同窓会準備
本日も落語をお聞かせします。同窓会というのは、大人になってからの楽しみの一つですが、準備する側になると大変ですよね。特に幹事を務めることになると、色々と気を遣うものです。今回は、同窓会の幹事を引き受けた男性のお話です。昔の恋人への想いが絡んで、なかなか複雑な心境になったりして。私も学生時代のことを思い出しながら、江戸言葉で書いてみました。
まくら
同窓会は懐かしい人々との再会の場ですが、準備する側は意外と苦労が多いものです。特に昔の恋人が参加するとなると、準備にも力が入るというものです。
あらすじ
「おい清次郎、今度の同窓会の幹事、引き受けるって本当かい?」
「ああ、半次郎。誰もやりたがらないから、俺がやることになったんだ」
「大変だぞ、連絡取ったり、会場予約したり」
「まあ、やりがいはありそうだからな」
「やりがいって、何か下心でもあるのかい?」
「下心って何だよ。ただの同級生への奉仕だ」
「そうかい?顔がにやけてるじゃないか」
「にやけてない!真面目にやるんだ」
参加者リストの作成
清次郎は同級生の名簿を作り始めた。
「えーっと、田中、佐藤、鈴木…」
一人一人の名前を丁寧に書いていく。そして、ある名前で手が止まった。
「お美代…」
20 年前の恋人の名前だった。
「(元気にしてるかな…)」
「(結婚してるのかな…)」
「(子供はいるのかな…)」
気がつくと、お美代の名前の周りにハートマークを書いていた。
「いかんいかん、公平にやらないと」
会場選びの迷走
会場選びでも、清次郎はお美代のことを意識していた。
「ホテルがいいかな、料亭がいいかな…」
「お美代は上品だから、格式のあるところがいいかも」
「でも、カジュアルな方が親しみやすいかな」
「迷うなあ…」
結局、5 軒も下見に行くことになった。
「この会場はお美代に似合うかしら」
「いや、待て待て。みんなのための同窓会だ」
でも、結局一番高級な会場を選んでしまった。
案内状の作成
案内状作りにも異常に力が入った。
「毛筆で書いた方が、丁寧な印象になるかな」
「いや、パソコンの方が読みやすいか」
「手書きの方が、心がこもってる感じがするな」
結局、全部手書きで書くことにした。60 通もあるのに。
「字が下手だからなあ…習字を習い直すか」
「時間がない。丁寧に書こう」
特別待遇
お美代への案内状だけは特別扱いだった。
「和紙を使って、桜の押し花を添えて…」
「香りつきの便箋もいいな」
「いや、やりすぎか」
悩んだ末に、普通の紙に丁寧な字で書いた。でも、3 回も書き直した。
「『お元気ですか』じゃ堅いかな」
「『懐かしいですね』の方が自然か」
「『お会いできるのを楽しみに』は重いかな」
返信の確認
案内状を出した後、清次郎は返信を待つ日々だった。
「今日も郵便受けを 3 回チェック」
「お美代からの返信はまだかな」
「もしかして住所が違ってた?」
「結婚して苗字が変わってるかも」
ついに、お美代からの返信が届いた。
「『参加します』って書いてある!」
「楽しみにしてますだって!」
「これは脈があるかも!」
準備の過熱
返信を受けて、清次郎の準備はさらに過熱した。
「料理のメニューをお美代好みにしよう」
「昔、フレンチが好きって言ってたな」
「ワインもいいやつを用意しよう」
「花も飾って、雰囲気作りをしないと」
同級生の半次郎が心配して声をかけてきた。
「清次郎、張り切りすぎじゃないか?」
「張り切ってないよ、普通だよ」
「普通?バラの花束まで注文してるじゃないか」
「これは会場の装飾だ」
「100 本も?結婚式じゃあるまいし」
当日の朝
同窓会当日の朝、清次郎は3 時間も身だしなみに時間をかけた。
「髪型はどうしよう」
「スーツは紺色かグレーか」
「ネクタイは無地がいいか柄物がいいか」
「香水はつけるべきか」
結局、美容院にも行って、新しいスーツまで買った。
「完璧だ!20 年ぶりのお美代との再会!」
会場での再会
会場で、ついにお美代と再会した。
「清次郎くん!久しぶりね!」
「お、お美代さん!元気そうで何より」
「立派になったのね。幹事お疲れさま」
「いやあ、みんなのためだから」
お美代は昔と変わらず美しく、清次郎は舞い上がっていた。
「ところで、旦那さんは?」
「離婚しちゃったの。3 年前に」
「そ、そうなんですか…」
「今は一人よ」
「(チャンスだ!)」
まさかの展開
ところが、お美代が別の男性と親しそうに話しているのを発見。
「あの人は…山田?クラスの目立たない奴じゃないか」
「なんであんなに親しそうに…」
清次郎が近づくと、衝撃の事実が判明。
「清次郎くん、紹介するわ。私の彼氏の山田くん」
「え?彼氏?」
「2 年前から付き合ってるの」
「山田が?あの地味な山田が?」
山田は昔とは別人のように自信に満ち溢れていた。
「清次郎、同窓会の準備お疲れさま。素晴らしい会場だね」
「あ、ああ…ありがとう」
「お美代から聞いたよ。とても丁寧な案内状だったって」
「(あの案内状、山田も見たのか…)」
現実を受け入れる
その後、清次郎は現実を受け入れるしかなかった。
「(20 年も経てば、人は変わるよな)」
「(俺だって昔のままじゃないし)」
「(いい思い出にしておこう)」
乾杯の音頭を取る時、清次郎は大人になった自分を感じた。
「皆さん、20 年ぶりの再会に乾杯!」
「昔の思い出と今の幸せに乾杯!」
「乾杯〜!」
後日、半次郎が聞いた。
「清次郎、お美代とはどうなった?」
「いい友達に戻ったよ」
「友達?20 年越しの恋は?」
「20 年前に終わってたことに、やっと気がついた」
「そうか…でもいい同窓会だったろう?」
「ああ、準備が大変だった分、達成感もあった」
「次回もやるか?」
「絶対に嫌だ」
まとめ
今回は同窓会準備にまつわるお話でした。昔の恋人への想いから準備に力を入れすぎてしまう気持ち、よく分かります。でも、結果的には良い同窓会になって、清次郎さんも大人になれたようです。
「20 年前に終わってたことに、やっと気がついた」という清次郎さんの言葉は、なんだかほろ苦い大人の味がします。でも、「準備が大変だった分、達成感もあった」とも言っているので、無駄ではなかったのでしょう。人生、思い通りにいかないことの方が多いですが、それもまた一興というものでしょうね。


