合同間違い
合コンって、最初の自己紹介で勘違いが生まれやすいですからね。
今回は勘違いだらけの合コンから始まる、ちょっと不思議な恋愛話でございます。
まくら
皆さん、合コンに参加したことはありますか?
初対面の人との自己紹介は緊張するもので、時に思わぬ勘違いが生まれることもあります。
でもその勘違いが、逆に良い出会いに繋がることもあるようで。
今日はそんな合コンでの話でございます。
あらすじ
都内の居酒屋で行われた合コンでの話でございます。
参加者は男性3名、女性3名。
その中の一組、佐藤雄一28歳と田中恵子26歳に注目します。
司会役「それでは、自己紹介をお願いします」
雄一「佐藤雄一です。動物関係の仕事をしてます」
恵子「(動物関係?獣医さんかしら?)素敵ですね」
雄一「毎日、いろんな動物と触れ合ってます」
恵子「動物好きなんです!」
雄一「(おお、同じ趣味だ)」
恵子の自己紹介
恵子「田中恵子です。子供たちの面倒を見る仕事をしてます」
雄一「(子供の面倒?保育士さんかな?)立派なお仕事ですね」
恵子「毎日20人くらいの子供たちと」
雄一「20人?大変ですね」
恵子「でも、みんな可愛くて」
雄一「(優しい人だなあ)」
恵子「動物のお仕事って、どんなことを?」
雄一「えーと、餌をあげたり、掃除したり」
恵子「やっぱり獣医さん?」
雄一「獣医?まあ、似たようなものかな」
趣味の話
恵子「趣味は何ですか?」
雄一「読書が好きです」
恵子「どんな本を?」
雄一「専門書とか、図鑑とか」
恵子「図鑑?(動物の図鑑かしら?)動物の?」
雄一「まあ、そんなところです」
恵子「私も絵本をよく読みます」
雄一「絵本?(子供向けの本も読むのか)教養がおありですね」
恵子「仕事柄なので」
雄一「(保育士さんらしい)」
さらに深い話
雄一「恵子さんは、将来の夢とかありますか?」
恵子「いつか、もっと大きな施設で働きたいです」
雄一「大きな施設?(大きな保育園?)それは素晴らしい」
恵子「雄一さんは?」
雄一「僕も、もっといろんな動物と関われる場所で」
恵子「動物園とかですか?」
雄一「動物園…まあ、似たような感じです」
恵子「(きっと動物園の獣医さんになりたいのね)」
雄一「(この人、話が合うなあ)」
意気投合
合コンが進むにつれ、二人は意気投合していきます。
恵子「雄一さんって、優しそう」
雄一「恵子さんこそ、思いやりがある」
恵子「動物にも子供にも、愛情が必要ですからね」
雄一「そうですね。僕たちの仕事は似てる」
恵子「似てますね」
雄一「今度、一緒にお食事でもいかがですか?」
恵子「ぜひお願いします」
他の参加者「(あの二人、完全にお似合いだね)」
初デート
1週間後、二人は初デートをしました。
雄一「恵子さん、お仕事お疲れさまです」
恵子「雄一さんこそ」
雄一「今日は子供たちはどうでしたか?」
恵子「今日は大人しくしてくれました」
雄一「やっぱり恵子さんが上手だからですね」
恵子「雄一さんの動物たちは?」
雄一「今日は新しい子が来ました」
恵子「新しい子?(新しい動物?)どんな子ですか?」
雄一「ちょっと凶暴で、手を噛まれそうになりました」
恵子「大丈夫ですか?(動物も大変ね)怪我はしませんでした?」
雄一「なんとか無事でした」
さらなる勘違い
恵子「雄一さんの職場って、見学できますか?」
雄一「見学?(ちょっと難しいかな…)一般の方には、なかなか…」
恵子「そうですよね。動物病院は衛生面で」
雄一「動物病院?(病院じゃないけど…)まあ、似たようなものです」
恵子「私の職場も見学できますよ」
雄一「ぜひ見てみたいです」
恵子「でも、平日は忙しいから、土曜日がいいかも」
雄一「土曜日も働いてるんですか?」
恵子「週末は特に忙しくて」
雄一「(保育園って土曜日も開いてるのか)」
真相発覚の始まり
2回目のデートで、恵子が雄一の職場の近くまで迎えに来ました。
恵子「この辺りですよね?」
雄一「ええ、もうすぐです」
そして着いたのは…
恵子「え?動物園?」
雄一「はい、ここで働いてます」
恵子「動物園で?獣医さんじゃなくて?」
雄一「獣医?僕は飼育員です」
恵子「飼育員?」
雄一「ライオンとかトラの世話をしてます」
恵子「ライオンとトラ?(それで凶暴って言ったのか)」
雄一「恵子さんは保育園の先生ですよね?」
恵子「保育園?」
雄一「子供の面倒を見るって」
恵子「あ、それが誤解の元ね」
大誤解発覚
恵子「私、刑務所で働いてるの」
雄一「刑務所?」
恵子「刑務官なの。囚人の面倒を見てるの」
雄一「囚人?(子供って囚人のことだったのか)」
恵子「20人くらいって言ったのは、担当してる囚人の数」
雄一「囚人が可愛いって言ってましたよね?」
恵子「慣れると、みんな素直で可愛いのよ」
雄一「そうなんですか…」
恵子「読書が趣味って言ったのは?」
雄一「動物の生態の本じゃなくて、競馬の専門誌です」
恵子「競馬?」
雄一「競走馬の血統とかを調べるのが好きで」
恵子「それで動物関係の仕事って」
雄一「競走馬は動物ですから」
恵子「確かに動物だけど…」
大オチ
二人は顔を見合わせました。
恵子「お互い、とんでもない勘違いしてたのね」
雄一「そうですね」
恵子「私、動物園の獣医さんだと思ってた」
雄一「僕は保育園の先生だと思ってた」
恵子「実際は、ライオンの飼育員と刑務官」
雄一「すごい組み合わせですね」
恵子「でも」
雄一「でも?」
恵子「話してて楽しかった」
雄一「僕もです」
恵子「職業は全然違ったけど」
雄一「でも、どちらも世話をする仕事」
恵子「そうね。私は囚人、雄一さんはライオン」
雄一「どっちも危険な相手」
恵子「どっちも愛情が必要」
雄一「それに、どっちも檻の中」
恵子「あ、本当だ!」
雄一「案外、似た仕事なのかもしれません」
恵子「今度は正直に話して、改めてお付き合いしない?」
雄一「ぜひお願いします」
恵子「今度は『檻の中の住人担当同士』として」
雄一「面白い肩書きですね」
まとめ
ということで、勘違いだらけで始まった二人の関係でしたが、最終的には意外な共通点を見つけることができました。
職業は全然違っても、本質的に似ている部分があったというオチです。
出会いのきっかけは何であれ、大切なのは人としての相性なのかもしれませんね。
二人はその後もお付き合いを続けて、お互いの職場を見学し合ったりしているそうです。


