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子別れ(上)落語|あらすじ・オチ「今絞ってかけてやる」意味を完全解説

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話芸の殿堂-古典落語-子別れ1
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子別れ(上)落語|あらすじ・オチ「今絞ってかけてやる」意味を完全解説

子別れ(上)(こわかれ) は、酒呑みの大工・熊五郎が弔いの帰りに吉原で大騒ぎする人情噺三部作の第一弾。弁当のがんもどきの汁がふんどしにしみ込み、「今絞ってかけてやる」という爆笑オチで締める名作です。

項目内容
演目名子別れ(上)(こわかれ)
ジャンル古典落語・人情噺・三部作
主人公大工の熊五郎
舞台山谷の寺、吉原遊郭
オチ「今絞ってかけてやる」
見どころダメ男熊五郎の爆笑騒動

3行でわかるあらすじ

酒飲みの大工・熊五郎が弔いの帰りに吉原へ向かう決意を固める。
途中で紙屑屋の長さんと一緒にどぶに落ちそうになり、背中の弁当が台無しになる。
吉原で弁当をふるまおうとするが、がんもどきの汁がふんどしにしみ込んでいることが発覚する。

10行でわかるあらすじとオチ

大工の熊五郎は腕はいいが大酒飲みで遊び人の典型的なダメ男。
96歳で大往生した伊勢六の隠居の弔いで山谷の寺で酔っ払い騒ぎを起こす。
近江屋の隠居に諭されるが逆切れし、弁当を懐に詰め込んで寺を出る。
隣町の紙屑屋の長さんを「紙屋の旦那」ということにして吉原に誘う。
途中で酔いが回ってどぶに落ちそうになり、長さんが背中を押さえて助ける。
その際に背中の弁当からがんもどきの汁が流れ出してふんどしにしみ込む。
吉原の大門をくぐり、見世の若い衆に弔いの帰りだと告げて座敷に上がる。
豆どんに弁当をあげようとするが断られ、若い衆に味を聞かれる。
若い衆が「がんもどきの汁が少ない」と言うと、熊五郎は長さんのせいだと説明。
「今絞ってかけてやる」とふんどしから汁を絞り出そうとするオチで終わる。

解説

「子別れ」は古典落語の代表的な人情噺で、通常は上・中・下の三部構成で演じられる大ネタです。「子は夫婦の鎹(かすがい)」という教訓が込められた名作として知られています。

上巻では主人公・熊五郎の人物像が描かれます。腕のいい大工でありながら酒と女に溺れるダメ男として描写され、後の展開への布石となっています。弔いの席での不謹慎な行動や、吉原での豪遊など、当時の江戸庶民の生活が生き生きと描かれています。

この演目の見どころは、熊五郎の破天荒なキャラクターと、最後の「ふんどしから汁を絞る」という下品ながらも笑いを誘うオチです。江戸時代の風俗や言葉遣いが随所に散りばめられ、当時の庶民文化を知る貴重な資料としても価値があります。

古今亭志ん生、三遊亭圓生、柳家小さんなど名人上手によって演じ継がれ、それぞれの演者の個性が光る演目でもあります。

あらすじ

神田竪大工町の大工の熊五郎は腕はいいが、大酒飲みで遊び人。
96才で大往生した伊勢六の隠居の弔いの山谷の寺でへべれけに酔っぱらう。

熊五郎の酔態をたしなめた近江屋の隠居にからみ、地獄・極楽の話から近くの極楽の吉原に行こうと誘うが断られる。
そんな金があるなら、「女房にうまい物を食わせ、子どもにましな着物でも買え」と周りから意見され、熊五郎はぶち切れて、「なに言ってやんでえ、おれがかかあに何を食わせようと、がきになにを着せようとおれの勝手だ。余計な事をいうな」と、悪口雑言をはきながら、弁松の別あつらいの赤飯(こわめし)の弁当の折を懐、袂、背中に入れて寺を出る。

途中で会った隣町の紙屑屋の長さんを、今日は棟梁から前借した50円があるからおごると誘い、紙屋の旦那ということにして吉原に向かう。
途中で酔いで足がふらつき、どぶに落ちそうになる。
あわてて長さんが背中から押さえた。
すると背中に入っていた弁当からがんもどきの汁(つゆ)が流れだしふんどしにしみ込んでしまう。

「吉原に回らぬ者は施主ばかり」、「弔いが山谷と聞いて親父行き」、なんて川柳もある。
山谷堀の日本堤から見返り柳と進み、吉原の大門をくぐって吉原遊郭へ入る。
見世の若い衆に「弔いの帰りだ」というと、「はか(墓)いきがいい」なんてと言われ気に入って弁当をあげ見世に上がる。

見世先で紙屑屋、女郎をからかい広い梯子(はしご)を上って座敷に入る。
豆どんをからかい、弁当をあげようとするが、「いりまへんわ」とすげなく断られ熊五郎は大むくれだ。
そこへ取り成しに入った若い衆にさっきあげた弁当の味を聞く。

若い衆 「大変けっこうで、さすが弁松さんですな。しかしがんもどきのつゆがちょっと少ないような気がいたしまして」、紙屑屋を指さして

熊五郎 「この野郎が俺の背中を押すもんだから、汁がしみ出してふんどしにしみ込んでしまった。食いかけはあるか、こっちへ持って来い」

若い衆 「取り替えていただけますか」

熊五郎 「いや、今絞ってかけてやる」

落語用語解説

吉原(よしわら)

