縁談地獄
今回もまた、新作落語を一席作らせていただきました。
お見合いの席での出来事を題材にしているんですが、私自身もお見合いの経験がないもので、想像で書いております。
まあ、想像力だけは豊かなもので、現実離れしているかもしれませんが、お楽しみいただければ幸いです。
仲人の困惑
あらすじ
仲人の金兵衛さん、今日はお見合いの席を設けておりました。
金兵衛「えー、本日はお日柄もよく、こちらの八五郎さんと、お花さんのご縁談の席を設けさせていただきました」
ところが、この二人、会った瞬間から険悪な雰囲気。
八五郎「なんだい、この女。髪の毛ボサボサじゃねぇか」
お花「あら、そちらこそ。着物の襟が曲がってますわよ」
金兵衛「まあまあ、お二人とも…」
八五郎「第一、年はいくつだい?」
お花「失礼ね!女性に年を聞くなんて」
八五郎「聞かなきゃ分からねぇだろう。三十は超えてるんじゃねぇか?」
お花「二十八よ!それより、あんたこそいくつなのさ」
八五郎「俺は三十二だ」
お花「へぇ、その歳で独身?どこか悪いんじゃないの?」
金兵衛さん、慌てて仲裁に入ります。
金兵衛「お二人とも、まずはお茶でも…」
八五郎「茶なんか飲んでる場合じゃねぇ。こんな口の悪い女と結婚なんて、冗談じゃねぇ」
お花「あら、私だって願い下げよ。こんな無礼な男」
しかし、口喧嘩をしているうちに、なぜか話が盛り上がってきました。
八五郎「料理は出来るのかい?」
お花「当たり前でしょ。あんたこそ、稼ぎはあるの?」
八五郎「大工の棟梁だ。腕は確かだぜ」
お花「へぇ、意外としっかりしてるのね」
金兵衛「あの、お二人とも…」
八五郎「なんだい、この煮物うめぇじゃねぇか」
お花「本当?じゃあ、もっと食べて」
八五郎「おう、遠慮なく」
いつの間にか、二人は楽しそうに話し始めました。
お花「でも、あんたって本当に口が悪いわね」
八五郎「お前だって人のこと言えねぇだろ」
お花「そうね、お互い様ね」
八五郎「ははは、そうだな」
金兵衛さん、呆然としております。
金兵衛「えー、それでは、この縁談は…」
八五郎「おう、こいつでいいや」
お花「こいつって言い方はないでしょ。でも、まあ、あんたでもいいわ」
翌月、二人は結婚しました。
新婚生活は相変わらず口喧嘩ばかり。
八五郎「おい、味噌汁が薄いぞ」
お花「あら、昨日濃いって言ったじゃない」
八五郎「昨日は昨日、今日は今日だ」
お花「わがままね」
でも、なぜか仲良し。
近所の人が聞きました。
近所の人「毎日喧嘩して、大丈夫?」
八五郎「なに言ってんだ。これが俺たちの愛情表現だ」
お花「そうよ。喧嘩するほど仲がいいって言うでしょ」
金兵衛「私が仲人した中で、一番仲の良い夫婦は、一番喧嘩の多い夫婦でございました」
まとめ
というわけで、口喧嘩から始まった縁談のお話でした。
実際のお見合いがこんな風だったら、仲人さんも大変でしょうね。
私も人の縁を取り持つなんて大それたことはできませんが、こうして落語の中で縁を結ぶお手伝いができれば幸いです。
まあ、現実の恋愛はもっと複雑でしょうけどね。


