【AI落語】推しこわい(新作落語)
現代でいう「推し」ですが、江戸時代なら贔屓の芸人でしょうか。歌舞伎役者や力士、芸人などを応援する文化は昔からありました。
今回は、そんな芸人の応援を嫌がる男の話を作ってみました。
まくら
江戸時代の人々は、贔屓の芸人を熱心に応援していました。歌舞伎の役者、相撲の力士、寄席の芸人など、お気に入りができると、とことん応援したものです。
現代の「推し活」と似たような文化が、昔からあったということですね。ただし、中にはそういった応援を嫌がる人もいまして…
あらすじ
市吉「今度の興行で、新顔の芸人が出るらしいぞ。みんなで見に行かないか?」
蔵次「いいねえ。俺も新しい芸人を応援したいと思ってたんだ」
太蔵「みんなで声援を送って、盛り上げようじゃないか」
そこに、面倒そうな顔をした春公がやってきた。
市吉「春公も一緒に芸人を応援しに行かないか?」
春公「え?応援?」
春公の顔がくもる。
春公「と、とんでもねえ!俺は芸人の応援が大の苦手なんだ」
蔵次「なんでだよ?」
春公「あの大きな声で「がんばれ」って叫ぶのを聞くと、耳が痛くて仕方がない。それに、熱狂的な客を見ると怖くて震えが止まらない」
春公「応援ほど恐ろしいものはねえよ」
翌日、三人は春公を誘って、寄席に向かった。
市吉「春公、騒がないから一緒に見ようぜ」
春公「うわああああ!」
ところが、芸人の演技を見て、春公はつい評価してしまう。
春公「あの芸人の間の取り方が絶妙だな。声の出し方も完璧だ」
蔵次「詳しいじゃないか」
春公「客の反応も読めてる。あれは将来有望だぞ」
気がつくと、春公は芸人の技術を完璧に分析していた。
市吉「芸能評論家みたいだ…」
春公「実は俺、元は芸人のマネージャーをやってたんだ。でも、目利きが良すぎて、俺が推薦した芸人ばかりが売れちまう。それで他のマネージャーを困らせるのが怖いんだよ」
まとめ
芸人応援嫌いを装った春公は、実は元芸能マネージャーでした。目利きが良すぎて同業者に迷惑をかけるのを恐れていたとは、芸能界ならではの理由でしたね。
確かに、あまりに優秀なマネージャーがいると、他のマネージャーの立場がなくなってしまうかもしれません。春公の気遣いも理解できます。
これからは適度な目利きで、みんなで芸人を応援できるといいですね。


