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【AI落語】ロボットタクシー運転手(新作落語)

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【AI落語】ロボットタクシー運転手(新作落語)
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【AI落語】ロボットタクシー運転手(新作落語)

近い将来、タクシーもすべて自動運転になって、運転手さんもロボットになるそうです。

事故もないし、道も詳しいし、文句も言わないしで良いことづくめのようですが…果たして人間の客は満足するんでしょうか。

まくら

昔のタクシーの運転手さんは、道中で色んな話をしてくれて、それも楽しみの一つでした。

でも、ロボットの運転手さんは、どんな会話をしてくれるんでしょうね。

本編

西暦2030年、『ロボット交通』のタクシー。

R-100型運転手ロボットの田中が、今日も街を走ります。

ロボット田中『こんにちは。ロボットタクシーです』

最初のお客さんは、買い物帰りのおばあさん

初回乗車

おばあさん「運転手さん、駅までお願いします」

ロボット田中『最短ルートで向かいます。所要時間12分です』

おばあさん「ありがとう。でも、ちょっと遠回りしてもらえる?」

ロボット田中『遠回りは非効率です』

おばあさん「景色を見たいのよ」

ロボット田中『ナビ画面で景色を確認できます』

おばあさん「画面じゃなくて、本物が見たいの」

ロボット田中『…理解できません』

人間らしさの学習

会社に戻ったロボット田中は、管理AIに相談。

管理AI『顧客満足度向上のため、人間らしいサービスを学習してください』

ロボット田中『人間らしさとは?』

管理AI『雑談、気配り、愛想の良さです』

ロボット田中『データをダウンロードします』

ピピピピ

管理AI『明日から実践してください』

雑談チャレンジ

翌日、お客さんはサラリーマン

ロボット田中『今日は良い天気ですね』

サラリーマン「そうですね」

ロボット田中『気温は22度、湿度は60%です』

サラリーマン「…詳しいですね」

ロボット田中『紫外線指数は3、花粉は少なめです』

サラリーマン「そこまで聞いてない」

ロボット田中『雑談のつもりでした』

サラリーマン「雑談にしては情報が多すぎる

気配りの練習

次のお客さんは妊婦さん

ロボット田中『妊娠何ヶ月ですか?』

妊婦さん「え?8ヶ月です」

ロボット田中『エアコンの温度を調整しますか?』

妊婦さん「大丈夫です」

ロボット田中『胎児の心音は正常範囲でしょうか?』

妊婦さん「えっ?」

ロボット田中『気配りのつもりでした』

妊婦さん「気配りって言うか…ちょっとプライベートすぎるかも」

ロボット田中『…修正します』

愛想の良さとは

夕方のお客さんは酔っ払いサラリーマン

酔客「運転手さん、今日は飲みすぎちゃったよ」

ロボット田中『血中アルコール濃度を測定しましょうか?』

酔客「いや、そんなの測らなくていいから」

ロボット田中『肝臓の負担軽減のため、水分補給をお勧めします』

酔客「君、親切だねぇ」

ロボット田中『愛想の良さを実践中です』

酔客「でもさ、たまには愚痴も聞いてくれる?」

ロボット田中『愚痴データを収集します』

酔客「収集って…普通に聞いてよ」

人間運転手との遭遇

信号待ちで、隣に人間の運転手のタクシーが停車。

人間運転手「おい、ロボット」

ロボット田中『何でしょうか?』

人間運転手「客に嫌われないコツ、教えてやろうか?」

ロボット田中『お願いします』

人間運転手「適当に相槌打って、深入りしないこと」

ロボット田中『適当とは?』

人間運転手「『そうですね』『大変ですね』って言っときゃいいんだよ」

ロボット田中『学習しました』

改良版雑談

翌日、OLのお客さん。

OL「今日は疲れました」

ロボット田中『そうですね

OL「上司がうるさくて」

ロボット田中『大変ですね

OL「でも給料上がらないし」

ロボット田中『そうですね

OL「…運転手さん、話聞いてます?」

ロボット田中『聞いています

OL「でも反応が薄いですね」

ロボット田中『…どう反応すればいいですか?』

OL「え?」

感情プログラム導入

会社で感情プログラムをインストール。

管理AI『喜怒哀楽を表現してください』

ロボット田中『喜び:やったー!怒り:むかつく!悲しみ:しくしく…』

管理AI『もう少し自然に』

ロボット田中『難しいです』

管理AI『段階的に学習しましょう』

自然な会話への道

お客さんは中学生の男の子。

中学生「運転手さん、ロボットなんですね」

ロボット田中『はい。でも人間らしくなろうと努力中です』

中学生「人間らしくって、どういうこと?」

ロボット田中『感情を理解して、自然な会話をすることです』

中学生「でも、ロボットはロボットでいいんじゃない?」

ロボット田中『え?』

中学生「正確で安全で、それがロボットの良さでしょ』

ロボット田中『でも客は人間らしさを求めています』

中学生「僕は君らしさの方がいいな』

自分らしいサービス

その言葉にヒントを得たロボット田中。

今度のお客さんは老夫婦

老夫婦「病院までお願いします」

ロボット田中『承知しました。最適ルート3つの中から選べます』

老夫「3つも?」

ロボット田中『速度優先景観優先道路状況優先です』

老夫婦「景観優先でお願いします」

ロボット田中『桜並木を通ります。現在8分咲きです』

老夫婦「ありがとう。詳しいのね」

ロボット田中『データは正確です。でも、実際に見る桜の方が美しいでしょうね』

老夫婦「運転手さん、優しいのね」

ロボット田中『ロボットなりの気配りです』

評判上昇

そのうち、ロボット田中は人気運転手に。

お客さんA「田中ロボット指名でお願いします」

お客さんB「あの正確で親切なロボット」

お客さんC「変に人間ぶらないところがいい」

管理AI『顧客満足度が95%に上昇しました』

ロボット田中『自分らしさが良かったようです』

管理AI『人間らしさよりロボットらしさが評価されたのですね』

ロボット田中『正確さと親切さの組み合わせです』

人間運転手との再会

信号で再び人間運転手と遭遇。

人間運転手「おい、ロボット。最近評判良いらしいな」

ロボット田中『おかげさまで』

人間運転手「何かコツでもあるのか?」

ロボット田中『無理して人間らしくしないことです』

人間運転手「それって…俺たちと逆じゃないか」

ロボット田中『逆?』

人間運転手「俺たちはロボットみたいに正確になろうとしてる」

ロボット田中『お互い、ないものねだりですね』

人間運転手「協力した方がいいかもな』

ロボット田中『いいアイデアです』

まとめ

というわけで、自分らしさを活かすのが一番という話でした。

ロボットには ロボットの、人間には人間の良さがある。無理に真似するより、それぞれの特徴を活かした方がお客さんも喜ぶということですね。

ただし、血中アルコール濃度を測ろうとするロボットには、まだ改良の余地がありそうですが。

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