【時事落語】赤トンボ見なくなった – 絶滅危惧種とSNS映えの現代事情
導入
最近のニュースで、赤トンボが激減しているという話を聞きました。30年前と比べて、なんと100分の1から1000分の1にまで減少しているそうです。
日本の秋の風物詩である赤トンボ。童謡「赤とんぼ」に歌われ、夕焼けと共に群れ飛ぶ姿は、多くの人の原風景として心に刻まれています。しかし、農薬の使用や環境の変化により、その姿を見ることが稀になってしまいました。
そんな現代の環境問題を、落語ならではの視点で描いてみました。昔を懐かしむおじいさんと、スマホ世代の孫。二人の掛け合いが生む、笑いと少しの哀愁をお楽しみください。
まくら
へい、毎度ばかばかしい話でございますが…
最近はもう、秋になっても赤トンボ見ませんなぁ。わたいらが子供の頃は、そらもう田んぼの上を真っ赤になるほど飛んでましたけど、今の子供らは赤トンボ知らんのちゃいますか。
この間も、近所のガキンチョに「赤トンボって知ってるか?」聞いたら、「知ってる!ポケモンGOで捕まえた!」言いよりましてな。いやいや、それはヤンヤンマや。赤トンボちゃうわ。
あらすじ
孫との散歩
ある秋の夕方、田舎に住む源さんは、都会から遊びに来た孫のタクヤを連れて散歩に出かけた。
源さん「タクヤ、ええ天気やなぁ。昔はこの時期になると、空一面に赤トンボが飛んでたもんや」
タクヤ「赤トンボ?それってドローンの一種?」
源さん「ドローンちゃうわ!虫や、虫!赤い色したトンボのことや」
タクヤ「へー、見たことないや。絶滅したの?」
源さん「絶滅はしとらんけど…まあ、ほとんど見んようになったなぁ」
SNS映えを探す孫
タクヤ「じいちゃん、もし赤トンボ見つけたらバズるかな?」
源さん「バズる?なんやそれ」
タクヤ「SNSでいいねがいっぱいもらえるってこと。レア度高いやつは映えるんだよ」
源さん「はぁ…昔はな、赤トンボなんか珍しくもなんともなかったんや。子供らがみんなで追いかけて、捕虫網で捕まえて遊んでたもんや」
タクヤ「今そんなことしたら、動物虐待でTwitterで炎上するよ」
環境の変化を嘆く
源さん「なんでこんなに赤トンボおらんようになったんやろなぁ」
タクヤ「スマホで調べてみる…あ、出た!農薬が原因だって。ネオ…ネオニコ…なんとか系農薬」
源さん「農薬かぁ…確かに最近の田んぼは、虫一匹おらんもんなぁ。昔は田んぼ行ったら、カエルやらドジョウやら、いろんな生き物おったのに」
タクヤ「でも農薬使わないと、お米作れないんでしょ?」
源さん「そうやなぁ…便利になった分、なんか大事なもん失ってる気がするわ」
赤トンボ発見?
突然、タクヤが興奮して叫ぶ。
タクヤ「じいちゃん!あれ見て!赤いの飛んでる!」
源さん「おお!ホンマや!赤トンボや!久しぶりに見たわ!」
タクヤはすぐにスマホを取り出して写真を撮り始める。
タクヤ「やった!これ、絶対バズる!『絶滅危惧種の赤トンボ発見!』ってタイトルつけて…ハッシュタグは#赤トンボ #レア #環境問題 #SDGs…」
源さん「おい、写真ばっかり撮ってんと、ちゃんと見てみぃ」
思い出話
源さん「わしが子供の頃はな、夕方になると赤トンボの大群が飛んできてな。夕焼けの中を飛ぶ赤トンボは、そらもう綺麗やった」
タクヤ「へー、群れで飛ぶんだ」
源さん「そうや。それでな、『夕焼け小焼けの赤とんぼ〜』って歌いながら、みんなで追いかけたもんや」
タクヤ「その歌、音楽の授業で習った!でも実物見たことないから、イメージ湧かなかったんだよね」
源さん「今の子は可哀想やなぁ。歌だけ知ってて、本物知らんのか」
衝撃の真実
タクヤがスマホの画面を見て、急に顔色を変える。
タクヤ「じいちゃん…これ、赤トンボじゃないって」
源さん「え?」
タクヤ「画像検索したら、これ赤く塗装したドローンだって。近所の農家が農薬散布用に使ってるやつ」
源さん「ドローン…」
タクヤ「あ、でも待って!『農薬散布ドローンを赤トンボと間違えた』って投稿したら、これはこれで面白いかも!」
源さん「はぁ…」
オチ
源さん「なあタクヤ、赤トンボが絶滅危惧種になって、代わりに農薬撒くドローンが飛んでるって、なんか皮肉やなぁ」
タクヤ「確かに…あ、じいちゃん!このドローン、よく見たら商品名書いてある!」
源さん「なんて書いてある?」
タクヤ「『アカトンボ2025』だって」
源さん「赤トンボがおらんようになったから、ドローンに赤トンボって名前つけて飛ばしてるんか。これやったら、もう本物の赤トンボなんか要らんっちゅうことやな。便利な世の中になったもんや」
まとめ
いかがでしたでしょうか。
赤トンボの激減という環境問題を、現代のSNS文化と絡めて落語にしてみました。本物の赤トンボを知らない世代と、昔を懐かしむ世代のギャップ。そして最後は、赤トンボを駆逐した農薬を撒くドローンに「アカトンボ」という名前がついているという皮肉。
笑いの中に、少し考えさせられる要素を込めました。環境問題は深刻ですが、落語という形で表現することで、違った角度から考えるきっかけになればと思います。
ちなみに、本当の赤トンボは今でも見ることができます。ただ、30年前と比べて100分の1になったというのは事実。私たちの子供や孫の世代が、本物の赤トンボを見られる環境を残していきたいものです。
でも、そのうち本当に「赤トンボ」という名前のドローンが発売されそうで怖いですね。いや、もしかしたらもうあるのかも…?


