迷子将棋其の二
前回「近道の名人」として有名になった竹千代が、また新しいアイデアを思いつきました。
今度は将棋の駒の動きを使って道案内をするという、独創的な方法。
でも、現実の道は将棋盤のようにはいかないものです。
将棋の駒の動きで道案内
将棋しか頭にない竹千代が考えた、究極の道案内法。
でも、現実には桂馬飛びで進める道なんてありません。
あらすじ
前回道案内で有名になった竹千代が、新しい道案内法を思いついた。
竹千代:「師匠、新しい道案内法を考えました」
師匠:「新しい道案内法?」
竹千代:「将棋の駒の動きで道を説明するんです」
師匠:「駒の動き?」
竹千代:「はい、飛車のように真っ直ぐ行くとか、桂馬のように曲がるとか」
師匠:「面白いが、分かるかな」
竹千代:「将棋を知ってる人なら、分かりやすいと思います」
師匠:「まあ、やってみなさい」
—
竹千代は早速、新しい道案内法を試してみた。
通行人:「すみません、浅草寺への道を教えてください」
竹千代:「浅草寺ですね」
通行人:「はい」
竹千代:「まず、飛車のように真っ直ぐ北に向かってください」
通行人:「飛車のように?」
竹千代:「はい、障害物にぶつかるまで真っ直ぐです」
通行人:「障害物?」
竹千代:「川があるので、そこで止まります」
—
竹千代:「次に、角のように斜めに右上に進んでください」
通行人:「角のように?」
竹千代:「はい、斜めに一マス進んで」
通行人:「一マス?」
竹千代:「あ、一マスというのは、一区画のことです」
通行人:「一区画斜めに?」
竹千代:「そうです」
通行人:「でも、斜めの道がありません」
竹千代:「え?」
—
通行人:「道は真っ直ぐか曲がるかで、斜めの道はないです」
竹千代:「そうか、現実の道は将棋盤と違うんですね」
通行人:「当たり前でしょう」
竹千代:「じゃあ、桂馬飛びで」
通行人:「桂馬飛び?」
竹千代:「二つ前に行って、一つ右に曲がってください」
通行人:「二つ前って、何の単位ですか」
竹千代:「えーと、二つ向こうの角まで」
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通行人:「分かりました、二つ向こうの角まで行けばいいんですね」
竹千代:「はい、そして桂馬飛びで右に」
通行人:「右に曲がればいいんですね」
竹千代:「そうです」
通行人:「でも、桂馬飛びって何ですか」
竹千代:「将棋の桂馬の動きです」
通行人:「将棋は分からないので、普通に説明してください」
竹千代:「普通に?」
—
竹千代は普通の道案内ができなくなっていた。
竹千代:「えーと、王将のように一歩ずつ」
通行人:「王将?」
竹千代:「一歩ずつ進んでください」
通行人:「普通に歩けばいいんですね」
竹千代:「そうです、でも金将のように斜めにも進めます」
通行人:「斜めの道はないって言ったでしょう」
竹千代:「そうでした」
—
結局、通行人は混乱して帰ってしまった。
竹千代:「将棋の駒の動きで道案内するのは難しいな」
師匠:「当たり前だ、現実の道は将棋盤じゃない」
竹千代:「でも、将棋好きの人なら分かるんじゃないですか」
師匠:「試してみなさい」
竹千代:「はい」
—
将棋好きの人がやってきた。
将棋好き:「道を教えてください」
竹千代:「どこまで?」
将棋好き:「神田明神まで」
竹千代:「飛車のように真っ直ぐ行って、桂馬飛びで右に曲がって」
将棋好き:「なるほど、分かりました」
竹千代:「分かりますか?」
将棋好き:「はい、面白い説明ですね」
—
その人は迷わず神田明神に着いた。
将棋好き:「ありがとうございました、分かりやすかったです」
竹千代:「本当ですか?」
将棋好き:「はい、将棋の駒の動きで道を覚えられました」
竹千代:「将棋も覚えられる?」
将棋好き:「そうです、道を覚えながら将棋も覚えられる」
竹千代:「それは一石二鳥ですね」
将棋好き:「将棋道案内法として広めてください」
—
竹千代の「将棋道案内法」は、将棋好きの間で評判になった。
竹千代:「将棋道として、新しい道案内法を発明しました」
師匠:「将棋道?」
竹千代:「道を覚えながら将棋も覚えられる方法です」
師匠:「面白いが、将棋を知らない人には無理だな」
竹千代:「でも、将棋を覚えるきっかけにはなります」
師匠:「それは確かに」
客:「将棋道案内、お願いします」
竹千代:「飛車のように真っ直ぐ行って、角のように斜めに…あ、斜めの道はありませんね」
まとめ
将棋の駒の動きで道案内をする竹千代。
将棋好きには好評だが、一般の人には通じない専門的な道案内法。
でも、将棋を覚えるきっかけにはなるという、教育的な効果もある話でした。


