【AI落語】パイ作り専門店(新作落語)
最近の若い娘さんのアルバイト先というのは、親からするとなかなか心配になるものでございます。
特に変わった名前のお店だと、ついつい悪い方に考えてしまうのが親心。
今日はそんな心配性の父親の騒動を一席。
私も心配性でございますが、人のことなら冷静に見られます。
娘のアルバイト
大阪に住む田中、大学生の娘美香との会話。
美香「お父さん、アルバイト始めるわ」
田中「アルバイト?どこで?」
美香「パイ作り専門店や」
田中「パイ作り…?」
美香「人気のお店らしいで」
田中「どんな…パイ?」
美香「いろんな種類があるって」
田中「いろんな種類…」
田中の頭に不安がよぎる。
田中「その店、どの辺にあるんや?」
美香「繁華街の方や」
田中「繁華街…」
美香「夜も営業してるから時給がええねん」
妻への相談
田中が妻に心配を打ち明ける。
田中「美香がパイ作り専門店でバイトするって」
妻「パイ作り?珍しいお店やね」
田中「繁華街で夜も営業してるらしいわ」
妻「夜も…?どんなお店なんやろ?」
田中「パイって言うても…」
妻「まさか…」
田中「心配やねん」
妻「一度見に行ってみたら?」
田中「そうやな。どんな店か確認せな」
妻「娘のためやもんね」
近所での情報収集
田中が近所の佐藤に相談する。
田中「パイ作り専門店って知ってるか?」
佐藤「パイ作り?聞いたことないなあ」
田中「娘がそこでバイトするって言うねん」
佐藤「どんなパイ作るんやろ?」
田中「それが心配やねん」
佐藤「場所はどの辺や?」
田中「繁華街らしい」
佐藤「夜の繁華街…?ちょっと気になるな」
田中「俺も心配で夜も眠れん」
佐藤「一緒に見に行ってみるか?」
店の下見
田中と佐藤が繁華街を歩いている。
田中「パイ作り専門店…どこにあるんや?」
佐藤「看板探してみよか」
しばらく歩くと、かわいらしい店構えの洋菓子店を発見。
田中「あれちゃうか?Sweet Pie House」
佐藤「可愛らしい店やな」
田中「外観は普通やけど…」
ショーウィンドウを見ると、美味しそうなパイが並んでいる。
田中「アップルパイにミートパイ…」
佐藤「普通のパイやないか」
田中「でも夜営業って…」
店内調査
田中が勇気を出して店に入ってみる。
店員「いらっしゃいませ」
田中「あの…見学させてもらえますか?」
店員「パイの種類ですか?こちらにメニューが」
田中「ありがとうございます」
メニューを見ると、アップルパイ、チェリーパイ、ミートパイなど。
田中「本当に普通のパイやな…」
店員「手作りにこだわってるんです」
田中「手作り…」
店員「娘さん、今度こちらで働かれるんですよね」
田中「え?ご存じなんですか?」
店員「美香ちゃんでしょ?面接の時にお会いしました」
田中「面接…」
店長との面談
店長が出てきて田中と話をする。
店長「お父様でいらっしゃいますね」
田中「はい。娘がお世話になります」
店長「美香さん、とても真面目な方ですね」
田中「ありがとうございます」
店長「パイ作りに興味があるとおっしゃってました」
田中「パイ作り…」
店長「将来、パティシエになりたいんだそうで」
田中「パティシエ?」
店長「うちで基礎からしっかり学んでもらいます」
田中「基礎から…」
店長「夜営業は21時までですが、安全な立地ですからご安心を」
田中「21時まで…」
娘との再確認
田中が家に帰って娘に確認する。
田中「美香、パイ作り専門店行ってきたで」
美香「え?お父さんが?」
田中「店長さんともお話しした」
美香「恥ずかしい…」
田中「普通の洋菓子店やったんやな」
美香「当たり前やん。何を想像してたん?」
田中「いや、パイ作りって聞いて…」
美香「アップルパイとか作りたいって言うたやん」
田中「そやったなあ…」
美香「パティシエの勉強になるし」
田中「将来の夢やったんか」
美香「お父さん、心配性すぎやで」
妻への報告
田中が妻に報告する。
田中「パイ作り専門店、ちゃんとした洋菓子店やった」
妻「そやったん?良かったわ」
田中「アップルパイとかミートパイとか作ってるねん」
妻「普通のお店やったのね」
田中「娘もパティシエになりたいらしい」
妻「夢があっていいじゃない」
田中「俺が勘違いしてただけや」
妻「心配する気持ちは分かるけどね」
田中「店長さんもいい人やったし安心した」
妻「美香も頑張って欲しいわね」
初日の見送り
美香のアルバイト初日、田中が見送る。
田中「初日や。頑張ってな」
美香「ありがとう、お父さん」
田中「パイ作り、**しっかり覚えるんやで」
美香「基礎から教えてもらうねん」
田中「危険な作業もあるやろうから気いつけて」
美香「オーブンとか熱いもんね」
田中「何か困ったことがあったらすぐ連絡せえよ」
美香「心配しすぎやって」
田中「親やからな」
美香「いってきます」
初日の帰宅
美香が初日を終えて帰ってくる。
美香「ただいま」
田中「お疲れさま。どうやった?」
美香「楽しかったわ。パイ生地作らせてもらった」
田中「パイ生地?」
美香「バターを練り込んで、層を作るねん」
田中「技術がいるんやな」
美香「店長さんも優しく教えてくれるし」
田中「良かった」
美香「明日はフィリング作り教わるねん」
田中「フィリング?」
美香「パイの中身や。りんごの煮込み方とか」
田中「本格的やなあ」
成長する娘
数週間後、美香の成長を見る田中。
美香「お父さん、試作品食べてみて」
田中「自分で作ったんか?」
美香「アップルパイや」
田中が一口食べる。
田中「うまい!プロみたいやないか」
美香「まだまだやけど上達した?」
田中「立派やで。感動した」
美香「嬉しい」
田中「パティシエの道、応援するわ」
美香「ありがとう、お父さん」
田中「最初は心配したけど、間違いやった」
美香「何を心配してたん?」
田中「まあ、親の心配や」
美香「変なお父さん」
近所への報告
田中が佐藤に報告する。
田中「娘のバイト先、ちゃんとした洋菓子店やった」
佐藤「そうやったんか。良かったな」
田中「パティシエ目指して頑張ってるわ」
佐藤「立派やないか」
田中「手作りパイ持って帰ってくるねん。美味しいで」
佐藤「いいなあ。家族も嬉しいやろ」
田中「俺が変な想像してただけやった」
佐藤「親は心配性やもんな」
田中「でも結果的に娘の夢を知れて良かったわ」
佐藤「応援してやりや」
最後の会話
田中と美香の最後の会話。
田中「美香、パイ作り楽しいか?」
美香「すごく楽しいわ」
田中「将来は本当にパティシエになるんか?」
美香「専門学校も行きたいと思ってる」
田中「応援するで」
美香「ありがとう、お父さん」
田中「最初、変な店やと思てすまんかった」
美香「何でそう思ったん?」
田中「パイ作りって名前が…」
美香「普通やん。Apple Pie、Cherry Pieのパイやで」
田中「そうやな。勘違いやった」
美香「お父さんの想像力、時々怖いわ」
まとめ
というわけで、パイ作り専門店の真相は本当にアップルパイやミートパイを作る普通の洋菓子店だったという、親の取り越し苦労だった逆さオチでございました。
最近は店の名前だけで判断しちゃいけませんね。
娘さんの夢を応援してあげるのが一番です。
美香ちゃんの将来が楽しみですな。


