夫婦喧嘩借金
夫婦喧嘩は犬も食わないと言いますが、借金取りなら喜んで食いつきそうです。
そんな夫婦の意地の張り合いを新作落語にしてみました。
愛情の裏返しとはいえ、ここまでやるかという話です。
でも、夫婦の絆って案外こんなものかもしれませんね。
意地の張り合いが生んだ借金地獄
あらすじ
長屋に住む夫婦、金太郎とお竹が些細なことで大喧嘩を始めた。
金太郎:「お前の作る飯はまずい」
お竹:「まずいなら外で食べなさい」
金太郎:「そうする。今度から外で食う」
お竹:「勝手にしなさい」
金太郎:「ただし、飯代はお前が出せ」
お竹:「なんで私が」
金太郎:「まずい飯食わされた慰謝料だ」
—
お竹も負けていない。
お竹:「じゃあ私は洗濯をやめる」
金太郎:「困らねえよ」
お竹:「洗濯は外に頼む。代金はあんたが払いなさい」
金太郎:「なんで俺が」
お竹:「汚した服の洗濯代よ」
二人の意地の張り合いが始まった。
—
金太郎は本当に毎日外食を始めた。
金太郎:「うまい飯を食わせてやる」
しかし、そんな金はない。
金太郎:「仕方ない、借金するか」
お竹も洗濯屋に頼み始めた。
お竹:「いい洗濯屋を見つけたわ」
しかし、やはり金がない。
お竹:「私も借金するしかないわね」
—
一ヶ月後、二人とも借金まみれになった。
金太郎:「くそ、飯代がかさんで」
お竹:「洗濯代も馬鹿にならないし」
でも、どちらも意地を張って謝らない。
金太郎:「俺は絶対に謝らん」
お竹:「こっちこそ謝るもんですか」
—
そこへ借金取りがやってきた。
借金取り A:「金太郎、金返せ」
金太郎:「今月は無理だ」
借金取り B:「お竹、洗濯代の借金は」
お竹:「来月にして」
借金取り A:「ところで、あんたら夫婦だろ」
金太郎・お竹:「そうだが」
借金取り B:「じゃあ連帯責任だ」
—
借金取り A:「金太郎の借金も、お竹が払え」
お竹:「えっ?」
借金取り B:「お竹の借金も、金太郎が払え」
金太郎:「そんな」
借金取り A・B:「夫婦は一心同体だからな」
結局、二人の借金は合算されて倍になった。
金太郎:「これじゃ、俺たち破産だ」
お竹:「どうしましょう」
—
借金取りたちが迫ってくる。
借金取り A:「逃げるなよ」
借金取り B:「どこまでも追いかけるからな」
金太郎:「おい、お竹!」
お竹:「なに?」
金太郎:「一緒に逃げるぞ」
お竹:「えっ?」
金太郎:「夫婦は一心同体だろ」
二人は手を取り合って、借金取りから逃げ回った。
金太郎:「喧嘩してる場合じゃなかった」
お竹:「借金取りの方が怖いわ」
まとめ
意地の張り合いで借金が膨らみ、最後は夫婦で借金取りに追われる羽目に。
でも、逃げる時は手を取り合って、やっぱり夫婦なんですね。
借金取りも、案外縁結びの仲人役になるのかもしれません。


