スポンサーリンク

【古典落語】伽羅の下駄 あらすじ・オチ・解説 | 早起き豆腐屋が高級下駄で300両の大逆転劇

スポンサーリンク
話芸の殿堂-古典落語-伽羅の下駄
スポンサーリンク
スポンサーリンク

伽羅の下駄

3行でわかるあらすじ

豆腐屋の六さんが大工の源公と吉原に通い続けて朝寝坊し、大家から店立てを脅かされる。
翌朝心を入れ替えて早起きした六さんのところに武家が水を求めて来て、お代わりに下駄を置いて行く。
その下駄が仙台の殿様の伽羅の下駄で300両もの価値があり、六さんとかみさんが「ゲタゲタ」「きゃらきゃら」と笑う。

10行でわかるあらすじとオチ

豆腐屋の六さんは毎夜大工の源公と吉原に冷やかしに行って朝寝坊を続けている。
大家から店を開けるのが遅いと叱られ、「早起きは三文の得」だから心を入れ替えよと脅される。
翌朝は源公の誘いを断って早起きし、石臼で豆を挽いて店の支度をしていた。
すると紫の頭巾を被った上品な武家が水を飲ませてくれと言って現れる。
六さんが掘抜き井戸から冷たい水を汲んで差し出すと武家は美味そうに飲み干す。
武家は金の持ち合わせがないと言って自分の下駄を脱いで六さんに渡し、汚い草鞋を履いて帰る。
六さんは井戸の水では銭にならないと愚痴りながら朝飯を食べていると良い香りが漂ってくる。
土間の下駄がかまどの火にあぶられて芳香を出しているので大家のところに持参する。
大家はこれが吉原の三浦屋の高尾太夫に通う仙台の殿様の伽羅の下駄で片方150両はする代物だと教える。
六さんとかみさんが「ゲタゲタ」「きゃらきゃら」と笑って、下駄の名前と笑い声を掛けたダジャレオチとなる。

解説

「伽羅の下駄」は江戸落語の人情噺で、「早起きは三文の得」ということわざを地で行くような痛快な逆転劇です。伽羅(きゃら)とは東南アジア原産の香木で、特に上質なものは「伽羅」と呼ばれ、江戸時代には非常に高価な品でした。この貴重な伽羅で作られた下駄は大名や豪商といった身分の高い人物しか持てない超高級品でした。

この噺の見どころは、怠惰な豆腐屋が一夜にして大金持ちになるというサクセスストーリーと、最後の「ゲタゲタ」「きゃらきゃら」という笑い声が商品名と重なる言葉遊びのオチです。また、吉原の名妓高尾太夫と仙台伊達家の殿様という実在した人物を織り込むことで、話に信憑性と華やかさを添えています。

オチは典型的なダジャレオチで、夫婦の喜びの笑い声「ゲタゲタ」「きゃらきゃら」が、そのまま「下駄」「伽羅」という商品名になっているという二重の意味を持たせた洒落となっています。庶民のささやかな幸福を描いた心温まる作品として多くの落語家に愛演されています。

あらすじ

豆腐屋の六さんが大家から呼ばれる。
店賃の催促と思いきや、大家は店を開けるのが遅いのは何故かという。
六さんは毎夜、大工の源公に誘われて吉原に冷やかしに行って遅くなり、朝寝坊しているのだ。

大家から、「豆腐屋は朝が早いのが決まりで、豆腐が朝飯に間に合わなければ町内の連中も困る、「早起きは三文の得」とも言う。
心を入れ替えなければ店立てする」と脅かされる。

その晩は源公の誘いを断った六さん、翌朝はすっきりと早起きで、店の戸を少し開けて石臼で豆を挽いていた。
そこへ紫の頭巾を被った品のいい武家が、水を飲ませてくれと言って来た。

