お使い近所付き合い其の二
前回、お使いで配達人になってしまった与助の続編です。
今度は近所の人たちから次々とお使いを頼まれて、大忙し。
でも、忙しいのも悪くないかもしれません。
お使いが本業になった男
親切心から始まったお使いが、いつの間にか本業に。
でも、それも一つの成功の形かもしれませんね。
あらすじ
前回「お使い配達人」として有名になった与助のもとに、朝から依頼が来ていた。
婆さん A:「与助さん、お使いお願いします」
与助:「何を買ってきましょうか」
婆さん A:「醤油と味噌を」
与助:「承知しました」
婆さん B:「与助さん、私も頼みたいことが」
与助:「何でしょう」
婆さん B:「米を一升」
与助:「分かりました」
—
与助:「えーと、醤油と味噌と米」
大工:「与助、俺も頼みたい」
与助:「何を?」
大工:「釘を買ってきてくれ」
与助:「釘ですね」
商人:「与助さん、紙も頼む」
与助:「紙も?」
商人:「帳簿用の紙だ」
与助:「分かりました」
—
与助:「醤油、味噌、米、釘、紙…」
子供:「与助おじちゃん」
与助:「なんだい」
子供:「飴を買ってきて」
与助:「飴も?」
子供:「お小遣いもらったから」
与助:「分かった」
与助の手に、たくさんの注文が書かれた紙が握られていた。
—
与助:「これは大変だ」
女房:「どうしたの」
与助:「お使いが多すぎて」
女房:「断ればいいじゃない」
与助:「でも、みんな困ってるから」
女房:「優しいのね」
与助:「優しいというか、断れないんだ」
女房:「それも優しさよ」
—
与助は一日中、町中を走り回った。
与助:「醤油と味噌を買って」
店主:「毎度あり」
与助:「次は米屋に行って」
米屋:「一升ね」
与助:「それから釘を買って」
鍛冶屋:「はい」
与助:「紙も買って」
紙屋:「どうぞ」
与助:「最後に飴を」
飴屋:「子供用?」
—
夕方になって、与助は各家を回って配達した。
与助:「醤油と味噌です」
婆さん A:「ありがとう」
与助:「米です」
婆さん B:「お疲れ様」
与助:「釘です」
大工:「助かった」
与助:「紙です」
商人:「ありがとう」
与助:「飴です」
子供:「やった」
—
与助:「やっと終わった」
女房:「お疲れ様」
与助:「でも、明日もまた依頼が来そうだ」
女房:「そんなに?」
与助:「みんな便利だって言ってる」
女房:「それなら、商売にしたら」
与助:「商売?」
女房:「お使い専門の商売よ」
与助:「なるほど」
—
与助は「与助配達」という看板を掲げた。
与助:「これで正式に配達業だ」
女房:「配達料はいくらにする?」
与助:「一件十文くらい」
女房:「安いんじゃない?」
与助:「近所の人だから」
女房:「優しすぎる」
与助:「でも、量で稼ぐ」
—
与助の配達業は大繁盛した。
客:「与助さん、これをあっちに」
与助:「承知しました」
客:「これもお願いします」
与助:「はい」
客:「与助さんがいると便利だ」
与助:「ありがとうございます」
—
一年後、与助は江戸で一番の配達業者になっていた。
与助:「まさか、お使いが商売になるとは」
女房:「でも、みんな喜んでるわ」
与助:「そうだな」
女房:「江戸初の宅配業者よ」
与助:「宅配業者?」
女房:「家まで配達する業者という意味」
与助:「なるほど」
—
与助のもとに、他の町からも依頼が来るようになった。
使者:「与助さん、隣町でも配達業をやってもらえませんか」
与助:「隣町でも?」
使者:「はい、評判を聞いて」
与助:「分かりました」
女房:「事業拡大ね」
与助:「お使いから始まって、まさかこんなことになるとは」
使者:「与助配達、全国展開ですね」
与助:「全国?」
使者:「いずれはそうなるでしょう」
与助:「夢が膨らむな」
まとめ
お使いが本業になり、ついには江戸初の宅配業者として成功。
親切心から始まったことが、大きな商売になってしまいました。
現代の宅配業の先駆けかもしれませんね。


