大工の手紙
今度は大工さんと手紙の組み合わせで一席。
江戸時代の職人さんは字が読めない人も多かったようで、そこからヒントを得てみました。
まあ、AIに頼んでも、やっぱり古臭い話になってしまいますね。
字が読めない棟梁
江戸の町で大工をしている棟梁の源五郎。
腕は確かだが、字が読めないのが悩みの種。
あらすじ
「棟梁、旦那から手紙が来てますよ」
弟子の金太が手紙を持ってきた。
「おお、そうか。読んでくれ」
「はい。『来月の工事の件でご相談があります。お時間のある時にお越しください』って書いてあります」
「そうか。お返事を書かなければな」
「棟梁、どうしますか」
「お前に代筆を頼もう」
「僕ですか?」
「そうだ。お前も字が書けるだろう」
—
手紙を書く金太
「それでは、何と書きましょうか」
「そうだな…『お手紙ありがとうございました。来月の工事の件、承知いたしました』と書いてくれ」
「はい。えーっと…」
金太は一生懸命に手紙を書く。
「できました」
「ありがとう。届けてくれ」
「はい」
—
翌日
旦那の家から使いの者がやってきた。
「源五郎さんはいますか」
「はい、私です」
「旦那がお怒りです。すぐに来てくださいと」
「え?何かまずいことでも?」
「手紙を読んでひどく怒っておられます」
「手紙?」
—
旦那の家で
「源五郎、これはどういうことだ」
旦那が手紙を振りかざしている。
「はあ…」
「『来月の工事は承知できません。他の大工を探してください』と書いてあるぞ」
「え?」
「断るなら断るで、もう少し丁寧に書けないのか」
「旦那、ちょっと待ってください」
源五郎は手紙を見るが、字が読めない。
「これは…」
「どうした」
「申し訳ございません。弟子が間違えて書いたようです」
「間違えて?」
—
工場に戻って
「金太、お前、何と書いたんだ」
「え?『来月の工事の件、承知いたしました』と書きました」
「嘘をつくな。旦那は怒っておられる」
「本当ですよ」
「じゃあ、読んでみろ」
金太は手紙を読む。
「あれ?『来月の工事は承知できません』って書いてある」
「何だって?」
「おかしいな。確かに『承知いたしました』って書いたはずなのに」
「お前、字を間違えたんだろう」
「そうかもしれません」
—
再び旦那の家へ
「旦那、申し訳ございません。弟子が字を間違えました」
「字を間違えた?」
「はい。本当は『承知いたしました』と書くつもりだったんです」
「それが『承知できません』になったのか」
「はい」
「まったく…」
「本当に申し訳ありません」
「わかった。では、改めて返事をもらおう」
—
再び手紙を書く
「金太、今度は間違えるなよ」
「はい、棟梁」
「『来月の工事の件、喜んでお引き受けいたします』と書いてくれ」
「はい。えーっと…」
また一生懸命に書く金太。
「できました」
「本当に大丈夫か」
「はい」
「読んでみろ」
「『来月の工事の件、喜んでお引き受けいたします』」
「よし、今度は間違いないな」
—
翌日
また使いの者がやってきた。
「源五郎さん、旦那が…」
「また怒ってるのか」
「いえ、今度は喜んでおられます」
「そうか、良かった」
「でも、一つ聞きたいことがあると」
「何でしょう」
「『喜んでお引き受けいたします』の後に『ただし、値段は倍にします』と書いてあるそうですが」
「え?」
—
工場で
「金太、また何か書き足したのか」
「いえ、何も」
「じゃあ、この『値段は倍にします』は何だ」
「え?そんなこと書いてませんよ」
「書いてあるじゃないか」
「おかしいな…」
よく見ると、金太の字が下手で、『よろしくお願いします』が『値段は倍にします』に見える。
「金太、お前の字が下手すぎるんだ」
「すみません」
まとめ
いかがでしたでしょうか。
字が読めない棟梁と、字が下手な弟子の珍騒動でした。
まあ、コミュニケーションの大切さを改めて感じる話ですね。
自分で作っておいて何ですが、最後のオチは「金太の字が下手で『よろしくお願いします』が『値段は倍にします』に見える」という、かなり無理のある設定でした。
でも、江戸時代ならありえそうな話ですよね。
現代なら、メールで済む話ですが。


