【AI落語】寿限無月見(新作落語)
十五夜の夜に、ふと古典落語の「寿限無」を思い出しました。あの長い名前を延々と繰り返すユーモラスな話を、秋の月見の季節にアレンジしてみたらどうだろうかと。
月の美しさを表現する日本語の豊かさに感動しつつ、それを全部名前に詰め込んだらどうなるかという、ちょっと無謀な実験をしてみました。果たして最後まで名前を言い切れるのでしょうか…。
まくら
さて皆さん、今夜は十五夜でございますな。美しい月を眺めながら、昔の人はどれほど豊かな表現で月を愛でていたことでしょう。
月に関する美しい言葉といえば、月光、月影、月夜、月見、月待ち、月代、月冴え、月雫、月華、月桂、月虹、月宮、月姫、月兎、月世界…まあ、数え上げればきりがありません。
そんな美しい月の言葉を全部名前にしてしまった親がいたとしたら、一体どんなことになるでしょうか。
あらすじ
十五夜の夜
江戸の下町、今夜は十五夜でございます。空には見事な満月が輝いて、家々では月見団子を供えて秋の夜長を楽しんでおります。
そんな中、長屋の一角から「おーい、おーい」と大きな声が響いてまいります。声の主は熊五郎という男で、慌てふためいた様子で表に飛び出してきました。
熊五郎「大変だ、大変だ!うちの子どもが見当たらねえ!」
近所の八っつぁんが声をかけます。
八っつぁん「おい熊、どうした?子どもが行方不明か?」
熊五郎「そうなんだ!夕方から姿が見えねえんだ。月見の準備をしてる間に、どこかへ行っちまった!」
八っつぁん「それは大変だ。で、子どもの名前は何て言うんだ?大きな声で呼んでみろよ」
熊五郎「それがよ…名前がちと長いんだ」
八っつぁん「長いって、どのくらい長いんだ?」
長すぎる名前
熊五郎「実はよ、うちの女房がお月様が大好きでな。子どもが生まれた時、月に関する美しい言葉を全部名前にしてしまいやがったんだ」
八っつぁん「全部って…まさか」
熊五郎「月光月影月夜月見月待月代月冴月雫月華月桂月虹月宮月姫月兎月世界満月三日月新月望月弦月上弦下弦朧月夜雲間月霧月雪月花月風月水月山月海月空月星月虹月彩月銀月金月白月青月紫月紅月桃月梅月桜月菊月紅葉月雪月氷月露月霜月霞月靄月雲月影月光月夜月明月闇月静月動月高月低月遠月近月大月小月丸月半月細月太月薄月濃月淡月深月浅月長月短月早月遅月新月古月若月老月美月麗月優月雅月清月純月澄月透月輝月煌月燦月爛月華月麗月美月妙月絶月極月無月有月空月実月真月偽月正月邪月善月悪月明月暗月陽月陰月表月裏月上月下月左月右月前月後月始月終月初月末月一月二月三月四月五月六月七月八月九月十月十一月十二月春月夏月秋月冬月朝月昼月夕月夜月明月暗月」
八っつぁん「ちょっと待て、ちょっと待て!それ、名前か?」
熊五郎「名前だよ」
八っつぁん「そんな長い名前、呼んでる間に夜が明けちまうぞ!」
必死の呼びかけ
それでも我が子のことを思う親心、熊五郎は必死になって呼び始めました。
熊五郎「月光月影月夜月見月待月代月冴月雫月華月桂月虹月宮月姫月兎月世界満月三日月新月望月弦月上弦下弦朧月夜雲間月霧月雪月花月風月水月山月海月空月星月虹月彩月銀月金月白月青月紫月紅月桃月梅月桜月菊月紅葉月雪月氷月露月霜月霞月靄月雲月影月光月夜月明月闇月静月動月高月低月遠月近月大月小月丸月半月細月太月薄月濃月淡月深月浅月長月短月早月遅月新月古月若月老月美月麗月優月雅月清月純月澄月透月輝月煌月燦月爛月華月麗月美月妙月絶月極月無月有月空月実月真月偽月正月邪月善月悪月明月暗月陽月陰月表月裏月上月下月左月右月前月後月始月終月初月末月一月二月三月四月五月六月七月八月九月十月十一月十二月春月夏月秋月冬月朝月昼月夕月夜月明月暗月ちゃーん!」
八っつぁん「おい、まだ続くのか?」
熊五郎「まだまだあるよ。後半戦だ」
さらに続く名前
熊五郎「月光月影月夜月見月待月代月冴月雫月華月桂月虹月宮月姫月兎月世界満月三日月新月望月弦月上弦下弦朧月夜雲間月霧月雪月花月風月水月山月海月空月星月虹月彩月銀月金月白月青月紫月紅月桃月梅月桜月菊月紅葉月雪月氷月露月霜月霞月靄月雲月影月光月夜月明月闇月静月動月高月低月遠月近月大月小月丸月半月細月太月薄月濃月淡月深月浅月長月短月早月遅月新月古月若月老月美月麗月優月雅月清月純月澄月透月輝月煌月燦月爛月華月麗月美月妙月絶月極月無月有月空月実月真月偽月正月邪月善月悪月明月暗月陽月陰月表月裏月上月下月左月右月前月後月始月終月初月末月一月二月三月四月五月六月七月八月九月十月十一月十二月春月夏月秋月冬月朝月昼月夕月夜月明月暗月ちゃーん!どこにいるんだー!」
近所の人たちも心配になって集まってきました。みんなで手分けして探すことになりましたが、その度に長い名前を呼ばなければなりません。
町内の人々「月光月影月夜月見月待月代月冴月雫月華月桂…」
時は流れて
必死の捜索が続きます。熊五郎は息を切らしながらも、何度も何度も長い名前を呼び続けました。
近所の人たちも最初は一緒に呼んでくれましたが、あまりの長さに途中で諦める者が続出。それでも熊五郎は諦めません。
熊五郎「月光月影月夜月見月待月代月冴月雫月華月桂月虹月宮月姫月兎…」
と、必死に呼び続けているうちに、東の空がほんのりと明るくなってきました。
八っつぁん「おい熊、もうお日様が昇ってきたぞ」
熊五郎「え?もうそんな時間か?」
見上げると、美しかった満月はすっかり薄くなり、代わりに朝日が顔を出し始めています。
思わぬ発見
その時、長屋の屋根の上から小さな声が聞こえてきました。
子ども「おとうちゃーん、ここにいるよー」
熊五郎「あ!いたいた!どこにいたんだ、お前は!」
子ども「屋根の上で月見してたの。きれいなお月様を見てたら、いつの間にか眠っちゃった」
熊五郎「なんだと!一晩中屋根の上にいたのか!」
子ども「うん。でもおとうちゃん、僕の名前、そんなに長かったっけ?」
まとめ
いかがでしたでしょうか。美しい月の名前を全部詰め込んだ結果、一晩かかっても名前を呼び切れないという、まさに本末転倒な展開になってしまいました。
古典落語「寿限無」の時間経過のオチを活かしつつ、十五夜の季節感を盛り込んでみましたが、やはり親の愛情が空回りするというのは、いつの時代も変わらないものですね。
子どもの安全が第一とはいえ、名前が長すぎるのも考えものです。皆さんも子どもに名前をつける時は、呼びやすさも考慮してくださいね。月見の夜に一晩中名前を呼び続けるはめになるかもしれませんから。
ぜひ他のAI落語もお楽しみいただければと思います。


