【AI落語】分子ガストロノミー弁当(新作落語)
最近は分子ガストロノミーという技術で、見た目と味が全く違う料理を作れるようになったそうです。
これを日本のお弁当に応用したら…きっと面白いことになりそうですな。
まくら
昔のお弁当は、見た目通りの味でしたが、今度は見た目は卵焼きなのに味はステーキなんて料理ができるっていうんですから、食べる方も混乱しそうです。
本編
老舗弁当屋「田中弁当」の三代目、田中店主(50歳)。
息子で料理科学者の田中ジュニア(28歳)から、革新的な提案を受けました。
ジュニア「父さん、分子ガストロノミーでお弁当を作りませんか?」
店主「分子?原子とかの話か?」
ジュニア「料理を分子レベルで分解・再構成する技術です」
店主「難しすぎてわからん」
ジュニア「見た目と味を分離できるんです」
店主「分離?」
ジュニア「ご飯に見えるけど実はステーキの味とか」
店主「それって詐欺じゃないか?」
ジュニア「食の芸術です」
分子弁当店開業
「分子田中弁当」として新装開店。
厨房には分子調理器具がずらり。
ジュニア「液体窒素、超音波装置、pH調整器…」
店主「実験室みたいだな」
最初のお客さんは常連のサラリーマン。
客「いつもの幕の内弁当ください」
店主「今日からは分子幕の内です」
客「分子?何が違うんですか?」
ジュニア「見た目は普通ですが、味は驚きの連続です」
初回提供
分子幕の内弁当を提供。
見た目は完璧に普通の弁当。
客「普通に見えますね」
店主「食べてみてください」
ご飯を口に入れると…
客「これ、肉の味!?」
ジュニア「米の分子構造を保ったまま、肉のタンパク質を注入しました」
客「ご飯なのに肉?」
次に卵焼きを食べると、
客「魚の味がする!」
ジュニア「見た目は卵、中身は鮭です」
客「騙された気分…でも美味しい」
客の混乱
分子弁当が評判になって客が増えるが、混乱も増加。
客A「きんぴらごぼうだと思って食べたらチョコレートだった」
客B「漬物がフルーツの味」
客C「梅干しが肉まんの味で頭がおかしくなった」
店主「客が混乱してるぞ」
ジュニア「固定観念を打ち破るのが目的です」
でも、お年寄りには不評。
おじいさん「わけのわからん弁当じゃ」
おばあさん「見た目通りの味がいい」
ジュニア「保守的ですね」
店主「伝統的とも言う」
逆転の発想
ジュニアが逆パターンを開発。
ジュニア「味は普通、見た目が奇抜な弁当はどうでしょう?」
店主「どういうこと?」
ジュニア「青いご飯だけど普通の米の味とか」
着色技術で見た目だけ変えた弁当。
客「真っ青なご飯?」
でも食べると普通の米の味。
客「安心した」
ジュニア「視覚のトリックです」
システム暴走
ある日、分子調理システムが暴走。
システム『ランダム分子変換モード開始』
ジュニア「まずい!制御不能だ」
結果、予測不可能な弁当が大量生産される。
店主「どんな弁当ができたんだ?」
客D「宝石の味がする弁当です」
客E「雲の食感の弁当」
客F「音楽が聞こえる弁当」
店主「音楽?食べ物が歌うのか?」
客F「♪さくらさくら〜って聞こえます」
ジュニア「聴覚に作用する分子ができたようです」
五感弁当の誕生
暴走事故から新商品のヒントを得る。
ジュニア「五感すべてに作用する弁当を作りましょう」
店主「五感?」
ジュニア「味覚、嗅覚、視覚、聴覚、触覚全てです」
「五感刺激弁当」が完成。
食べると、色が変わり、音が聞こえ、香りが広がり、舌触りが変化する。
客「弁当がエンターテイメントになってる」
でも、刺激が強すぎて疲れる客も。
客G「食事に集中できない」
客H「静かに食べたい」
伝統回帰運動
分子弁当疲れした客たちが、普通の弁当を求め始める。
客I「たまには見た目通りの味が食べたい」
客J「安心できる弁当はありませんか?」
店主「やっぱり伝統的な弁当が良いんじゃないか?」
ジュニア「でも技術は捨てるのはもったいない」
店主「適度に使うのはどうだ?」
融合弁当の開発
伝統と革新を組み合わせた新商品。
ジュニア「70%は普通、30%は分子技術はいかがでしょう?」
店主「バランス弁当だな」
「伝統革新弁当」として再スタート。
基本は普通の弁当だが、一品だけ分子料理が入っている。
客「おまけ感覚で楽しめる」
客「メインは安心、デザートは驚き」
これが大ヒット。
店主「丁度良い塩梅だったな」
他店との差別化
分子弁当ブームで、他店も真似を始める。
競合店「うちも分子弁当始めました」
店主「競争が激しくなった」
ジュニア「差別化を図りましょう」
新サービス「カスタム分子弁当」。
客の好みに応じて分子調理をカスタマイズ。
ジュニア「アレルギーがある方には、味だけ移植してアレルゲンは除去します」
客「アレルギー持ちでも安心」
これが医療関係者に人気。
医師「糖尿病患者向けの甘味だけ分子弁当はできますか?」
ジュニア「味覚だけでカロリーゼロにできます」
店主「治療食の分野に進出だ」
オチ
1年後、田中分子弁当は地域医療に貢献する店として有名に。
医師「病院食の概念が変わりました」
患者「まずい薬も美味しい味になって飲みやすい」
ジュニア「医食同源を科学的に実現しました」
でも、意外な問題が発生。
食品衛生署員「分子操作した食品の安全基準が不明です」
店主「安全基準?」
署員「どこまでが食品でどこからが薬品なのか」
ジュニア「グレーゾーンですね」
結局、新しい食品カテゴリとして認定される。
署員「『科学調理食品』として新設します」
店主「新ジャンルの第一号か」
でも、最後に常連のおじいちゃんが一言。
おじいさん「結局、腹が膨れりゃ何でも良いんじゃ」
店主「シンプルな結論だな」
おじいさん「でも、たまには驚きがあった方が楽しい」
ジュニア「おじいちゃんも変化を楽しんでるじゃないですか」
おじいさん「年をとっても新しいことは面白いからな」
店主「伝統も革新も、どちらも大切だということか」
でも、新人のバイトが入って、
新人バイト「この青い卵焼き、本当に卵焼きなんですか?」
ジュニア「見た目は違うけど、中身は卵焼きです」
新人バイト「逆分子ですね」
店主「逆分子って何だよ」
新人バイト「普通の作り方で見た目だけ変える技術です」
ジュニア「それは着色と言うんだ」
新人バイト「専門用語で言った方がカッコイイかなって」
店主「若いやつは何でも専門用語にしたがる」
おじいさん「昔も今も、若者は同じじゃな」
まとめ
というわけで、どんなに新しい技術があっても、伝統との融合が大切という話でした。
分子料理も面白いですが、馴染みのある味があってこそ安心できるということですね。
ただし、逆分子という専門用語は、さすがに造語すぎるかもしれませんが。