六さんは掘抜き井戸から冷たい水を汲み差し出すと、武家は美味そうに一気に飲み干し、お代わりした。
武家はあいにく金の持ち合わせはないのでと、下駄をぬいで六さんに与え、代わりに汚い草鞋(わらじ)をはいて帰って行った。

六さんは井戸の水じゃあ銭にはならず、「早起きなんて一文の得にもならねぇ」と、ぼやきながら朝飯を食い始めた。
するとどこからかいい香りが漂って来た。
土間に置いた下駄が、かまどの火にあぶられて芳香を出しているのだ。
何の下駄だろうと思った六さんは大家の所へ持って行く。

大家はこの下駄は吉原の三浦屋の高尾太夫の所に通う仙台の殿様の「伽羅の下駄」だと言う。
片方でも百五十両は下だらない値打ち物という。
三文の得どころか三百両もの大得ですっかり喜んだ六さん、「ゲタゲタ」と大笑いして、店に戻ってかみさんに、「伽羅の下駄で、一足で三百両だ」と話すと、

かみさん 「こんな嬉しいことはない、きゃらきゃらきゃら」

落語用語解説

伽羅(きゃら)

東南アジア原産の香木の最高級品で、沈香(じんこう)の中でも特に上質なものを「伽羅」と呼びます。香道で珍重され、わずかに火であぶるだけで芳香を放ちます。江戸時代には非常に高価で、大名や豪商といった身分の高い人物しか所有できない貴重品でした。この伽羅で作られた下駄は超高級品の象徴でした。

高尾太夫(たかおだゆう)

吉原遊郭の三浦屋抱えの最高位の遊女で、代々「高尾」の名を襲名していました。この演目では仙台伊達家の殿様が通っていた高尾太夫として登場します。実際に江戸初期には仙台藩主伊達綱宗が高尾太夫に入れあげたという逸話が残っています。

三浦屋(みうらや)

吉原遊郭の大見世(おおみせ)の一つで、高尾太夫を代々輩出した名店です。江戸時代を通じて吉原の最高級店として知られ、大名や豪商が通う格式高い見世でした。

掘抜き井戸(ほりぬきいど)

地下水を汲み上げる井戸で、江戸の長屋では共同井戸として重要なインフラでした。この演目では六さんが武家に井戸水を汲んであげる場面で登場します。江戸の井戸水は美味しいことで知られていました。

店立て(たなだて)

大家が店子(たなこ)に対して店を立ち退かせることです。家賃滞納や素行不良などが理由で、大家の権限で退去させることができました。この演目では大家が六さんに朝寝坊を改めなければ店立てすると脅す場面で使われています。

よくある質問

「早起きは三文の得」とはどういう意味ですか?

早起きをすると良いことがあるという意味のことわざです。「三文」は非常にわずかな金額を指しますが、この演目では三文どころか300両という大金を得ることになり、ことわざを文字通り実現した展開が面白さの一つです。

300両とは現代のいくらくらいですか?

江戸時代の貨幣価値は時代によって変動しますが、一般的に1両は現代の8万円から15万円程度と言われています。300両だと2400万円から4500万円程度になり、庶民にとっては一生分の稼ぎに匹敵する大金でした。

なぜ武家は下駄を置いて行ったのですか?

武家は水のお代を払いたかったのですが金の持ち合わせがなく、代わりに自分の下駄を置いて行きました。これは武士の誠実さを示す行為で、たとえ井戸水であっても受けた恩には報いるという武士道精神を表しています。

オチの「ゲタゲタ」「きゃらきゃら」はどういう意味ですか?

夫婦の喜びの笑い声「ゲタゲタ」「きゃらきゃら」が、そのまま「下駄」「伽羅」という商品名に掛かっているダジャレオチです。笑い声と物の名前を重ねた言葉遊びで、典型的な洒落落ちの技法が使われています。

この話は実話ですか?

