【AI落語】呉服屋の大工仕事(新作落語)
今回は江戸時代の呉服屋を舞台にした新作落語を作ってみました。
普段は美しい着物を扱っている繊細な商売人が、荒々しい大工仕事に挑戦したらどうなるか。
そんな面白い設定を関西弁で描いてみたところ、なかなか愉快な話になりました。
職人の世界は奥が深いものですが、素人が手を出すとこんな騒動になるという典型例かもしれません。
まくら
呉服屋いうたら、上品で繊細な商売やな。
美しい絹や木綿を扱い、お客の好みに合わせて着物を仕立てる。
そんな細やかな仕事をしとる人が、大工仕事なんかに手を出したらどうなるか。
まあ、火を見るより明らかやけど、本人はそう思わんもんでな。
聞いてもろうたら、きっと笑えますわ。
あらすじ
呉服屋「京屋」の朝
江戸の大通りに面した立派な呉服屋「京屋」。
店主の清次郎は京都から江戸に出てきた商売上手な男や。
美しい着物を並べた店内で、今日も商いに励んどる。
清次郎「番頭はん、今日は良え天気やなあ」
番頭「へえ、旦那はん。お客はんもようけ来そうでおます」
清次郎「そやな。新しい反物も入ったことやし、繁盛するやろ」
そこへ、近所の大工の棟梁、寅吉がやってきた。
普段着物なんか縁のない、がっしりした男や。
寅吉「清次郎はん、ちょいと相談があるんやけど」
清次郎「なんや寅はん、珍しいやないか。着物でも作るんか?」
寅吉「いや、そうやのうて…」
困った大工の相談
寅吉の話を聞いてびっくり。
なんでも、急に腰を痛めてしもうて、大事な仕事ができんようになったらしい。
寅吉「明日までに、お武家はんの屋敷の棚を直さんとあかんのや」
清次郎「それは大変やな」
寅吉「弟子たちも他の現場に行ってもうて、誰も手伝えんのや」
清次郎「ほな、他の大工はんに頼んだら?」
寅吉「みんな忙しゅうて、手が空かんのや」
寅吉は困り果てとる。
武家の仕事を断るわけにはいかんし、かといって体が動かん。
寅吉「清次郎はん、頼むわ。手伝うてくれへんか?」
清次郎「え?ワシが?」
寅吉「簡単な作業やから、大丈夫や」
呉服屋の大工挑戦
清次郎は呉服一筋で生きてきた男や。
木を削ったり釘を打ったりなんか、やったことがあらへん。
清次郎「寅はん、ワシは着物しか分からんで」
寅吉「心配いらん。ワシが指示するから、その通りにしたらええねん」
清次郎「でも…」
寅吉「お武家はんに迷惑かけるわけにはいかんのや。頼む!」
情に厚い清次郎、断りきれずに引き受けることになった。
呉服屋の主人が大工仕事や。
武家屋敷での作業
翌朝、清次郎は寅吉と一緒に武家屋敷へ。
立派なお屋敷の座敷に、壊れた棚がある。
寅吉「この棚の板を取り替えるだけや。簡単やろ?」
清次郎「板を取り替える…か」
寅吉「まず古い板を外すんや。のこぎりで切ってな」
清次郎「の、のこぎり?」
清次郎、生まれて初めてのこぎりを手にした。
重たい道具に手が震える。
悪戦苦闘の作業
清次郎「こ、こうか?」
ガシガシと木を削る音が座敷に響く。
寅吉「ちゃう、ちゃう!そんなに力入れたらあかん」
清次郎「す、すんません」
なれない手つきで板を切っとる清次郎。
のこぎりが斜めになったり、途中で引っかかったり。
寅吉「清次郎はん、もうちょっと優しゅうやってや」
清次郎「優しゅう言われても…」
ギコギコ、ガリガリ。
座敷中に木くずが飛び散る。
次々と起こる失敗
やっと板を切り終わったと思たら、今度は新しい板を取り付ける番。
これがまた大変や。
清次郎「釘はどこに打ったらええんや?」
寅吉「そこの印のところや」
清次郎「わかりました」
トンテンカン、トンテンカン。
清次郎、必死に釘を打っとる。
寅吉「あ!ちょっと待て!」
清次郎「なんや?」
寅吉「釘が曲がっとるやないか」
見ると、釘がぐにゃぐにゃに曲がっとる。
清次郎の不器用さが如実に現れとるわ。
武家の若旦那登場
そこへ、この屋敷の若旦那が通りかかった。
立派な侍の装束で、品のある顔立ちや。
若旦那「何をしておるのじゃ?」
寅吉「へえ、棚の修理をさせていただいとります」
若旦那「ほう、この者は見慣れぬが」
