【AI落語】染物寿限無(新作落語)
またまた古典落語の名作「寿限無」をアレンジしてみました。今度は染物職人の世界で展開してみようと思います。
染物といえば、藍染、紅花染、茜染など、日本の伝統的な染色技術は本当に奥が深いですよね。職人の世界は代々受け継がれる技術と誇りがあって、子供の名前にもその思いを込めたくなるものです。
まあ、思いが込もりすぎると、こんなことになってしまうわけですが…
まくら
江戸の下町に、代々続く染物屋がございまして。
主人の染太郎は腕のいい職人でございます。藍染から紅花染、茜染まで、何でもござれの名人でして、町内でも評判の染物屋でございました。
その染太郎さんに、めでたく男の子が生まれまして。「これで家業を継がせることができる」と、もう大喜び。
さて、その子供の名前を付けるのに、どうせなら縁起のいい、おめでたい名前を付けようじゃないかということになりまして。
あらすじ
染太郎「おい、かかあ。せっかく男の子が生まれたんだ。この子には染物にちなんだ、縁起のいい名前を付けてやろうじゃないか」
女房「そうですね。でも、どんな名前がいいでしょう」
染太郎「そうだな…まず藍染は基本だろう。それから紅花染に茜染、黄檗染に紫根染」
女房「随分たくさんですね」
染太郎「まだまだあるぞ。正藍冷染に本建藍染、発酵建に天然建、化学建もあるな」
女房「技法まで入れるんですか」
染太郎「当たり前だ。絞り染に型染、友禅染に更紗染、ろうけつ染に板締染」
女房「まだ続くんですか」
染太郎「木綿染に絹染、麻染に羊毛染。色でいえば瑠璃色に朱色、鶯色に桔梗色、萌黄色に山吹色」
女房「もう覚えられません」
染太郎「媒染も大事だ。鉄媒染に銅媒染、アルミ媒染に錫媒染。それから先媒染に後媒染、同時媒染」
女房「お父さん、そんなに長い名前じゃ…」
染太郎「まだ終わりじゃないぞ。水洗に湯洗、石鹸洗に重曹洗、酢洗に塩洗。日陰干に風干、平干に吊干」
女房「もういいでしょう」
染太郎「最後に一番大切な職人魂と伝統継承、技術向上に品質第一、お客様満足」
女房「長すぎます!」
染太郎「よし、決まった。この子の名前は『藍染紅花染茜染黄檗染紫根染正藍冷染本建藍染発酵建天然建化学建絞り染型染友禅染更紗染ろうけつ染板締染木綿染絹染麻染羊毛染瑠璃色朱色鶯色桔梗色萌黄色山吹色鉄媒染銅媒染アルミ媒染錫媒染先媒染後媒染同時媒染水洗湯洗石鹸洗重曹洗酢洗塩洗日陰干風干平干吊干職人魂伝統継承技術向上品質第一お客様満足』だ」
女房「覚えられません!」
それから三年後
近所の子供たちが遊んでいると、この長い名前の坊やが井戸に落ちてしまいました。
子供A「大変だ!藍染紅花染茜染黄檗染紫根染正藍冷染本建藍染発酵建天然建化学建絞り染型染友禅染更紗染ろうけつ染板締染木綿染絹染麻染羊毛染瑠璃色朱色鶯色桔梗色萌黄色山吹色鉄媒染銅媒染アルミ媒染錫媒染先媒染後媒染同時媒染水洗湯洗石鹸洗重曹洗酢洗塩洗日陰干風干平干吊干職人魂伝統継承技術向上品質第一お客様満足が井戸に落ちた!」
子供B「なんだって!藍染紅花染茜染黄檗染紫根染正藍冷染本建藍染発酵建天然建化学建絞り染型染友禅染更紗染ろうけつ染板締染木綿染絹染麻染羊毛染瑠璃色朱色鶯色桔梗色萌黄色山吹色鉄媒染銅媒染アルミ媒染錫媒染先媒染後媒染同時媒染水洗湯洗石鹸洗重曹洗酢洗塩洗日陰干風干平干吊干職人魂伝統継承技術向上品質第一お客様満足が井戸に!」
子供C「急いで染物屋に知らせに行こう!藍染紅花染茜染黄檗染紫根染正藍冷染本建藍染発酵建天然建化学建絞り染型染友禅染更紗染ろうけつ染板締染木綿染絹染麻染羊毛染瑠璃色朱色鶯色桔梗色萌黄色山吹色鉄媒染銅媒染アルミ媒染錫媒染先媒染後媒染同時媒染水洗湯洗石鹸洗重曹洗酢洗塩洗日陰干風干平干吊干職人魂伝統継承技術向上品質第一お客様満足のお父さんに!」
染物屋にて
子供A「染太郎さん、大変です!藍染紅花染茜染黄檗染紫根染正藍冷染本建藍染発酵建天然建化学建絞り染型染友禅染更紗染ろうけつ染板締染木綿染絹染麻染羊毛染瑠璃色朱色鶯色桔梗色萌黄色山吹色鉄媒染銅媒染アルミ媒染錫媒染先媒染後媒染同時媒染水洗湯洗石鹸洗重曹洗酢洗塩洗日陰干風干平干吊干職人魂伝統継承技術向上品質第一お客様満足が井戸に落ちました!」
染太郎「なんだと!」
井戸端にて
染太郎「藍染紅花染茜染黄檗染紫根染正藍冷染本建藍染発酵建天然建化学建絞り染型染友禅染更紗染ろうけつ染板締染木綿染絹染麻染羊毛染瑠璃色朱色鶯色桔梗色萌黄色山吹色鉄媒染銅媒染アルミ媒染錫媒染先媒染後媒染同時媒染水洗湯洗石鹸洗重曹洗酢洗塩洗日陰干風干平干吊干職人魂伝統継承技術向上品質第一お客様満足!大丈夫か!」
井戸の中から声「お父さん、僕はここにいるよ!でもね…」
染太郎「なんだ、どうした!」
坊や「藍も紅花も茜も黄檗も、みんな水に流れちゃって、真っ白になっちゃった!」
まとめ
いかがでしたでしょうか。古典「寿限無」を染物職人バージョンでお送りいたしました。
長い名前に染料や技法をこれでもかと詰め込んでみましたが、最後は水に落ちて全部流れてしまうという、なんとも皮肉な結末になりました。職人の心意気が水の泡、いや水に流れてしまったわけですね。
染物の専門用語を調べながら作っていたのですが、本当に奥が深い世界だということがよくわかりました。藍染一つとっても、建て方から媒染まで様々な技法があるんですね。
オチの「色が流れて真っ白」は、まさに染物らしい展開だと我ながら満足しております。時間の経過と共に事態が進行していく古典寿限無の妙味も表現できたのではないでしょうか。
他にも様々なバリエーションの寿限無を作成しておりますので、ぜひご覧ください。きっとお気に入りの一席が見つかるはずです。


