大家屋台
大家さんといえば家賃を取り立てる側、店子は払う側。
この当たり前の関係を覆してしまう、とんでもない大家の話を作ってみました。
AI と一緒に考えた話ですが、現実でもありそうで怖いですね。
家賃取り立てに商売を利用する大家
大家が屋台を始めるなんて、普通は考えられませんが、
この大家、家賃の取り立てにも一工夫あるんです。
あらすじ
長屋の大家、権兵衛が頭を悩ませていた。
権兵衛:「困った、困った。みんな家賃を払わない」
女房:「直接取り立てに行けばいいじゃないですか」
権兵衛:「行っても、みんないないふりをする」
女房:「それなら、いる時を狙って」
権兵衛:「いる時に行っても、『今度払う』の一点張りだ」
女房:「じゃあ、どうします」
権兵衛:「屋台でも始めるか」
女房:「屋台?」
—
権兵衛:「店子は腹が減ったら出てくるだろう」
女房:「それはそうですが」
権兵衛:「その時に食い物を売りつけて、ついでに家賃も」
女房:「なるほど、一石二鳥ですね」
権兵衛:「そうだ。これで確実に家賃が取れる」
女房:「でも、屋台の経験はあるんですか」
権兵衛:「経験なんて、やってるうちに覚えるさ」
—
翌日から、権兵衛は屋台を始めた。
権兵衛:「いらっしゃい、うどんはいかが」
通りすがりの客:「うどん一杯」
権兵衛:「へい、毎度。ところで、家賃はいつ払ってもらえますか」
客:「家賃?」
権兵衛:「あ、すみません。間違えました」
客:「なんか変な屋台だな」
—
今度は店子の熊五郎がやってきた。
熊:「おや、大家さん。屋台始めたんですか」
権兵衛:「そうだ。うどんを食ってけ」
熊:「じゃあ、一杯もらいます」
権兵衛:「はい、できました。代金は百文」
熊:「百文?」
権兵衛:「それと、家賃も一緒に」
熊:「家賃?屋台と家賃は関係ないでしょ」
権兵衛:「いや、セット料金で」
—
熊:「そんな料金聞いたことないぞ」
権兵衛:「新しいシステムだ」
熊:「新しくても、払えないものは払えない」
権兵衛:「じゃあ、うどんだけでも」
熊:「うどん代も今度で」
熊五郎はうどんを食べて帰っていく。
権兵衛:「おい、待て!」
熊:「美味しかったです」
権兵衛:「金払えよ!」
—
結局、屋台は全然儲からない。
権兵衛:「これじゃ、屋台の材料費も払えない」
女房:「どうします」
権兵衛:「仕方ない、店子に金を借りよう」
女房:「店子に?」
権兵衛:「熊五郎は職人だから、多少は金を持ってるはずだ」
女房:「でも、家賃を取り立てる側が、金を借りるなんて」
権兵衛:「背に腹は代えられない」
—
権兵衛は熊五郎の部屋を訪ねた。
権兵衛:「熊五郎、頼みがある」
熊:「なんです、大家さん」
権兵衛:「実は、金を貸してもらえないか」
熊:「金を?」
権兵衛:「屋台の借金が払えなくて」
熊:「屋台の借金?」
権兵衛:「食材を買うのに借金したんだ」
熊:「へえ、大家さんも大変ですね」
—
権兵衛:「頭を下げて頼む」
熊:「分かりました。貸してあげます」
権兵衛:「ありがとう」
熊:「その代わり、家賃は帳消しにしてください」
権兵衛:「えっ?」
熊:「金を貸すんですから、家賃なしで」
権兵衛:「そんな…」
熊:「それとも、他の人に借りますか」
権兵衛:「いや、お願いします」
こうして権兵衛は、店子に頭を下げて金を借り、家賃も帳消しにする羽目になった。
権兵衛:「これじゃ、俺が店子で、熊五郎が大家みたいだ」
まとめ
家賃を取り立てるために始めた屋台で、逆に店子に金を借りる羽目に。
立場が完全に逆転してしまいました。
でも、こうして上下関係がひっくり返るのも、落語の醍醐味ですね。
現実でも、こんな逆転劇があったら面白いのですが。


