【AI落語】寿限無・能楽版(新作落語)
今日は古典落語の中でも特に有名な「寿限無」を、能楽の世界でアレンジしてみました。能面や演目、楽器の名前を使った長い名前を考えるのに、思いのほか時間がかかってしまいました。能楽の知識が浅い私には少々荷が重い題材でしたが、まあ、落語も能楽も日本の伝統芸能ということで、なんとか形にしてみたつもりです。果たしてうまくいったでしょうか。
まくら
皆さん、能楽はお好きですか。私はと申しますと、正直なところ、能楽堂に足を運んだことは数えるほどしかございません。あの独特の動きと謡、そして何より能面の表情の豊かさには驚かされるばかりです。
ところで能楽といえば、演目の名前がなんとも雅で美しいものが多いですな。「羽衣」「清経」「道成寺」「葵上」など、聞いているだけで風情を感じます。そんな美しい名前を持つ能楽の世界で、もし寿限無のような長い名前を付けたらどうなるか。そんなことを考えていたら、こんな話ができあがりました。
あらすじ
能楽師の家での命名
江戸は日本橋に、代々続く能楽師の家がございました。当主の観世さんという方、奥様との間に待望の男の子が生まれまして、これがもう嬉しくて嬉しくて。
「さて、この子にはどんな名前を付けようか」
観世さん、能楽師らしく、縁起の良い名前を付けたいと思いまして、同じ能楽師仲間や師匠方に相談に回ったのでございます。
まず最初に訪ねたのが金春さんというお師匠。
金春「それはめでたい。能楽の世界には美しい言葉がたくさんある。まずは翁(おきな)、これは能楽の根本、翁は千歳を司る神様じゃ」
観世「なるほど、翁ですか」
金春「それから鶴亀、これも長寿の象徴。松風(まつかぜ)は永遠を表し、羽衣(はごろも)は天女の美しさを表す」
観世「いいですなあ」
金春「清経(きよつね)は清らかな心、敦盛(あつもり)は若武者の美しさ、井筒(いづつ)は深い愛情を表す名演目じゃ」
さらなる名前の追加
次に訪ねたのが宝生さんという能面師。
宝生「名前には能面の名前も入れてはどうじゃ。小面(こおもて)は美しい女性、般若(はんにゃ)は強い心、翁面(おきなめん)は威厳を表す」
観世「能面の名前も良いですな」
宝生「若女(わかおんな)、中将(ちゅうじょう)、悪尉(あくじょう)、猩々(しょうじょう)、これらも縁起が良い」
さらに楽器を扱う大鼓さんの元へ。
大鼓「楽器の名前も入れなされ。大鼓(おおつづみ)、小鼓(こつづみ)、太鼓(たいこ)、笛(ふえ)。これらがあってこそ能楽の調べが生まれる」
観世「楽器の名前も入れましょう」
大鼓「謡(うたい)も大切じゃ。それに舞(まい)、型(かた)、拍子(ひょうし)も入れてはどうか」
装束の名前も追加
最後に装束を扱う金剛さんの所へ。
金剛「装束の名前も忘れてはならん。唐織(からおり)、厚板(あついた)、長絹(ちょうけん)、水衣(みずごろも)、袴(はかま)、足袋(たび)」
観世「装束も大切ですな」
金剛「烏帽子(えぼし)、鉢巻(はちまき)、扇(おうぎ)も入れなされ。それに幕(まく)、橋掛(はしがかり)、鏡板(かがみいた)も能楽には欠かせぬ」
完成した長い名前
こうして集めた名前を全部組み合わせて、ついに完成したのがこちら。
「翁鶴亀松風羽衣清経敦盛井筒小面般若翁面若女中将悪尉猩々大鼓小鼓太鼓笛謡舞型拍子唐織厚板長絹水衣袴足袋烏帽子鉢巻扇幕橋掛鏡板」
