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【古典落語】二十四孝 あらすじ・オチ・解説 | 親孝行を始めたら母親が一晩中扇いでくれてた感動話

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話芸の殿堂-古典落語-二十四孝
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二十四孝

3行でわかるあらすじ

親不孝な辰吉が大家から二十四孝の話を聞き、親孝行を決意する。
呉猛の話を真似て酒を体に塗るはずが、もったいないと飲んでしまって寝てしまう。
翌朝蚊に刺されていないと自慢すると、母親が一晩中扇いでくれていたことが判明する。

10行でわかるあらすじとオチ

親不孝で喧嘩っ早い辰吉が隣家と喧嘩し、女房と母親まで殴って蹴飛ばす。
大家に叱られ、店を明け渡せと言われて、仕方なく親孝行すると約束する。
大家は二十四孝の話をして、親孝行すればお上から褒美がもらえると教える。
辰吉は友達に二十四孝の話をするが、つけ焼き刃でとんちんかんな内容になる。
家に帰って母親を起こし、これから親孝行すると宣言して酒を持って来させる。
呉猛の話を真似て体に酒を塗るつもりだったが、もったいないと舐め始める。
結局全部飲んでしまい、酔って高いびきで夜明けまで眠ってしまう。
翌朝母親に起こされ、蚊に刺されていないことに気づいて得意になる。
「蚊帳なんかなくても蚊が一匹も出なかった」と自慢する辰吉。
母親が「馬鹿なこと言うな、あたしが夜っぴき扇いでたんだから」とオチ。

解説

「二十四孝」は、親不孝な男が親孝行を試みるものの失敗し、結果的に母親の愛情を知ることになる心温まる人情噺です。タイトルの「二十四孝」は中国の古典『二十四孝』に由来し、24人の孝行者の逸話集を指します。大家が語る王祥、王裒、孟宗、呉猛の話は実際にこの古典に収録されている内容です。

この噺の面白さは、辰吉の不器用さと母親の無償の愛のコントラストにあります。呉猛の故事では、蚊除けのために自分の体に酒を塗って父親を守りましたが、辰吉は酒を飲んでしまうという本末転倒ぶりが滑稽です。しかし、結果的に母親が一晩中扇いで息子を蚊から守っていたという事実が明らかになり、真の親孝行とは何かを問いかけます。

オチの「夜っぴき扇いでた」は、息子の失敗を責めることなく、ただ愛情を注ぎ続ける母親の姿を描いており、聴衆の心を打つ人情味あふれる結末となっています。演者は辰吉の粗野さと母親の慈愛を対比させながら演じることで、笑いの中にも深い感動を呼び起こす一席です。

あらすじ

長屋の大家が喧嘩の絶えない辰吉を呼び入れる。
隣家と喧嘩の間に入った女房をなぐり、女房をかばった母親を蹴飛ばしたという。
大家はそんな親不孝のやつはこの長屋には置けない、店(たな)を明け渡せとせまる。
仕方なく辰吉は料簡を入れ替えて親孝行するという。

大家は「孝行をしたい時には親はなし。されど石に布団は着せられず」と、唐土(もろこし)の24人の親孝行の二十四孝の話を始めた。

「王祥は継母が寒中に鯉が食べたいというので池に行き、氷に上に突っ伏した。
氷が少し融けて鯛が2匹出て来た。
親孝行の威徳で、天の感ずる所となったのだ。
王裒(おうほう)は母親が雷が嫌いだったので、母の死後も雷が鳴ると着物を脱いで墓石に着せた。

孟宗は病気の母が冬に筍(たけのこ)が食べたいというので竹藪に行ったがむろん筍は生えていない。
天を仰いで落涙すると雪の地面が盛り上がり、掘ったところ筍が2本出てきた。
これも親孝行の威徳で、天の感ずる所だ。

呉猛の家は貧しく蚊帳が買えなかった。
呉猛は父親が蚊に刺されないようにと、父親に自分の着物を着せ、自分の体に酒を塗って裸で寝た。
すると天の感じる所で呉猛も蚊に刺されなかった。

