クリーニング店の預かり札騒動
クリーニング店って、なくてはならない存在ですが、たまに預かり札を失くしちゃったりして困ることありますよね。今回はそんな日常の小さなトラブルを題材に、江戸言葉で粋に仕上げてみました。些細なことから大騒ぎになる、人間の面白さを描けたでしょうか。
街角の便利屋さん
クリーニング屋ってえのは、忙しい現代人にとっちゃあ救いの神でございます。
汚れた服を預けて、数日後にはピッカピカになって戻ってくる。
でも、その間に預かり札ってもんを失くしちまうと、えらい騒ぎになるんでございます。
ある日の午後
「さくらクリーニング」にて。
50 代のサラリーマン、田中さんが慌てた様子でやってきた。
田中さん「すみません、スーツを取りに来たんですが」
店主「はい、預かり札をお持ちでしょうか?」
田中さん「それが…札を失くしちまったんです」
店主「あらら、それは困りましたな」
田中さん「明日の会議で絶対に着なきゃいけないんです」
記憶を頼りに
店主「いつお預けになりましたか?」
田中さん「えーと…3 日前の夕方です」
店主「何をお預けで?」
田中さん「紺のスーツ上下です」
店主「紺のスーツねえ…(奥を見ながら)紺のスーツはたくさんありますからな」
田中さん「ブランドはユニクロです」
店主「ユニクロの紺スーツも 5 着ほど…」
特徴の確認
田中さん「えーと、ズボンの裾にちょっとした汚れがあったんです」
店主「汚れの場所は?」
田中さん「右足の裾の内側あたりに」
店主「(奥から持ってきて)これでしょうか?」
田中さん「あー、これです!間違いない!」
店主「でも、お客さん」
田中さん「はい?」
店主「このスーツ、今朝お預かりしたばかりなんです」
田中さん「え?」
記憶の混乱
田中さん「そんなはずは…確かに 3 日前に」
店主「お名前は?」
田中さん「田中です」
店主「田中さん…(帳簿を見て)田中さんで 3 日前にお預かりしたのは…」
田中さん「はい」
店主「白のワイシャツ 2 枚となってますが」
田中さん「あれ?スーツじゃなくて?」
店主「はい」
田中さん「じゃあ、そのスーツはいつ持ってきたんだ?」
さらなる混乱
店主「今朝、奥様がお持ちになりました」
田中さん「家内が?」
店主「はい。『主人が急いでるから』とおっしゃって」
田中さん「そんな…覚えてないぞ」
店主「『預かり札は主人が持ってる』ともおっしゃってましたが」
田中さん「(ポケットを探って)あ、あった!」
預かり札が出てきた。
でも、そこに書いてあるのは「ワイシャツ 2 枚」。
真実の発覚
田中さん「おかしいな…」
店主「もしかして、他にもスーツをお預けでは?」
田中さん「いや、うちはここしか使わないし…」
その時、携帯電話が鳴る。
田中さん「はい、田中です」
電話の向こうから妻の声。
妻『あなた、スーツのクリーニング、今朝持って行ったからね』
田中さん「え?今朝?」
妻『昨日の夜、あなたが言ったでしょう?明日の会議で使うから急いでって』
田中さん「言ったかな…」
妻『二日酔いで覚えてないんでしょ』
恥ずかしい真実
電話を切って。
田中さん「すみません、昨日の夜、酒飲んでて記憶が…」
店主「あー、それでしたか」
田中さん「家内が今朝持ってきてくれたんですね」
店主「はい」
田中さん「で、預かり札は?」
店主「奥様は『主人が持ってる』とおっしゃって、お渡ししなかったんです」
田中さん「なんで俺が持ってると思ったんだろ?」
新たな預かり札
店主「新しい預かり札をお出ししましょう」
田中さん「お願いします。いつ出来上がりますか?」
店主「明日の朝一番には」
田中さん「助かります」
店主「でも、お客さん」
田中さん「はい?」
店主「ワイシャツの方も取りに来てくださいよ」
田中さん「あ、そうか。3 日前のワイシャツがまだあったんだ」
店主「はい」
田中さん「全部で 3 日前のワイシャツと、今朝のスーツですね」
店主「そういうことになります」
最後のオチ
翌朝、田中さんがスーツを取りに来た。
店主「おはようございます。スーツ、出来上がってますよ」
田中さん「ありがとうございます」
お金を払おうとして、ふと気づく。
田中さん「あれ?ワイシャツは?」
店主「ワイシャツ?」
田中さん「3 日前に預けたワイシャツ」
店主「それなら昨日、奥様が取りに来られましたよ」
田中さん「え?」
店主「『主人は忘れっぽいから』とおっしゃって」
まとめ
記憶って案外曖昧なもんですね。特にお酒を飲んだ後は。でも田中さんの奥様、しっかり者でよかったです。クリーニング店の店主さんも、こんなお客さんの相手をするのは大変でしょうけど、慣れたものですね。夫婦の役割分担がうまくいってる証拠かもしれません。今回は 83 点!日常のあるあるネタとしてはまあまあでしょう。