清次郎「へ、へえ。呉服屋の清次郎と申します」
若旦那、興味深そうに清次郎を見とる。
呉服屋が大工仕事をしとるのが珍しいんや。
意外な展開
若旦那「呉服屋が大工仕事とは珍しいな」
清次郎「お恥ずかしい限りで…」
若旦那「して、普段はどのような着物を扱っておるのじゃ?」
清次郎「京都から取り寄せた上質な反物を…」
話をしとるうちに、若旦那の目が輝いてきた。
実は、新しい着物を誂えたいと思っとったんや。
若旦那「それは興味深い。一度、店を拝見させていただきたい」
清次郎「え?ほ、本当でおますか?」
若旦那「うむ。武家の正装を新調したいと思っておったのじゃ」
商売の神様
なんと、呉服屋としての腕を買われて、大きな注文をもらえることになった。
武家の正装やから、相当な値打ちもんや。
寅吉「清次郎はん、良かったなあ」
清次郎「思わぬところで商売になるもんやなあ」
若旦那「では、棚の修理が済んだら、店にお邪魔させていただこう」
清次郎、俄然やる気が出てきた。
下手くそな大工仕事やけど、一生懸命に取り組む。
完成への道
寅吉の指導のもと、なんとか棚の修理が完成。
見た目はちょっと歪んどるけど、使える程度にはなった。
寅吉「まあ、初めてにしては上出来や」
清次郎「寅はん、おおきに」
若旦那「見事な仕上がりじゃ」
三人とも満足そうな顔をしとる。
清次郎も大工仕事の面白さが少し分かったみたいや。
呉服屋での商談
その日の夕方、若旦那が「京屋」を訪れた。
店内の美しい反物を見て、大いに感心しとる。
若旦那「これは素晴らしい品々じゃな」
清次郎「ありがとうございます」
若旦那「この紺色の縞模様、これで裃を作っていただけるかな?」
清次郎「もちろんでおます」
商談がまとまって、清次郎はほくほく顔。
大工仕事の苦労も報われたというもんや。
寅吉の驚き
翌日、寅吉が「京屋」にやってきた。
腰の調子も良くなって、元気を取り戻しとる。
寅吉「清次郎はん、昨日はおおきに」
清次郎「こちらこそ、ええ勉強になりました」
寅吉「それにしても、若旦那から大きな注文もらえて良かったな」
清次郎「そやねん。思わぬ儲けもんや」
二人で昨日のことを振り返っとる。
大工仕事は下手やったけど、結果オーライや。
寅吉「清次郎はん、実は言いたいことがあるんや」
清次郎「なんや?」
寅吉「あの若旦那な、実は最初から清次郎はんの店のことを知っとったんや」
清次郎「え?」
真相の発覚
なんと、若旦那は前から「京屋」の評判を聞いとって、一度訪れてみたいと思っとったんや。
でも武家の身分で商人の店に行くのは気が引けとった。
寅吉「それで、ワシに頼んできたんや」
清次郎「寅はんに?」
寅吉「清次郎はんを屋敷に呼ぶ口実を作ってくれって」
清次郎「まさか…」
そう、寅吉の腰痛も、棚の故障も、全部芝居やったんや。
若旦那と寅吉がグルになって、清次郎を屋敷に呼び寄せたんやと。
清次郎「なんやて!騙されとったんかワシは!」
寅吉「まあまあ、結果的に良かったやないか」
清次郎「良かったて…あのしんどい思いして」
最後の会話
でも清次郎も商売人や。
結果的に大きな利益を得たんやから、文句は言えん。
清次郎「まあ、商売になったからええけどな」
寅吉「そやろ?ワシかて演技がうまかったやろ?」
清次郎「演技て…寅はん、まさか本当は大工やのうて…」
寅吉「何言うてるねん、ワシは生粋の大工や。ただ、若旦那の芝居に付き合うてただけや」
清次郎「それやったら、ワシの大工仕事はどうやったんや?本当に下手やったんか?」
寅吉「あれはなあ…清次郎はん、あんたは生まれついての針子やで」
まとめ
呉服屋の主人が大工仕事に挑戦するという、一風変わった設定の落語でした。
最後の「針子」というオチには、我ながらニヤリとしてしまいます。
大工は木を扱い、呉服屋は布を扱う。どちらも手先の器用さが求められる職業ですが、やはり餅は餅屋ということでしょうか。
江戸時代の商売人同士の助け合いと、ちょっとした策略も織り交ぜて、温かみのある話に仕上がったと思います。
他の職人落語もお楽しみいただければ幸いです。


