江戸独身婚約
独身男性の見合いって、いろんな条件が出てくるものですからね。
今回は江戸時代の、ちょっと変わった縁談の話でございます。
まくら
皆さん、見合いの経験はおありですか?
江戸時代の縁談は、今よりもっと複雑で、いろんな条件が付くものでした。
特に相手の親が厳しいと、とんでもない条件を出してくることもありまして。
今日はそんな縁談の話でございます。
あらすじ
浅草で提灯屋を営む平吉、35歳の独身男性でございます。
周りからそろそろ結婚を勧められていました。
仲人「平吉さん、いい話がありますよ」
平吉「どんな話ですか?」
仲人「呉服屋の一人娘で、美人で気立てもいい」
平吉「それは興味がありますね」
仲人「ただ、お父さんがちょっと厳しい人で…」
平吉「どう厳しいんですか?」
見合いの席
呉服屋「松坂屋」で見合いが行われました。
相手は店主の松兵衛さんと娘のお絹さん。
松兵衛「平吉さん、よろしくお願いします」
平吉「こちらこそ」
お絹「(なかなか立派な方ね…)」
平吉「(美人だなあ…)」
見合いは順調に進みましたが、最後に松兵衛さんが言い出します。
松兵衛「平吉さん、結婚の条件があります」
平吉「どんな条件でしょう?」
松兵衛「娘を嫁に出す前に、平吉さんの男としての器量を確かめたい」
平吉「器量?」
驚きの条件
松兵衛「1ヶ月間、女遊びを禁止します」
平吉「え?女遊び禁止?」
松兵衛「はい。吉原にも行かず、芸者とも遊ばず」
平吉「それは…」
松兵衛「もし破ったら、縁談は破談です」
平吉「(厳しい条件だな…)」
さらに松兵衛さんは続けます。
松兵衛「さらに、毎晩私が見張りをつけます」
平吉「見張り?」
松兵衛「平吉さんがちゃんと約束を守っているか確認するんです」
平吉「そこまで?」
平吉の決意
平吉は考えました。
平吉「(お絹さんは確かに美人だし…)1ヶ月くらいなら我慢できるかな」
松兵衛「どうですか?」
平吉「わかりました。お受けします」
お絹「(平吉さん、真面目な方なのね)」
松兵衛「それでは、明日から見張りを始めます」
見張り開始
翌日から、松兵衛さんの手下が平吉を見張り始めます。
見張りA「平吉の野郎、今日はどこ行くかな」
見張りB「女のところに行ったら即報告だな」
平吉も気をつけて生活しています。
平吉「(見張られてるから気をつけなきゃ…)」
でも、普通に生活していても疑われます。
見張りA「平吉が八百屋のおかみさんと話してる」
見張りB「怪しいな」
見張りA「でも、野菜買ってるだけじゃないか」
見張りB「油断はできない」
エスカレート
見張りはどんどんエスカレートします。
見張りA「平吉が豆腐屋の娘と目を合わせた」
見張りB「これはアウトだ」
見張りA「いや、豆腐を受け取っただけだろ」
見張りB「目配せがあった」
報告を受けた松兵衛さん。
松兵衛「平吉さん、豆腐屋の娘と何かあったそうですが」
平吉「豆腐を買っただけです」
松兵衛「目を合わせたでしょう」
平吉「商売ですから当たり前でしょう」
松兵衛「それでも女は女です」
平吉の反撃
ついに平吉が反撃に出ます。
平吉「松兵衛さん、逆に質問があります」
松兵衛「何でしょう?」
平吉「松兵衛さんは、お絹さんが生まれる前から女遊びを一切してないんですか?」
松兵衛「それは…」
平吉「お絹さんのお母さんと結婚する前はどうでした?」
松兵衛「う…」
形勢逆転
平吉の追求は続きます。
平吉「見張りをつけるくらい厳しいなら、松兵衛さんも同じ条件でやってみてください」
松兵衛「私は既婚者です」
平吉「なら、お絹さんにも見張りをつけて、男性と話さないように監視してください」
松兵衛「それは…娘に失礼でしょう」
平吉「私にも失礼じゃないですか?」
大オチ
結局、松兵衛さんが折れることになりました。
松兵衛「わかりました。見張りは止めます」
平吉「ありがとうございます」
松兵衛「でも、約束は守ってくださいね」
平吉「もちろんです」
1ヶ月後、約束を守り抜いた平吉とお絹さんは無事に結婚しました。
結婚式の日、松兵衛さんが平吉に言います。
松兵衛「平吉さん、実は見張りは最初の1週間だけでした」
平吉「え?」
松兵衛「あなたが真面目なのはすぐわかったので…」
平吉「じゃあ、残りの3週間は?」
松兵衛「私が吉原に行ってました」
平吉「えええええ!?」
まとめ
ということで、平吉さんは厳しい条件をクリアして結婚できましたが、実は舅の松兵衛さんの方が女遊びをしていたというオチでした。
結婚前の条件は厳しくても、結婚してからの方が大変だったりするものですね。
でも平吉さんとお絹さんは、とても仲の良い夫婦になったということです。


