【時事落語】お墓のエステ(新作落語)
導入
みなさん、こんにちは。今日もまた時事ネタ落語をお届けします。
今年の夏も相変わらず猛暑でしたね。そんな中、お墓のクリーニングサービスが前年比1.5倍の大人気だというニュースを見つけました。なんと料金は4万4000円から。コーティングまですると7万円超え!
墓石もエステに通う時代になったのかと思うと、なんだか複雑な気持ちになります。そんな現代の墓参り事情を、今回も関西弁の落語でお楽しみください。
まくら
えー、毎度バカバカしいお笑いを一席。
最近はなんでもかんでも「代行」やら「サービス」やら、便利になりましたなぁ。
買い物代行、家事代行、宿題代行なんてのもあるそうで。そのうち「生きるの代行」なんてのも出てくるんちゃいますか?
「あんたの代わりに人生送っときましたで」
「そら助かるわ。で、どないやった?」
「まあまあでしたわ」
「まあまあて、もうちょっと頑張ってくれや!」
なんて具合にね。
あらすじ
さて、この夏の話でございます。
大阪の天王寺あたりに住む田中はん。もう70過ぎて、最近は足腰も弱ってきましてな。
田中「あー、もうすぐお盆やなぁ。墓参り行かなあかんのやけど、この暑さやろ?去年なんか墓場で倒れかけたからなぁ」
そこへ息子の健一が帰ってきました。
健一「おとん、ええもん見つけてきたで!」
田中「なんや、墓参りロボットでも買うてきたんか?」
健一「違うがな。お墓のクリーニングサービスや。プロが墓石をピッカピカにしてくれるねん」
田中「ほぉ、そんなんあるんか」
健一「水あかもコケも、鳥のフンも全部落としてくれて、さらにコーティングまでしてくれるねん。これで3年は綺麗なままやて」
田中「ええやないか。で、いくらや?」
健一「洗浄が4万4000円、コーティングが2万7500円」
田中「なんやて!7万超えるやないか!わしの年金何ヶ月分や思てんねん」
健一「でも考えてみぃや。これで暑い中、墓参り行かんでもええねん」
田中「行かんでもって、墓石綺麗にしたら墓参り行かんでええんか?」
健一「いや、その…綺麗になったら先祖も喜ぶやろ」
というわけで、結局7万円払ってお墓のクリーニングを頼んだ田中はん。
1週間後、業者から連絡が来ました。
業者「田中様のお墓、ピッカピカにさせていただきました。新品みたいですよ」
田中「ほんまか!よっしゃ、見に行こか」
墓場に着いた田中はん、自分の家の墓を見てビックリ。
田中「おお!ほんまにピカピカや!鏡みたいやないか」
健一「な、言うたやろ?これで先祖も喜んでるわ」
ところが、1ヶ月後。
健一が興奮気味に帰ってきました。
健一「おとん、ええニュース!」
田中「なんや?」
健一「あのクリーニング会社、新サービス始めたで。『墓参り代行サービス』や」
田中「墓参り代行?」
健一「そうや!月1万円で、代わりに墓参り行ってくれるねん。花も線香も全部込み。写真撮って送ってくれるから、行った証拠も残る」
田中「ほぉ…」
健一「これで暑い日も寒い日も、墓参り行かんでええ。完璧やろ?」
田中「なぁ健一」
健一「なんや?」
田中「墓石のクリーニングは他人に頼む」
健一「うん」
田中「墓参りも他人に頼む」
健一「そうや、便利やろ?」
田中「…それもう、墓いらんやろ!」
まとめ
というわけで、現代のお墓事情を落語にしてみました。
確かに高齢化で墓参りが大変になっているのは事実です。クリーニングサービス自体は悪いことではありません。でも、墓参りの本質は墓石を綺麗にすることじゃなくて、ご先祖様に会いに行くことですよね。
「墓石ピカピカ、でも1年顔見せず」より「墓石は汚れてても、毎月顔見せに」の方が、きっとご先祖様も喜ぶはず。
次回はまた別の時事ネタでお会いしましょう。それでは、お後がよろしいようで。
今日の教訓: 全部他人に任せるなら、それもう墓いらんやろ。便利さを追求しすぎると、本質を見失ってしまうという現代社会への痛烈な一言です。