観世「これは良い名前だ。能楽の全てが込められている」
日常での困りごと
ところが、いざ日常生活となりますと、これが大変。
近所の人「お宅の坊ちゃんのお名前は?」
観世「はい、翁鶴亀松風羽衣清経敦盛井筒小面般若翁面若女中将悪尉猩々大鼓小鼓太鼓笛謡舞型拍子唐織厚板長絹水衣袴足袋烏帽子鉢巻扇幕橋掛鏡板と申します」
近所の人「え?もう一度お願いします」
観世「翁鶴亀松風羽衣清経敦盛井筒小面般若翁面若女中将悪尉猩々大鼓小鼓太鼓笛謡舞型拍子唐織厚板長絹水衣袴足袋烏帽子鉢巻扇幕橋掛鏡板です」
近所の人「長いお名前ですなあ…」
ついに起こった事件
そんなある日のこと。この翁鶴亀松風羽衣清経敦盛井筒小面般若翁面若女中将悪尉猩々大鼓小鼓太鼓笛謡舞型拍子唐織厚板長絹水衣袴足袋烏帽子鉢巻扇幕橋掛鏡板、友達と遊んでいて井戸に落ちてしまったのです。
友達が慌てて大人を呼びに走ります。
友達「大変だ!翁鶴亀松風羽衣清経敦盛井筒小面般若翁面若女中将悪尉猩々大鼓小鼓太鼓笛謡舞型拍子唐織厚板長絹水衣袴足袋烏帽子鉢巻扇幕橋掛鏡板が井戸に落ちた!」
大人たちが駆けつけてきましたが、名前が長すぎて誰のことか分からない。
大人「誰が落ちたって?」
友達「翁鶴亀松風羽衣清経敦盛井筒小面般若翁面若女中将悪尉猩々大鼓小鼓太鼓笛謡舞型拍子唐織厚板長絹水衣袴足袋烏帽子鉢巻扇幕橋掛鏡板が!」
大人「もう一度言ってくれ」
友達「翁鶴亀松風羽衣清経敦盛井筒小面般若翁面若女中将悪尉猩々大鼓小鼓太鼓笛謡舞型拍子唐織厚板長絹水衣袴足袋烏帽子鉢巻扇幕橋掛鏡板です!」
時間の経過
こうして名前を説明している間に、どんどん時間が経ってしまいます。大人たちも必死に名前を覚えようとしますが、能楽の専門用語ばかりで覚えられません。
ようやく事態を理解した大人たちが井戸に駆けつけた時には、もうかなりの時間が経っていました。
井戸を覗いてみると…
翁鶴亀松風羽衣清経敦盛井筒小面般若翁面若女中将悪尉猩々大鼓小鼓太鼓笛謡舞型拍子唐織厚板長絹水衣袴足袋烏帽子鉢巻扇幕橋掛鏡板は、井戸の中で能の型を練習していたのでございます。
観世「おーい、上がっておいで」
翁鶴亀松風羽衣清経敦盛井筒小面般若翁面若女中将悪尉猩々大鼓小鼓太鼓笛謡舞型拍子唐織厚板長絹水衣袴足袋烏帽子鉢巻扇幕橋掛鏡板「お父さん、井戸の中、音響が良くて謡の練習にちょうど良かったよ。でも、なんでこんなに時間がかかったの?」
まとめ
いかがでしたでしょうか。能楽の世界の寿限無、なかなか雅な仕上がりになったのではないでしょうか。能面や演目、楽器、装束の名前を組み合わせることで、古典落語の面白さを保ちながら、少し教養めいた雰囲気も出せたかと思います。
ただ、正直なところ、名前を覚えるのに私自身も苦労しました。能楽の専門用語は美しいのですが、やはり一般的ではありませんね。でも、それがかえって落語の面白さを際立たせているような気もします。
古典落語「寿限無」の時間経過のオチは、やはり秀逸ですね。どんなにアレンジしても、あの絶妙なタイミングの面白さは変わりません。子供が井戸で能の練習をしていたという現代的(?)な解釈も、まあまあうまくいったのではないでしょうか。自己採点としては70点といったところでしょうか。
他にも様々なテーマで寿限無を作っておりますので、ぜひご覧ください。きっとお気に入りのバージョンが見つかるはずです。


