筵(むしろ)の下
貧乏長屋の悩みってのは今も昔も同じで、特に音の問題は深刻でして。
今回は、薄い壁ならぬ薄い筵にまつわる恥ずかしい話を新作落語にしてみました。
聞いてて赤面するかもしれませんが、まあご勘弁を。
まくら
壁に耳あり障子に目ありと言いますが、筵だと全部筒抜けで。
あらすじ
深川の貧乏長屋「筵長屋」。
ここは部屋と部屋の仕切りが、薄い筵一枚という安普請。
八五郎「おい、また始まったぞ」
権助「ああ、聞こえる聞こえる」
与太郎「隣の新婚さん、毎晩元気だな」
ギシギシという音と、押し殺した声が筵越しに。
我慢の限界
三日三晩続いて、住人たちは寝不足に。
八五郎「もう我慢できねえ」
権助「俺も仕事に差し支える」
与太郎「でも、言いにくいよな…」
女房連中も井戸端で。
八五郎の女房「あの声、子供に聞かせられない」
権助の女房「うちなんか、旦那が変な気起こして」
与太郎の女房「まったく、迷惑な話よ」
対策会議
住人たちが集まって相談。
大家「確かに苦情は来てるが…」
八五郎「大家さんから注意してくれよ」
大家「いや、それがな…」
権助「なんだよ」
大家「あの夫婦、家賃を前払いしてくれてな」
一同「それで注意できないのか!」
直接対決
しびれを切らした八五郎たちは、直接言いに行くことに。
八五郎「すみません、ちょっと…」
隣の主人「はい、なんでしょう」
八五郎「あの…夜の…その…」
主人「夜?」
権助「毎晩うるさいんだよ!」
主人「うるさい?」
誤解の始まり
主人の妻も出てきて。
妻「あら、ご迷惑をおかけしてます?」
与太郎「そりゃあ、毎晩あんなに激しく…」
妻「激しく?」
八五郎「筵越しに全部聞こえてるんだ」
夫婦は顔を見合わせて。
主人「まさか…餅つきの音ですか?」
一同「餅つき!?」
真相
妻「実は、夜中に餅菓子を作って、朝市で売ってるんです」
主人「昼間は別の仕事なもので」
八五郎「じゃあ、あのギシギシは…」
主人「臼の音です」
権助「でも、声も聞こえたぞ」
妻「ああ、『よいしょ』って掛け声ですね」
確認
一同は隣の部屋を見せてもらうと。
与太郎「本当だ、臼と杵がある」
八五郎「餅菓子も山積みだ」
権助「俺たち、とんでもない勘違いを…」
主人「でも、なんで営みだと?」
一同「いや、その…」
赤面の理由
実は、住人たちにも秘密が。
八五郎の女房「実は、うちも時々…」
権助の女房「筵だから、お互い様よね」
与太郎の女房「みんな我慢してたのね」
つまり、お互いの生活音が筒抜けだったのです。
新たな問題
主人「じゃあ、もっと静かに餅をつきます」
八五郎「いや、商売の邪魔はできねえ」
権助「俺たちも気をつけるよ」
大家「よし、解決だな」
一同「はい…」
その夜。
八五郎「(静かになったな…)」
しかし、今度は別の音が。
「ギシギシ…」「ああっ…」
八五郎「今度は向かいの部屋だ!」
どうやら、騒動を聞いて安心した別の夫婦が…。
翌朝、大家のところに新たな苦情が。
住人A「昨夜は餅つきじゃなかったですよね?」
大家「ああ、あれは本物だ」
住人A「じゃあ、今度こそ注意してください!」
大家「無理だ」
住人A「なんで?」
大家「あれは、俺の部屋だ」
まとめ
筵一枚の貧乏長屋では、何もかも筒抜けって話でした。
餅つきと勘違いしてた自分たちも、実は聞かれてたってオチ。
自己採点は85点!下ネタだけど、庶民の生活感があって良いんじゃないでしょうか。


