

井筒という茶屋に入り、女将に事情を話し喜瀬川を呼んでもらうことにする。
二階へ上がった三人、亥のさんと清公は戸棚と屏風の後ろへ隠れ、棟梁がしかめ面でキセルを吹かせて喜瀬川を迎えた。

話しかけてもキセルをくわえて何も言わない棟梁に、喜瀬川は自分にも吸わせろとキセルを取ったが、ヤニがびっしりで吸えない。
ヤニを通すからと棟梁から紙をもらった喜瀬川、ふと見るとこれが起請の誓紙だ。
驚き、あきれて怒る喜瀬川に、棟梁は「起請を何枚書けば気が済むんだ」と攻撃を開始しする。

喜瀬川は、「一枚に決まっているだろう」とうそぶくが、棟梁「唐物屋の若旦那の亥のさんにも書いただろ」、喜瀬川「亥のさん?あ~、若い、白くてぶくぶく膨れて太った、水瓶に落っこったおまんま粒みたいの」と、しゃあしゃあとしている。

棟梁の、「水瓶に落っこったおまんま粒、出て来な」で、怒って膨れて真っ赤な顔の亥のさんが、「水瓶に落っこったおまんま粒とは何事だ」と飛び出てきた。「二人だけだよ」と、まだまだしぶとい喜瀬川」に、棟梁は、「経師屋の清さんにも渡したろう」と攻撃の手をゆるめない。
喜瀬川は、「清さん? あ~、ヒョロヒョロと背の高い日陰の桃の木みたいのだろ。背が高いだけでキザでやな野郎なんだ」と負けてはいない。

棟梁の、「日陰の桃の木、出て来な」で、騙され三羽烏の勢揃いとなった。
喜瀬川は開き直ってびくともしない。「騙されたからと言って三人で掛け合いに来たのかい。
ふん、こっちは騙すのが商売さ。
あたしの身体には金がかかっているんだ。騙されて口惜しくて殴るか蹴るかしたかったら、身請けでもしたらどうだい」

棟梁 「女郎は客を騙すのが商売、それを文句言うんじゃねぇ。起請を何本も書くような汚ねえまねするねぇ。”嫌で起請を書く時は熊野で烏が三羽死ぬ”って言うんだ」

喜瀬川 「あ~、そうかい。あたしは嫌な起請をどっさり書いて世界中の烏を殺したいよ」

棟梁 「烏を殺してどうするんでぇ」

喜瀬川 「朝寝がしたいよ」


落語用語解説

  • 起請文(きしょうもん) – 遊女が客に渡す愛情の証文。神仏に誓った約束状で、「年季が明けたら夫婦になる」などと書かれました。
  • 吉原(よしわら) – 江戸の公認遊郭。現在の東京都台東区千束付近にあり、江戸時代最大の花街として栄えました。
  • 花魁(おいらん) – 吉原の遊女の中でも最高位の女性。美貌と教養を兼ね備え、大名や豪商しか相手にできない高級遊女でした。
  • 茶屋(ちゃや) – 遊郭の中で客を遊女のいる店に案内する仲介業。井筒は実在した吉原の有名な茶屋です。
  • 都々逸(どどいつ) – 七七七五調の定型詩。恋愛や人情を題材にした庶民の歌謡です。
  • 熊野の烏(くまののからす) – 熊野三山の神使とされる烏。起請文は熊野権現に誓うものとされ、「嫌で起請を書く時は熊野で烏が三羽死ぬ」という俗信がありました。

よくある質問(FAQ)

Q: なぜ三人とも同じ起請文をもらったのですか?
A: 花魁が客から金を巻き上げるための常套手段でした。複数の客に同じ起請文を渡すことで、それぞれから身請け金や貢物を得ることができたのです。

Q: 「水瓶に落ちたおまんま粒」「日陰の桃の木」の意味は?
A: 喜瀬川が三人の男をけなす悪口です。「水瓶に落ちたおまんま粒」は白くてふやけた様子、「日陰の桃の木」は背が高いだけで実がならない(役立たず)ことを表しています。

Q: 最後の都々逸の意味は?
A: 「三千世界の烏を殺し主と朝寝がしてみたい」という都々逸は、「朝早くから烏がうるさくて眠れないので、世界中の烏を殺して愛する人と朝寝がしたい」という意味です。喜瀬川は「嫌な起請を書いて烏を殺したい」と開き直っています。

名演者による口演

この噺を得意とした・している落語家をご紹介します。

  • 古今亭志ん生(五代目) – 喜瀬川のしたたかさと男たちの情けなさを絶妙に演じ分けました。
  • 古今亭志ん朝(三代目) – 明瞭な語り口で、廓話の華やかさと皮肉を美しく表現しました。
  • 柳家小三治 – 人間国宝。喜瀬川の悪女ぶりと男たちの悲哀を繊細に描きます。

関連する落語演目

同じく「吉原」が舞台の古典落語

騙し・逆襲がテーマの古典落語

幇間が登場する古典落語

この噺の魅力と現代への示唆

「三枚起請」は、吉原の花魁のしたたかさを描いた作品です。三人の男が結託しても一人の女にかなわないという構図は、現代でも通じる男女の力関係を表しています。

喜瀬川の「騙すのが商売さ」という開き直りは、遊女という職業の本質を突いた言葉です。江戸時代の遊女は、美貌と教養だけでなく、客を操る知恵も必要とされました。

三人の男への悪口も秀逸で、「水瓶に落ちたおまんま粒」「日陰の桃の木」という比喩は、江戸時代の言語感覚の豊かさを示しています。

最後の都々逸「三千世界の烏を殺し主と朝寝がしてみたい」は、高杉晋作の都々逸としても知られる有名な歌です。喜瀬川がこれを逆手に取って「嫌な起請を書いて烏を殺す」と返すオチは、粋で痛快です。

現代でも、複数の相手と同時進行で恋愛するという行為は問題視されますが、この噺では喜瀬川の開き直りと男たちの情けなさが笑いに転換されています。

実際の高座では、演者によって喜瀬川のキャラクターが異なり、悪女としての魅力が際立ちます。機会があれば、ぜひ生の落語会や動画配信でお楽しみください。

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