日本にも親孝行の話はある。
美濃国に小佐治という木こりの若者がいた。
酒好きな父親に酒を飲ませたいが買う金がない。
ある日、山奥で木を切っていると、酒の匂いが漂ってきた。
匂いの方へ行くと滝に出た。
この滝の水が酒だった。
ふくべに入れて持ち帰り、父親に飲ませた。これが養老の滝で、時の帝の耳に入り年号も養老に改まったという」

大家からさらに親孝行すればお上から褒美がもらえると聞いた辰公、早速、親孝行に取り掛かろうと長屋に戻る。
途中、喧嘩して家を飛び出してきたという友達に二十四考の話をするが、つけ焼き刃なんとかで、筋が通らないとんちんかんな話になってしまう。

長屋に戻って、寝ている婆さん(母親)を起し、これから親孝行すると言って酒を持って来させる。
体に塗るつもりだったが、もったないと言ってなめ始め、はては全部飲んでしまって高いびきで、夜明けまでぐっすりだ。

母親に起こされた辰公、蚊に食われていないことが分かると、天の感ずる所と自慢げに、

「どうだ、蚊帳なんかなくたって、蚊なんか一匹も出なかったろ」

母親 「馬鹿なこと言うんじゃないよ、あたしが夜っぴき仰いでたんだから」


この噺は、笑いの中に深い母の愛を描いた人情噺の傑作です。親孝行に失敗しても、それを責めることなく一晩中扇いで守り続ける母親の姿が、聴く者の心を打ちます。

落語用語解説

二十四孝(にじゅうしこう)

中国の元代に編纂された孝行の教訓書。王祥、王裒、孟宗、呉猛など24人の孝行者の逸話を集めたもので、江戸時代には日本でも広く知られていました。この噺のベースとなる古典です。

店を明け渡す(たなをあけわたす)

借りている長屋の部屋を出ていくこと。江戸時代の長屋では、大家の権限が強く、素行の悪い店子は追い出されることがありました。辰吉はこれを恐れて親孝行を決意します。

料簡を入れ替える(りょうけんをいれかえる)

考え方や態度を改めること。辰吉が親不孝から親孝行へと心を入れ替える決意を表す言葉です。

威徳(いとく)

徳が高いことによって生じる感化力や影響力。二十四孝の故事では、孝行者の威徳によって天が感応し、奇跡が起こるとされています。

天の感ずる所(てんのかんずるところ)

天が徳の高い行いに感応して奇跡を起こすこと。辰吉は自分が蚊に刺されなかったのも天の感応だと勘違いして喜びます。

つけ焼き刃(つけやきば)

にわか仕込みの知識や技術のこと。辰吉が大家から聞いたばかりの二十四孝の話を友達に語ろうとして失敗する様子を表します。

夜っぴき(よっぴき)

夜通し、一晩中のこと。母親が一晩中扇いでいたことを表す江戸言葉です。このオチの一言が噺全体の感動を生み出します。

養老の滝(ようろうのたき)

岐阜県養老町にある滝。孝行息子のために酒が湧き出たという伝説があり、これにちなんで元正天皇が「養老」と改元したという故事が残っています。

孝行したい時には親はなし

親孝行をしたいと思った時には親が亡くなっているという戒めの言葉。大家が辰吉に親孝行の大切さを説く際に使います。

石に布団は着せられず

親が亡くなってからでは親孝行はできないという意味のことわざ。「孝行したい時には親はなし」に続く言葉です。

蚊帳(かや)

蚊を防ぐために吊る網状の布。江戸時代の必需品でしたが、貧しい家では買えないこともありました。呉猛の故事もこれを前提としています。

褒美(ほうび)

良い行いに対して与えられる賞や金品。大家は辰吉に、親孝行すればお上から褒美がもらえると教えて動機づけをします。

よくある質問 FAQ

なぜ辰吉は酒を塗らずに飲んでしまったのですか?

辰吉は元々酒好きで、性格も粗野な人物として描かれています。親孝行をしようという気持ちはあっても、目の前の酒を我慢できないという人間的な弱さが、この噺の笑いの核心です。本末転倒な行動が、かえって母親の愛情を浮き彫りにする構造になっています。

二十四孝の故事は実話なのですか?