実話ではなく創作ですが、仙台藩主伊達綱宗が吉原の高尾太夫に入れあげたという史実をベースにしています。伽羅の下駄という超高級品の存在も史実に基づいており、江戸時代の風俗を反映した物語として親しまれています。

名演者による口演

古今亭志ん生(五代目)

昭和の落語界を代表する名人で、「伽羅の下駄」を得意演目としていました。豆腐屋六さんの怠惰さと突然の幸運を人間味たっぷりに演じ、オチの「ゲタゲタ」「きゃらきゃら」を自然な笑い声として表現する技術が秀逸でした。

三遊亭圓生(六代目)

人間国宝に認定された名人で、この演目でも格調高い語り口を見せました。武家の品格と六さんの庶民性を対比的に描き、早起きの価値という教訓を丁寧に伝える演出が特徴的です。

柳家小さん(五代目)

江戸落語の正統派として知られ、「伽羅の下駄」でも端正な語り口で人情噺としての味わいを出しました。六さん夫婦の喜びを温かく描き、聴衆に幸福感を与える名演として評価されています。

関連する演目

テーマ別のおすすめ演目

長屋噺・庶民の幸福を描いた落語

  • 芝浜 – 魚屋の夫婦愛と改心を描いた人情噺の最高峰
  • 井戸の茶碗 – 正直者が報われる人情噺
  • 粗忽長屋 – 長屋の粗忽者を描いた噺

吉原を舞台にした落語

ダジャレオチの落語

「伽羅の下駄」の魅力を現代に活かす

この演目は、「早起きは三文の得」という古いことわざを痛快に実現した逆転劇です。

生活習慣改善の価値

六さんは吉原通いで朝寝坊を続けていましたが、大家に叱られて早起きを始めたことで大金を得ます。これは現代でも通じる「生活習慣を改めることで良いことが起こる」という教訓として受け取ることができます。

善意の報い

六さんは武家に快く井戸水を提供しました。金にならないと愚痴りながらも親切にした結果、思わぬ幸運を得ます。見返りを求めない善意が報われるという普遍的なテーマが描かれています。

夫婦の絆

大金を得た喜びを夫婦で分かち合う場面は、庶民のささやかな幸福を温かく描いています。「ゲタゲタ」「きゃらきゃら」という笑い声が、二人の幸せを象徴する名場面です。

「伽羅の下駄」は、庸人が突然の幸運を得る痛快な物語と、夫婦の喜びを描いた心温まる人情噺です。ぜひ実際の口演で、六さんの喜びと「ゲタゲタ」「きゃらきゃら」のダジャレオチをお楽しみください。

関連記事

【古典落語】紺屋高尾 あらすじ・オチ・解説 | 職人と花魁の身分違い純愛物語
職人久蔵と花魁高尾太夫の身分違い純愛物語。3年間働いて貯めた10両での吉原通い、最後の「かめのぞき」オチまで古典落語「紺屋高尾」完全解説。
子別れ(上)落語|あらすじ・オチ「今絞ってかけてやる」意味を完全解説
【5分でわかる】子別れ(上)のあらすじとオチを完全解説。大工・熊五郎の吉原騒動と「今絞ってかけてやる」爆笑オチの意味とは?人情噺三部作の第一弾。
替わり目 落語のあらすじとオチを徹底解説|「銚子の替わり目」地口オチの意味
古典落語「替わり目(かわりめ)」のあらすじとオチを完全解説。酔っ払いの留五郎が自分の家を間違えて女房とうどん屋を巻き込む騒動。「銚子の替わり目」地口オチの二重の意味、名演者による口演の違いまで詳しく紹介します。
【古典落語】幾代餅 あらすじ・オチ・解説 | 搗き米屋奉公人と遊女の純愛から名物誕生の美談
搗き米屋奉公人と吉原遊女の純愛から名物幾代餅誕生まで。古典落語「幾代餅」のあらすじとオチを詳しく解説。一目惚れから結婚、商売成功の美談。
タイトルとURLをコピーしました