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【AI落語】インターネットカフェの粗忽(新作落語)

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インターネットカフェの粗忽
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インターネットカフェの粗忽

平成の終わり頃、巷にはインターネットカフェという新しい商売が現れました。コンピューターを時間貸しして、インターネットというものに接続できるという、なんとも摩訶不思議な店でございます。ところが、この新しい文明の利器に慣れない粗忽者が足を踏み入れると、思わぬ騒動が巻き起こるもの。本日は、そんなインターネットカフェでの珍事をお聞かせいたします。

インターネットってなんでっか

「なあ熊さん、インターネットカフェっちゅうもんができたらしいで」
「へぇ、八っつぁん。なんや新しもん好きやなぁ」
「なんでも、世界中の人と話ができるんやて」
「世界中? そらすごいなぁ。アメリカの人とも話せるんか?」
「そうや。しかも写真も見れるし、買い物もできる」
「写真? どないな写真や?」
「なんでも、好きな写真がなんぼでも」
「ほぅ、そらええなぁ。一回行ってみよか」

二人でインターネットカフェに向かう。

「いらっしゃいませ」
「すんません、初めてなんですけど」
「かしこまりました。何時間ご利用でしょうか?」
「時間?」
「はい、1時間500円からとなっております」
「そうか、時間制なんや。じゃあ1時間で」
「こちらのお席になります」

案内された席には、大きな画面とキーボードがある。

「これがコンピューターでっか?」
「はい。マウスを使って操作してください」
「マウス? ねずみでっか?」
「いえ、こちらです」

店員、マウスを指す。

「なんやねん、ねずみに似てるからマウスか」
「で、どないしたらええんや?」
「まず、インターネットに接続します」
「接続って、なんかケーブルつなぐんか?」
「いえ、もう繋がっております」
「もう繋がってる? どこに?」
「インターネットに、です」
「インターネットってどこにあるんや?」
「えーっと…世界中に、です」
「世界中? そらまた大きな話やなぁ」

店員が去った後。

「さて熊さん、どないしよか」
「まずは電源入れなあかんのちゃうか?」
「電源? どこや?」

あちこち触り回る八っつぁん。

「あ、これと違うか?」

コンセントを抜く。

「あかん! 画面が消えた!」
「おい八っつぁん、何しよったんや」
「電源やと思って…」
「それは電源を切ったんや! 入れるんは逆やろ」

コンセントを差し直す。

「あ、ついた。でもなんか変な画面になったで」
「なんて書いてある?」
「えーっと…『エラーが発生しました』やて」
「エラー? なんやそれ」
「知らん。とりあえず何か押してみよか」

適当にキーボードを叩く。

ピッピッピッ

「音がするで」
「おお、反応してる。もっと押してみぃ」

二人でキーボードを叩きまくる。

ピロピロピロピロ

「すごいやん! 音楽まで鳴る」
「これがインターネットか」
「でも画面に何も出ぇへんなぁ」
「そやなぁ。写真はどこや?」

そこへ店員がやってきた。

「お客様、何か問題でも?」
「あ、すんません。写真を見たいんですけど」
「写真でしたら、ブラウザを開いて検索してください」
「ブラウザ?」
「こちらのアイコンをクリックして…」
「アイコン? クリック?」
「このマークです。マウスで押してください」

カチッ

「おお! なんか出てきた」
「これがブラウザです。ここに見たいものを入力して…」
「入力?」
「キーボードで文字を打ってください」
「文字? どの文字や?」
「見たい写真の名前です」
「写真の名前…」

店員が去った後。

「なぁ熊さん、写真の名前ってなんや?」
「さぁ…うちのおっかんの写真とか?」
「おっかんって打ったらええんか?」
「そうやろ」

『おっかん』と入力。

「でけた。次はどないするんや?」
「えーっと、確か検索するって言うてたな」
「検索? どのボタンや?」

適当にクリックしまくる。

「あ、なんか出てきた」
「なんて書いてある?」
「『おっかんに一致する情報は見つかりませんでした』やて」
「見つからへんのか。じゃあ他の写真にしよか」
「なにがええかなぁ」
「富士山とか?」

『ふじさん』と入力。

「おお、今度はなんか出てきたで」
「ほんまや。これが富士山か?」
「きれいやなぁ。でも小っちゃいなぁ」
「もっと大きくならへんかな?」

画面をぺたぺた触る。

「あかん、手で触っても大きくならへん」
「そらそうや。これは画面やもん」
「じゃあどないしたら…」

そこで熊さん、画面に顔を近づけて覗き込む。

「おお、大きく見えるで」
「ほんまか?」

八っつぁんも顔を近づける。

「本当や! 近くで見ると大きいなぁ」
「でも目ぇ疲れるわ」
「そやなぁ。遠くから見よか」

二人で椅子を後ろに下げる。

「今度は小さすぎるなぁ」
「ちょうどええ距離がわからへん」

あーでもないこーでもないと距離を調整していると、1時間が経過。

「お疲れ様でした。1時間経ちました」
「え? もう?」
「はい。追加でご利用されますか?」
「いや、結構です」
「ありがとうございました」

外に出る二人。

「なぁ熊さん、結局なんもわからんかったなぁ」
「そやなぁ。500円も払って富士山ちょっと見ただけや」
「でも世界中の人と話できるって言うてたで」
「あぁ、それやな。話してみたかったなぁ」
「まぁ、また今度や」
「そやなぁ」

歩いていると、外国人観光客とすれ違う。

「あ、熊さん。あの人外国の人やで」
「ほんまや」
「話しかけてみよか」

八っつぁん、外国人に向かって。

「ハロー!」
『Hello!』
「おお、返事してくれた!」
「すごいやん八っつぁん、世界中の人と話できてるで」
「そやなぁ。インターネットカフェ行かんでも話できるやん」

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