タバコの煙
飲み屋でのタバコの煙は、喫煙者と非喫煙者の間でトラブルの元になることがあります。
今回は、タバコの煙を巡る客同士の喧嘩を大正時代風の言葉でお届けします。
分煙が進んだ現代でも、なかなか難しい問題ですね。
タバコの煙で始まる争い
飲み屋でタバコを吸う客と、煙が嫌いな客が喧嘩を始めるお話です。
あらすじ
大正時代風の飲み屋で、二人の客が隣り合わせで飲んでいた。
客Aがタバコを取り出した。
客A「一服させていただきます」
客B「あの、すみません」
客A「なんでございますか」
客B「タバコはご遠慮いただけませんでしょうか」
客A「ご遠慮?」
客B「はい、煙が苦手でございまして」
客A「煙が苦手?」
客B「はい」
客A「でも、こちらは喫煙席でございますが」
客B「喫煙席?」
客A「はい、タバコを吸ってもよろしい席でございます」
客B「そんなことございません」
客A「ございませんとは?」
客B「こちらは禁煙席でございます」
客A「禁煙席?」
客B「はい、タバコを吸ってはいけない席でございます」
客A「そんなバカなことがございましょうか」
客B「バカなことではございません」
客A「こちらは確実に喫煙席でございます」
客B「確実に禁煙席でございます」
客A「喫煙席でございます」
客B「禁煙席でございます」
客A「喫煙席だと申しております」
客B「禁煙席だと申しております」
二人は立ち上がった。
親父「お二人とも、どうなさいました」
客A「親父さん、こちらの方が喫煙席でタバコを吸うなと申します」
親父「喫煙席で?」
客B「親父さん、こちらは禁煙席でございましょう」
親父「禁煙席?」
客B「はい」
親父「お客さん、こちらは喫煙席でございますよ」
客A「やはり喫煙席でございましたか」
客B「喫煙席?」
親父「はい、喫煙席でございます」
客B「でも、看板に禁煙と書いてございましたが」
親父「看板?」
客B「はい、入り口の看板でございます」
親父「あぁ、あの看板でございますか」
客B「はい」
親父「お客さん、あの看板は『禁煙席』ではございませんよ」
客B「では、何でございますか」
親父「『金煙草』でございます」
客A「金煙草?」
親父「はい、当店で扱っている上等なタバコの銘柄でございます」
客B「銘柄?」
親父「はい、『金煙草』という高級タバコでございます」
客A「それでは、禁煙席ではございませんでしたか」
親父「はい、喫煙席でございます」
客B「そうでございましたか」
親父「はい」
客B「では、タバコを吸われても構いませんでした」
客A「ありがとうございます」
客B「いえいえ、勘違いして申し訳ございませんでした」
客A「いえ、お気になさらずに」
親父「よかった、よかった」
客A「それでは、一服させていただきます」
客Aがタバコに火をつけた。
客B「あの、すみません」
客A「なんでございますか」
客B「やはり、煙が苦手でございます」
客A「え?」
客B「喫煙席でございましても、煙は苦手でございます」
客A「それでは、どうすればよろしいでしょうか」
客B「席を変わっていただけませんでしょうか」
客A「席を?」
客B「はい」
親父「お客さん、なんで喫煙席に座ったんでございますか」
客B「空いていたからでございます」
親父「空いていたから?」
客B「はい」
親父「でも、煙が苦手でございますのに」
客B「はい、そうでございます」
親父「それでは、最初から禁煙席に座ればよろしかったのでは」
客B「禁煙席?」
親父「はい、向こうの席は禁煙席でございます」
客B「そうでございましたか」
親父「はい」
客B「では、向こうに移らせていただきます」
客A「よろしくお願いします」
客B「こちらこそ」
親父「お客さん、タバコの煙やなくて、き(気)ん(ん)え(煙)んでしたな」
客B「きんえん?」
親父「はい、気が煙に巻かれて、きんえん(禁煙)席を間違えたということでございます」
まとめ
いかがでしたでしょうか。
飲み屋での客同士の喧嘩を、タバコの煙を巡る争いとして大正時代風の言葉で表現してみました。
オチの「禁煙」と「気ん煙(気が煙に巻かれる)」をかけた言葉遊びです。
看板の見間違いと席の選択ミスという、よくありがちな勘違いが面白く描けたでしょうか。
今回は67点くらいでしょうか。


