スポンサーリンク

道具屋 落語|あらすじ・オチ「ズドーン」意味を完全解説

スポンサーリンク
話芸の殿堂-古典落語-道具屋
スポンサーリンク
スポンサーリンク

道具屋 落語|あらすじ・オチ「ズドーン」意味を完全解説

道具屋(どうぐや) は、与太郎が古道具屋を始めて客との会話が全く噛み合わない与太郎噺の傑作。鉄砲の値段を聞かれて「ズドーン」と音で答える秀逸な駄洒落オチが古典落語屈指の有名オチとして知られています。

項目内容
演目名道具屋(どうぐや)
ジャンル古典落語・与太郎噺
主人公与太郎
舞台神田豊島町・三味線堀
オチ「値(ね)じゃ」「ズドーン」
見どころ与太郎と客の噛み合わない会話、音の駄洒落オチ

3行でわかるあらすじ

与太郎が伯父から道具屋(古道具屋)の商売を譲り受ける。
客との会話が全く噛み合わず、商品説明も珍妙な受け答えばかり。
最後は鉄砲の値段を聞かれて「ズドーン」と音で答える。

10行でわかるあらすじとオチ

伯父の孫兵衛から内緒の商売を譲ると言われた与太郎は「泥棒」と勘違いして大騒ぎ。
実は道具屋(古道具屋)の商売で、ガラクタを持って甚兵衛の所で店を開く。
最初の客が「鋸(のこ)」を見せろと言うと「のこぎりか、ギリかいちゃいけません」と答える。
「焼きがなまくら」と言われて「火事場で拾ったからよく焼けてる」と答えて客に逃げられる。
次の客に股引きを見せろと言われ「小便できませんよ」と言って追い返す。
短刀を抜こうとする客と一緒に引っ張るが抜けず「これは木刀です」と平然と答える。
「抜ける物はないか」と聞かれて「おひな様の首が抜ける」と答える。
鉄砲を見せて「何ぼか」と聞かれ「一本です」と答える。
「代じゃ」「樫です」「金じゃ」「鉄です」と噛み合わない会話が続く。
最後に「値(ね)じゃ」と言われて鉄砲の音「ズドーン」で答えるオチ。

解説

「道具屋」は与太郎噺の代表作の一つで、商売の基本も知らない与太郎が古道具屋を始めて起こる珍騒動を描いた作品です。
客との会話が全く噛み合わず、専門用語を知らない与太郎が勝手な解釈で答える様子が笑いを誘います。
「焼きがなまくら(刃物の焼きが甘い)」を「火事場で拾ったからよく焼けている」と答えたり、「小便された(客が買わずに帰ること)」という符牒を文字通りに受け取って「小便できません」と言ったりする場面が見どころです。

最後の「値(ね)じゃ」「ズドーン」のオチは、値段を聞かれているのに鉄砲の音で答えるという秀逸な音の駄洒落で、古典落語の中でも特に有名なオチの一つとなっています。

あらすじ

神田豊島町の伯父の孫兵衛の家に呼ばれた与太郎さんに、
孫兵衛 「いつまでもぶらぶらしていないで、何か商売でもやってみろ。あたしが世間に内緒でやっている商売を譲ってやろう」

与太郎 「大家の伯父さんがほかにやっている内緒の商売・・・、ああ、あれか、上にどの字がつくやつだろ」

孫兵衛 「そういえば、上にどがつくな」

与太郎 「どうも目つきがよくねえと思ってたんだ。いい加減に観念してお縄につけ、この泥棒!」

孫兵衛 「馬鹿!あきれたやつだ。
大声で泥棒呼ばわりしやがって。どの字はつくけど道具屋だ」

もうけはお前にやると言われてやる気になった与太郎さん。
符牒で「ごみ」という、はんぱ物、ガラクタを持って、三味線堀の知り合いの甚兵衛さんの所へ行く。

甚兵衛さんからいろいろと売り方を教わり店を広げるとすぐに客が来る。
客 「そこの鋸(のこ)を見せろ」、「のこにある?」、「そこにあるのこぎりだよ」

与太郎 「なんだ、のこぎりか、あなたギリかいちゃいけません」

客 「こりゃあ、少し甘そうだな」、

与太郎 「まだなめたことないんで甘いか辛いか分らねえ」

客 「焼がなまくらというんだ」

与太郎 「そんなことありませんよ。伯父さんが火事場で拾って来たんだからよく焼けていることは請け合いで・・・」と言って客に逃げられる。
甚兵衛さんから、客が品物を見て買わずに帰ってしまうことを「小便(しょんべん)された」というと教わるが、次の客にも小便されてしまう。