二十四孝は中国の元代に編纂された教訓書で、実在の人物や伝説上の人物の孝行譚を集めたものです。史実性よりも教訓としての価値が重視されており、日本では江戸時代に儒教思想とともに広まりました。落語ではこれを知識として使いながら、人間の不完全さを描いています。

なぜ大家は辰吉を追い出さなかったのですか?

辰吉が親孝行を誓ったからです。江戸時代の長屋社会では、大家は単なる家主ではなく、店子の生活や道徳の指導者的役割も担っていました。辰吉の改心を信じて二十四孝の話を聞かせる大家の姿は、共同体の温かさを象徴しています。

この噺のオチはどこが感動的なのですか?

息子の失敗を責めることなく、一晩中扇いで守り続けた母親の無償の愛が明らかになる点です。辰吉は親孝行に失敗しましたが、母親はそれを咎めるどころか、息子を蚊から守るために夜通し扇いでいました。この対比が、真の親子愛を浮き彫りにします。

なぜこの噺は人情噺に分類されるのですか?

笑いだけでなく、親子の情愛という深いテーマを扱っているからです。辰吉の不器用さは滑稽ですが、最後のオチで明らかになる母親の愛情は、聴衆の心を打ちます。落語は笑わせるだけでなく、人間の本質的な感情を描く芸能でもあります。

現代でもこの噺は通用しますか?

親子の愛という普遍的なテーマを扱っているため、時代を超えて共感を呼びます。形式的な親孝行よりも、互いを思いやる気持ちの大切さというメッセージは、現代社会でも変わらず価値があります。不器用でも真心があれば伝わるという教訓は、今でも多くの人の心に響きます。

名演者による口演

この噺は人情噺の代表作として、多くの名演者が演じてきました。辰吉の粗野さと母親の慈愛を対比させる技が見どころです。

  • 古今亭志ん生 – 辰吉の粗野で不器用な人柄を生き生きと描き、母親の愛情との対比を鮮やかに表現
  • 三遊亭円生 – 二十四孝の故事を丁寧に語り、人情味あふれる母親像を温かく演出
  • 桂米朝 – 上方落語的な柔らかさで、笑いの中にも深い感動を呼び起こす名演
  • 柳家小三治 – 間の取り方が絶妙で、オチの「夜っぴき扇いでた」に至る流れが秀逸
  • 立川談志 – 辰吉の人間的な弱さと母親の強さを鋭く対比させた独特の解釈

関連する落語演目

芝浜(しばはま)

https://wagei.deci.jp/wordpress/shibahama/
夫婦愛と人間の成長を描いた人情噺の最高傑作。「二十四孝」と同様に、人間の弱さと愛情の深さを描いています。

文七元結(ぶんしち)

https://wagei.deci.jp/wordpress/bunshichi/
親の愛情と子の成長を描いた感動的な人情噺。親子の情愛という点で「二十四孝」と通じるテーマがあります。

子別れ(こわかれ)

https://wagei.deci.jp/wordpress/kowakare1/
親子の情愛を描いた人情噺の代表作。「二十四孝」と同様に、親の無償の愛を描いています。

時そば(ときそば)

https://wagei.deci.jp/wordpress/tokisoba/
機転と騙しを描いた噺。辰吉の不器用さとは対照的な、巧妙な知恵者を描いています。

この噺の魅力と現代への示唆

「二十四孝」は、親孝行という儒教的な理想を題材にしながら、人間の不完全さと母親の無償の愛を描いた傑作です。辰吉は親孝行をしようとして失敗しますが、その失敗すら母親は温かく受け入れ、一晩中息子を守り続けます。

この噺が教えてくれるのは、形式的な親孝行よりも、互いを思いやる気持ちの大切さです。辰吉は呉猛の故事を真似ようとして酒を飲んでしまいますが、母親はそれを責めるどころか、息子のために夜通し扇を仰ぎます。真の愛情とは、相手の失敗を許し、見返りを求めず与え続けることだという深いメッセージが込められています。

現代社会でも、親子関係における期待と現実のギャップは存在します。完璧な親孝行ができなくても、不器用でも真心があれば伝わるという教訓は、今でも多くの人の心に響くでしょう。母親の「夜っぴき扇いでた」という一言は、どんな時代でも変わらない親の愛の深さを象徴しています。

江戸時代の庶民の知恵と人情が詰まった、笑いと感動が同居する名作です。

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