江戸時代に幕府公認で設けられた遊郭で、現在の東京都台東区千束付近にありました。「廓(くるわ)」とも呼ばれ、江戸の文化の中心地の一つでした。落語には吉原を舞台にした演目が数多くあり、「子別れ」でも熊五郎が弔いの帰りに立ち寄る場所として重要な役割を果たしています。

山谷(さんや)

現在の台東区日本堤付近の地名で、江戸時代には寺町として多くの寺院が集まっていました。吉原に近いこともあり、「弔いが山谷と聞いて親父行き」という川柳があるように、弔いの後に吉原に立ち寄る男性が多かったことで知られています。

弁松(べんまつ)

江戸時代に実在した高級仕出し弁当屋です。芝居見物や花見、法事などの際に注文される上等な弁当を扱っており、「弁松の弁当」といえば豪華な弁当の代名詞でした。この演目では熊五郎が背中に詰め込んで持ち出す弁当として登場します。

大門(おおもん)

吉原遊郭の正面入口にあった大きな門のことです。ここをくぐることで正式に吉原に入ることになります。「大門をくぐる」という表現は、遊郭に遊びに行くことの慣用句としても使われました。

見世(みせ)

遊郭内で遊女を抱える店のことです。吉原には多くの見世があり、格式や規模によって等級がありました。この演目では熊五郎が見世の若い衆(店員)と会話する場面が登場します。

よくある質問

「子別れ」は三部作とのことですが、上・中・下はそれぞれ独立して演じられますか?

はい、独立して演じられることもあります。上巻は熊五郎の破天荒な性格を描くコメディ、中巻は離婚の経緯を描く人情噺、下巻は親子の再会を描く感動作と、それぞれ異なる味わいがあります。ただし、三部通して聞くことで物語の深みが増します。

なぜ弔いの帰りに吉原に行くのですか?

山谷は吉原に近い寺町だったため、弔いの帰りに吉原に立ち寄る男性が多くいました。これは江戸時代の風俗として知られており、「弔いが山谷と聞いて親父行き」という川柳にも表れています。不謹慎に見えますが、当時の庶民の生活感覚を反映しています。

「がんもどき」とは何ですか?

豆腐を原料とした揚げ物料理で、雁(がん)という鳥の肉に似せて作られたことから「がんもどき(雁擬き)」と呼ばれます。精進料理として発展し、江戸時代には庶民の間でも親しまれていました。関西では「飛竜頭(ひりょうず)」とも呼ばれます。

オチの「ふんどしから汁を絞る」は本当にやるのですか?

これは落語のオチとしての表現で、実際にやるわけではありません。熊五郎の破天荒さと下品さを象徴する言動として、笑いを誘う仕掛けになっています。聴衆の想像力に委ねる「サゲ」と呼ばれる落語の技法の一つです。

熊五郎はなぜこんなにダメ男なのですか?

熊五郎は「腕はいいが酒と女に溺れる」という江戸の職人の典型的なダメ男像として描かれています。これは後の中巻・下巻での人間的成長を際立たせるための設定であり、「子は夫婦の鎹」というテーマを浮き彫りにする重要な要素です。

名演者による口演

古今亭志ん生(五代目)

昭和の落語界を代表する名人で、「子別れ」を得意演目としていました。熊五郎の破天荒さと人間味を絶妙に表現し、下品ながらも憎めないキャラクターとして演じました。特に酔態の描写が秀逸です。

三遊亭圓生(六代目)

人間国宝に認定された名人で、三部作全てを演じることで知られていました。熊五郎の粗野な面と内面の寂しさを丁寧に描き分け、後の展開への伏線を巧みに張る演出が特徴的です。

柳家小さん(五代目)

江戸落語の正統派として知られ、「子別れ」でも品格を保ちながら熊五郎の滑稽さを表現しました。吉原の場面での会話の間の取り方が絶妙で、笑いと情を両立させた名演として評価されています。

関連する演目

テーマ別のおすすめ演目

「子別れ」三部作

職人が主人公の落語

  • 芝浜 – 魚屋の夫婦愛を描いた人情噺の最高峰
  • 文七元結 – 左官職人の人情を描いた名作

吉原を舞台にした落語

  • 紺屋高尾 – 紺屋と花魁の身分を超えた恋物語
  • 三枚起請 – 遊女の駆け引きを描いた廓噺

酒飲みが主人公の落語

「子別れ(上)」の魅力を現代に活かす

この演目は、単なる下品な笑い話ではなく、後の展開への重要な伏線が張られた作品です。

ダメ男の典型としての熊五郎

熊五郎は「腕はいいが酒と女に溺れる」という、現代にも通じるダメ男の典型です。しかし、このダメさ加減が後の中巻・下巻での成長をより感動的にします。人間は変われるという希望を示す重要な設定です。

江戸の風俗を知る資料として

弔いの後に吉原に立ち寄る風習、弁松の高級弁当、吉原の大門など、江戸時代の庶民文化が生き生きと描かれています。歴史や文化を学ぶ上でも貴重な作品です。

笑いと人情の絶妙なバランス

上巻は笑いが中心ですが、後の展開を知っている聴衆には、熊五郎の行動の一つ一つが切なく感じられます。三部作を通して聞くことで、笑いと涙が交錯する深い味わいが生まれます。

「子別れ」は三部作全てを聞くことで真価を発揮する大ネタです。上巻で熊五郎の破天荒さを楽しんだ後は、ぜひ中巻・下巻もお聞きください。親子の絆、夫婦の情愛という普遍的なテーマが心に染みる名作です。

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