商売居酒屋其の二
前回店を潰した源助が、またまた居酒屋を開くことにしました。
今度は失敗を逆手に取った、新しいスタイルの居酒屋です。
失敗も商売のネタになるという、逆転の発想が面白いところ。
失敗談を売りにする居酒屋
普通なら隠したい失敗談を、逆に商売に活用する。
これも一つの商売センスかもしれません。
あらすじ
前回居酒屋を潰した源助が、また新しい店を開くことにした。
源助:「今度こそ成功させる」
友人:「また居酒屋か」
源助:「そうだ、でも今度は違う」
友人:「何が違うんだ」
源助:「失敗談を売りにする」
友人:「失敗談?」
源助:「俺の失敗談を話しながら、酒を飲んでもらう」
友人:「変わった商売だな」
—
源助は「失敗談居酒屋」を開店した。
源助:「いらっしゃい、失敗談はいかがですか」
客:「失敗談?」
源助:「はい、酒の肴に失敗談をお聞かせします」
客:「面白そうだな」
源助:「どんな失敗談がお好みですか」
客:「商売の失敗談を」
源助:「それなら、たくさんあります」
—
源助:「まず、前の居酒屋の話から」
客:「前の居酒屋?」
源助:「客に飲まれて、店を潰しました」
客:「飲まれて?」
源助:「俺が客と一緒に飲みすぎて、在庫がなくなったんです」
客:「はははは」
源助:「笑えるでしょう」
客:「面白い失敗だな」
源助:「まだまだあります」
—
客:「他にも失敗談があるのか」
源助:「商売を始める前は、魚屋だったんです」
客:「魚屋?」
源助:「でも、魚が嫌いで」
客:「魚屋なのに魚が嫌い?」
源助:「触るのも嫌で、客に魚を売れませんでした」
客:「それは困るな」
源助:「結局、魚に触らずに商売しようとして失敗」
客:「魚屋で魚に触らないって、無理だろ」
—
源助:「その前は大工でした」
客:「大工?」
源助:「でも、高いところが怖くて」
客:「大工なのに高所恐怖症?」
源助:「屋根に上がれないんです」
客:「それじゃ、大工の仕事にならない」
源助:「地面での仕事しかできませんでした」
客:「地面で何をするんだ」
源助:「土台作りとか」
客:「土台だけ?」
—
客:「いろんな失敗をしてるな」
源助:「まだまだあります」
客:「まだあるのか」
源助:「八百屋もやりました」
客:「八百屋も失敗?」
源助:「野菜の名前を覚えられなくて」
客:「野菜の名前?」
源助:「大根を白菜と言ったり、人参を大根と言ったり」
客:「めちゃくちゃだな」
源助:「客に怒られて、すぐ辞めました」
—
気がつくと、店は客でいっぱいになっていた。
客 A:「失敗談が面白い」
客 B:「こんな店は初めてだ」
客 C:「また来たい」
源助:「みんな喜んでくれてる」
友人:「大成功じゃないか」
源助:「失敗談で成功するとは」
友人:「これも商売センスだな」
—
源助:「でも、これで成功したら」
友人:「どうした」
源助:「失敗談がなくなる」
友人:「そうだな」
源助:「成功しちゃったら、失敗談居酒屋の意味がない」
友人:「それは困った」
源助:「だから、これも失敗にしよう」
友人:「え?」
源助:「失敗談で成功してしまった失敗談を話す」
友人:「ややこしいな」
—
結局、源助は「失敗談で成功した失敗談」も客に提供することにした。
源助:「失敗談で成功してしまいました」
客:「それは失敗?」
源助:「失敗談がなくなるから、失敗です」
客:「でも、その話も失敗談になるじゃないか」
源助:「そうか、それも失敗談だ」
客:「永遠に失敗談が続くな」
源助:「それが俺の商売です」
客:「面白い商売だ」
源助:「失敗ばかりしてきて、良かった」
まとめ
失敗談を売りにした居酒屋が大成功。
でも、成功してしまったことも失敗談として客に提供する。
失敗も見方を変えれば商売のネタになる、逆転の発想でした。


