【時事落語】ゲリラ豪雨(新作落語)
最近、本当に多いですよね、ゲリラ豪雨。
さっきまで晴れてたのに、突然バケツをひっくり返したような雨。天気予報も当てにならないし、傘持ってない時に限って降るんですよね。まるで雨雲がこっちの様子を見計らってるみたい。
でもこの「ゲリラ」って言葉、江戸時代の人が聞いたらどう思うでしょう?「突然襲ってくる」って意味だと知ったら、きっと色んなものに「ゲリラ」をつけ始めるんじゃないでしょうか。
今回はそんな「ゲリラ」を巡る、江戸の町人たちのドタバタ劇です。最後のオチは…まあ、世の男性諸氏には共感していただけるかもしれません。
新しい言葉
えー、毎度おなじみバカバカしいお笑いを一席。
最近は横文字が多うてかないませんなぁ。
スマホやらパソコンやら、もうついていけまへん。
せやけど、江戸時代にも新しい言葉っちゅうもんは入ってきよったんですわ。
蘭学やら南蛮渡来やら、わけのわからん言葉がぎょうさん。
今日はそんな新しい言葉にまつわる、ちょっとおかしな話を…
長屋の井戸端会議
江戸は神田の裏長屋、井戸端に集まった女房連中がワイワイガヤガヤ。
おかみさんA「ねえ、聞いた?最近『ゲリラ雨』っちゅう言葉が流行ってるらしいで」
おかみさんB「ゲリラ?なんやそれ」
おかみさんC「なんでも南蛮の言葉で、『突然襲ってくる』っちゅう意味らしいわ」
そこへ通りかかった物知りの隠居。
隠居「おお、ゲリラか。確かに最近の夕立は予測できんからのう」
おかみさんA「隠居さん、詳しいんですか?」
隠居「うむ、長崎で聞いた話じゃが、向こうの国では戦で使う言葉らしい。予告なしに襲ってくることを言うんじゃ」
熊さんと八っつぁん
そこへ熊さんと八っつぁんがやってきた。
熊「なんや、井戸端で盛り上がっとるな」
八「ゲリラの話やて」
熊「ゲリラ?ワシも聞いたことあるで。突然襲ってくるんやろ?」
八「せやせや。ほんなら、うちの大家もゲリラやな」
熊「なんでや?」
八「家賃の取り立て、いっつも突然来よるやん」
一同が笑う。
隠居「まあ、それも一理あるのう」
おかみさんB「ほな、うちの亭主の酒癖もゲリラやわ」
おかみさんC「それ言うたら、うちの姑もゲリラや!」
甚兵衛の解釈
長屋の大工・甚兵衛が仕事から帰ってきた。
甚兵衛「おう、なんや賑やかやな」
熊「甚兵衛、ゲリラ知っとるか?」
甚兵衛「ゲリラ?ああ、知っとる知っとる」
八「ほんまか?」
甚兵衛「昨日も遭うたわ」
隠居「ほう、どんなゲリラじゃ?」
甚兵衛「仕事場に向かう途中、いきなりザーッと来よってな」
熊「雨か」
甚兵衛「いや、野良犬の群れや」
八「それゲリラちゃうやろ!」
甚兵衛「突然襲ってきたからゲリラやないか」
与太郎の勘違い
そこへ与太郎が慌てて走ってきた。
与太郎「大変や!ゲリラが来るで!」
一同「え?」
与太郎「町の瓦版屋が言うとった!今日の夕方、でっかいゲリラが来るって!」
隠居「それは夕立のことじゃろう」
与太郎「夕立?ゲリラちゃうの?」
熊「同じようなもんや」
与太郎「ほな、傘持っていかな」
八「ゲリラに傘は効かんやろ」
与太郎「なんで?」
八「突然やから、傘開く暇もないやん」
権助の自慢話
商人の権助が通りかかる。
権助「皆の衆、ゲリラの話か?」
甚兵衛「権助も知っとるんか」
権助「当たり前や。商売人はゲリラに備えなあかん」
熊「どう備えるんや?」
権助「ワシは常に傘を三本持ち歩いとる」
八「三本も?」
権助「一本は自分用、一本は客用、もう一本は予備や」
隠居「なるほど、用意周到じゃな」
権助「せやろ?これでゲリラ雨も怖ないわ」
甚兵衛「でも重たいやろ」
権助「それがゲリラ対策の代償や」
女房たちの本音
おかみさんA「でもな、雨のゲリラはまだマシやで」
おかみさんB「そうそう、洗濯物濡れるだけやもん」
おかみさんC「一番厄介なゲリラは他にあるわ」
隠居「ほう、何じゃ?」
おかみさんA「亭主の『今日は飲んで帰る』や」
おかみさんB「それも予告なしやもんな」
おかみさんC「しかも泥酔ゲリラや」
男衆が苦笑いする。
熊「それは…確かにゲリラやな」
八「防ぎようがないわ」
太助の哲学
そこへ長屋一の変わり者、太助がやってきた。
太助「ゲリラゲリラ言うとるけど、考えてみぃ」
甚兵衛「なんや太助」
太助「人生そのものがゲリラやないか」
与太郎「どういうこと?」
太助「生まれるのも突然、死ぬのも突然」
隠居「それは深いのう」
太助「恋も突然、別れも突然」
おかみさんA「確かにそうやわ」
太助「せやから、ゲリラを恐れてもしゃあない」
権助「ほな、傘いらんのか?」
太助「傘は要る。濡れたら風邪ひくやん」
一同がずっこける。
クライマックス
そんな話をしていると、急に空が暗くなってきた。
与太郎「あ!ゲリラや!ゲリラ雨が来る!」
権助「ワシの傘の出番や!」
皆が慌てて雨宿りの場所を探す。
熊「おい八公、お前んち近いやろ」
八「せやけど、嫁が…」
熊「なんや?」
八「うちの嫁もゲリラやねん」
熊「突然怒るんか?」
八「そうや。理由もなく突然キレよる」
隠居「それは大変じゃのう」
八「せやから、雨とどっちがマシか考え中や」
甚兵衛「どっちも濡れるやん」
八「雨は服だけやけど、嫁は心までビショビショや」
おかみさんB「あんた、後で覚えときや」
雨がポツポツ降り始める。
権助「ほれ、傘使え」
八「おおきに…でも家帰ったら嫁のゲリラが待っとる」
熊「なあ八公」
八「なんや」
熊「雨は止むけど、嫁は止まへんで」
まとめ
いかがでしたでしょうか。現代の気象用語「ゲリラ豪雨」を江戸時代の長屋に持ち込んでみました。
「突然襲ってくる」という意味から、雨以外の様々なものにゲリラをつけていく展開。そして最後は永遠のテーマ、夫婦関係で締めくくりました。雨は止むけど嫁は止まない…これ、令和の今でも変わらない真理かもしれませんね(もちろん、逆バージョンもありますが)。
自己採点は70点。ゲリラという現代的な言葉を江戸時代にうまく溶け込ませられたかなと思います。ただ、もう少し天気関連のネタを増やしても良かったかも。
これは完全なフィクションであり、創作落語です。実在の人物・団体とは一切関係ありません。また、夫婦関係に関する描写は落語的誇張であり、現実の夫婦関係を揶揄するものではありません。
当サイトでは他にも様々な時事ネタを落語風にアレンジした作品を公開しております。現代の出来事を江戸時代の視点で見る、この独特な試みをお楽しみください。


