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【AI落語】コンビニの粗忽(新作落語)

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コンビニの粗忽
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コンビニの粗忽

平成も半ばを過ぎた頃、町のあちこちにコンビニエンスストアという便利な店ができました。24時間開いていて、なんでも売っているという夢のような店。ところが便利すぎて、かえって混乱してしまう粗忽者も多いもの。今日は、そんなコンビニで起きた粗忽騒動をお話しいたします。

コンビニってのは便利でんな

「なあ、太一。コンビニっちゅうもん、行ったことあるか?」
「ありますよ、源さん。便利な店でっせ」
「そうか。ワシも一回行ってみたいんや」
「ほな、一緒に行きまひょか」
「頼むわ」

二人でコンビニに向かう。

「おお、こりゃ明るいなあ」
「24時間明るいんです」
「24時間? 電気代えらいことになりまへんか?」
「まあ、そのぶん売上もあるんでしょ」

店内に入る。

「いらっしゃいませ〜」
「おお、愛想のええ店員さんやなあ」
「外国の人でんな」
「ニイハオ〜」
「源さん、中国語違いますよ」
「そうか? 外国人言うたら中国やろ」
「いろんな国の人がいまんねん」

店内を見回す源さん。

「なんや、いろんなもん売っとるなあ」
「そうでっしゃろ。食べ物から日用品まで」
「あ、おにぎりや。これうまそうやなあ」
「どれにしまっか?」
「このツナマヨってやつ」
「それは人気でんな」

おにぎりを手に取る。

「なんや冷たいなあ」
「冷蔵庫に入ってまっから」
「冷蔵庫? 家の冷蔵庫みたいに冷たいんか」
「そうですよ」
「でも冷たいまま食べるんか?」
「あったためてもらえまっせ」
「あっためる? どこで?」
「レジで頼んだら」
「レジって何や?」
「お金払うところです」

レジに向かう。

「すんません、これあっためてもらえまっか?」
「はい。何秒にしますか?」
「何秒?」
「あっためる時間です」
「時間? えーっと…」

源さん、困ってしまう。

「普通でええわ」
「普通ですと30秒ですが」
「30秒? 短いなあ。もうちょっと長うしてもらえまっか?」
「何秒にしましょうか?」
「そうやなあ…3分」
「3分は長すぎます」
「そうか? カップラーメンと同じやのに」
「おにぎりは30秒で十分です」
「ほな、お任せしまっさ」

チン

「はい、どうぞ」
「おお、あったかなった!」

レジを済ませて外に出る。

「なあ太一、あの機械すごいなあ」
「電子レンジでっせ」
「でんしレンジ?」
「電子の力であっためるんです」
「電子? 見えへんもんで料理するんか?」
「まあ、そんなもんです」
「便利やなあ」

おにぎりを食べながら歩く。

「うまいなあ。でも太一、なんでコンビニっていうんや?」
「コンビニエンスストアの略ですわ」
「コンビニエンス?」
「便利っちゅう意味です」
「便利やから、便利店か」
「まあ、そんなとこでんな」
「そやけど、便利店やったら『べんりてん』でええやん」
「コンビニの方がかっこええでしょ」
「そうかなあ」

また別のコンビニの前を通る。

「あ、また便利店や」
「同じ系列でんな」
「系列?」
「同じ会社の店です」
「同じ会社がいっぱい店出してるんか?」
「そうですよ。チェーン店っちゅうやつです」
「チェーン? 鎖でつながってるんか?」
「そやなくて…」

入ってみる源さん。

「おお、さっきと同じや」
「同じ商品置いてまっからね」
「でも店員さんは違うなあ」
「当たり前ですわ」
「あ、これさっき買ったおにぎりや」
「そうでんな」
「値段も同じや」
「チェーン店やから当然です」
「便利やなあ。どこの店でも同じもんが同じ値段で買える」

しばらく店内を見て回る。

「太一、あの機械なんや?」
「ATMですわ」
「エーティーエム?」
「お金下ろす機械です」
「銀行の機械がなんでここに?」
「便利やからでしょ」
「なるほど、便利店やもんなあ」

操作してみようとする源さん。

「どうやって使うんや?」
「カード入れて、暗証番号押すんです」
「カード? どんなカード?」
「銀行のキャッシュカードです」
「持ってへん」
「ほな使えまへんわ」
「そうか…残念やなあ」

そこへ店員がやってきた。

「お客様、何かお手伝いしましょうか?」
「あ、この機械の使い方教えてもらえまっか?」
「カードはお持ちですか?」
「持ってまへん」
「でしたら、まず銀行でカードを作ってください」
「銀行? 銀行は遠いでっせ」
「でも隣の街にありますよ」
「隣の街…バスで30分かかるがな」
「そうですね」
「ATM使うのに30分かけて銀行行って、カード作って、また30分かけて戻ってくるんか?」
「まあ、そうなりますね」
「それやったら、最初から銀行でお金下ろした方が早いやん」

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