今度の客は股引きを見せろという。
与太郎 「見るのはいいですがねえ、小便できませんよ」

客 「なに?小便できねえ、そんな股引、誰が買うかよ」と、あきれて帰ってしまった。

次の客は短刀を見て気に入って抜こうとする。
なかなか抜けないので与太郎も一緒に引っ張るが抜けない。
すると与太郎さん平気な顔で、「これは木刀です」

客 「何か抜ける物はないのか」

与太郎 「おひな様の首が抜ける」

客 「そこの鉄砲を見せい・・・これは何ぼか」

与太郎 「一本です」

客 「代じゃ」

与太郎 「樫です」

客 「金じゃ」

与太郎 「鉄です」

客 「値(ね)じゃ」

与太郎 「ズドーン」


落語用語解説

この噺をより深く理解するための用語解説です。

  • 道具屋(どうぐや) – 古道具屋のこと。江戸時代は新品を扱う店と中古品を扱う店が明確に分かれており、古道具屋は庶民の生活に欠かせない存在でした。
  • 符牒(ふちょう) – 商売人が使う隠語や暗号。「ごみ」は売れ残りや半端物を指す符牒で、客に聞かれても商品の価値を悟られないようにする工夫でした。
  • 鋸(のこ) – のこぎりのこと。江戸時代の鋸は今と違い、引く時に切れる日本式の片刃鋸が主流でした。
  • 焼きがなまくら – 刃物の焼き入れが不十分で切れ味が悪いこと。「なまくら」は切れない刀を指す言葉でもあります。
  • 小便された – 客が商品を見るだけで買わずに帰ること。「冷やかし」と同じ意味の商人用語です。
  • 股引(ももひき) – 下半身に着用する下着。現代のズボン下に相当します。
  • 短刀(たんとう) – 刃渡り一尺(約30cm)未満の小刀。武士だけでなく町人も護身用に所持することがありました。

よくある質問(FAQ)

Q: 与太郎とはどんな人物ですか?
A: 落語に頻繁に登場する愚か者の代表的なキャラクターです。純朴で正直ですが、常識や知識に欠け、そのズレた言動が笑いを誘います。与太郎噺は数十種類あり、「道具屋」はその代表作の一つです。

Q: なぜ「小便できません」という答えが面白いのですか?
A: 甚兵衛から教わった「小便された(客に逃げられた)」という符牒を、与太郎が文字通り「股引で小便ができない」と勘違いして答えたからです。商売用語と日常語の混同が笑いを生んでいます。

Q: 「値(ね)じゃ」「ズドーン」のオチの意味は?
A: 「値段」の「ね」と鉄砲の「音(ね)」を掛けた音の駄洒落です。客は値段を聞いているのに、与太郎は鉄砲の発射音で答えるという、音の響きを使った秀逸なオチです。

Q: この噺は実際の道具屋の様子を反映していますか?
A: はい、江戸時代の古道具屋の実態がよく描かれています。符牒の使用、商品の品定め、値段交渉の様子など、当時の商習慣が背景にあります。

名演者による口演

この噺を得意とした・している落語家をご紹介します。

  • 古今亭志ん生(五代目) – 昭和の名人。与太郎のとぼけた味わいを独特の間と語り口で表現し、この噺を十八番の一つとしていました。
  • 桂文楽(八代目) – 端正な語り口で知られる名人。与太郎の愚かさを品良く演じ、上品な笑いを生み出しました。
  • 柳家小三治 – 現代の名手。与太郎の純朴さを愛嬌たっぷりに演じ、客との掛け合いの間が絶妙です。
  • 春風亭一之輔 – 実力派。テンポの良い語りで現代の観客にも分かりやすく演じています。

関連する落語演目

同じく「与太郎」が主人公の古典落語

商売を題材にした古典落語

勘違いや言葉遊びが秀逸な古典落語

この噺の魅力と現代的な楽しみ方

「道具屋」の魅力は、与太郎という愛すべきキャラクターが生み出す笑いにあります。現代でも「空気が読めない」「天然ボケ」といった言葉がありますが、与太郎はその究極形と言えるでしょう。

しかし単なる愚か者ではなく、与太郎には悪意がありません。伯父を泥棒呼ばわりする場面も、正義感からの行動です。この純粋さが、聴く者に安心感を与え、心から笑える理由なのです。

また、この噺には江戸時代の商売の様子が生き生きと描かれています。符牒を使った駆け引き、客との値段交渉、商品の品定めなど、当時の商習慣を知る貴重な資料でもあります。

実際の高座では、演者によって与太郎のキャラクターが微妙に異なります。とぼけ具合の強弱、声の調子、仕草など、それぞれの個性が光ります。機会があれば、ぜひ生の落語会や動画配信で聴き比べてみてください。

最後の「ズドーン」というオチは、音の駄洒落として落語史上でも有名な一つです。このシンプルながら効果的なオチは、落語の「音」を大切にする芸能としての特徴をよく表しています。

関連記事もお読みください

タイトルとURLをコピーしました