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【古典落語】古着屋 あらすじ・オチ・解説 | ダメコンビ終終ショッピング大作戦、算盤暴走事件、腸間新古特定法

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話芸の殿堂-古典落語-古着屋
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古着屋

3行でわかるあらすじ

源さんが女房の言葉通りに熊さんを古着屋に誘うが、算盤の値段交渉で源さんが珠を全部動かして莫大な金額にしてしまう。
番頭に源さんがさんざんバカにされ、熊さんが怒って反論するが、源さんが「牢屋に入ったことがある」と余計な情報を漏らす。
最後に源さんが熊さんの言葉を真似して「腸がサラか古いか調べる」と言って、古着と同様に番頭の腸の新古を確認すると言い放つオチ。

10行でわかるあらすじとオチ

源さんが古着屋に一緒に行ってくれと熊さんのところに来て、女房の評価をそのまま伝える。
女房は熊さんを「ずる賢くて悪知恵が働く」「おっちょこちょい」と評していることを正直に話す。
あまりにあからさまな話で熊さんも怒りようがなく、柳原土手の古着屋に一緒に行くことになる。
古着屋で熊さんが木綿の綿入れを見せてもらい、番頭が算盤で値段を示す。
源さんが「思い切って珠を動かしてみろ」と言われて、算盤の珠を全部動かして莫大な金額にしてしまう。
熊さんが「三百に」と値切ろうとするが、番頭は怒って源さんを徹底的にバカにし始める。
「顔を洗った方がいい」「風で倒れる」「血も出ない」などと散々な言われ様をする。
熊さんが激怒して「商売盗っ人」と言い返し、源さんにも何か言えと促す。
源さんが反論しようとするが「牢屋に入ったことがある」と余計な情報を漏らしてしまう。
最後に「腸がサラか古いか調べてやる」と言って、古着の新古判定と同様に番頭の腸の状態を確認するというオチで終わる。

解説

「古着屋」は江戸落語の古典演目で、源さんと熊さんという江戸落語でおなじみのコンビが登場する商売噺である。この演目は江戸時代の庶民の生活と商売の様子を描いた店噺の一つとして親しまれてきた。

この落語の最大の見どころは、源さんの天然ぶりと熊さんとの掛け合いにある。源さんは冒頭から女房の評価をそのまま熊さんに伝える正直すぎる性格で、古着屋でも算盤の珠を全部動かして大金額にしてしまうなど、終始トラブルメーカーとして描かれている。一方、熊さんは商売の知識があり口も達者だが、源さんの余計な発言で台無しにされる役どころとなっている。

オチの「腸がサラか古いか調べる」は、古着の新古を判定する際の表現「サラか古いか」を人間の内臓に応用した言葉遊びである。古着屋という商売の性質を活かした秀逸なオチとして評価されている。この演目は江戸庶民の日常生活と商売の知恵、そして人間関係の面白さを描いた代表的な古典落語として現代でも愛され続けている。

あらすじ

源さんが古着屋へ一緒に行ってくれと熊さんところへやって来る。
源さん 「うちのかみさんが”古着の買い方は難しい。
熊さんは人間がしっかりしていてちょっとずる賢くて、悪知恵も働くから安く買えるに違いない。上手くおだてれば人間がおっちょこちょいだから一緒に行ってくれるだろうって”・・・それで来たんだ」、ここまであからさまにもとを喋られたんじゃ、熊さんも怒りようがなく、一緒に柳原土手の古着屋に行く。

熊さん 「木綿の洗いざらしでいいんだが、綿入れを一枚見せてくれ」

番頭 「これは河内木綿で、・・・このとおりサラ綿が入っております」、

熊さん 「いくらだい」

番頭 「朝の商いは縁起でございます。お安く願って・・・こんなところでは如何でございましょうか」と、算盤に珠を置く。

熊さん 「これだとよ。
珠を動かしてもいいんだよ。思い切って動かしてみな」、源さんは思い切り珠を全部動かしちまって莫大な金額になってしまった。
算盤も分からない源さんに呆れて、

熊さん 「算盤じゃなく口で言ってくれ」、「へえ、ニ朱と三百で」

熊さん 「もっと安くしとけよ。三百に」、「三百負けるということで?」

熊さん 「いや、三百にするんだ」

番頭 「おい、小僧、この品物早く下げちまえ。
お帰りください。
あなた、冷やかしにもほどというものが、…お帰りなさいてえんだよ。(源さんの顔を見て) お前さん今朝顔洗ったかい。
帰って熱いおみおつけでよおく顔を洗った方がいいよ。
それに風の強い日なんぞには表に出ない方がいいよ。
ばたっと倒れちまうよ。
お前さんの体なんか切っても赤い血なんぞ出やしないよ。切ると白いオカラかなんかがボロボロ・・・・お帰り、お帰り」、あまりの言いように源さん、かんかんに怒ると思いきや、

源さん 「熊さん、じゃあ帰ろう」と情けない。

熊さん 「客に向かってなんだその言い草は。
てめえの眉毛の下に光ってんのは何だ。
目だったらくり抜いて陰干しにして煙草入れの緒にでもひっつけろ。
俺たちやあ、チャキチャキの江戸っ子でぇ。
体ぁ切って赤い血が出なけりゃ、西瓜じゃねえが取り替えてやるから、さあ、切ってみやがれってんだ。
おれが十年も若かったら、てめえの上あごと下あごをこう持ってビリ~ッと引き裂いてやらあな。てめえのような奴を飼っている主人の面ぁ見てえからここへ持って来いや、この盗っ人野郎め!」

番頭 「盗っ人呼ばわりとは聞き捨てなりません。あたしが何時、何を盗みました?」

熊さん 「てめえのような商売の道を知らねえのを商売盗っ人っていうんだ。おい、源公、おめえも悔しかったら何とか言ってやれ」

源さん 「いいよ、いいよ、もう帰ろうよ」

熊さん 「何でもいいから、何か言ってやれ」

源さん 「俺はこのとおりだらしねえが、熊さんはしっかり者だぜ。なにしろ、牢屋にだって入ってるんだから」

熊さん 「馬鹿、余計なこと言うんじゃねえや」

源さん 「こらぁ、番頭、お前は商売の道知らねえな。たとえ、三文の物を三両とつけられても・・・」

熊さん 「そりゃ、あべこべだ」

源さん 「おれが十年も若かったら、てめえの上あごと下あごをこうやって持って、・・・そん時、俺の指なんぞにかみつかないでおくれ・・・上あごと下あごこうやってビリ~ッと引き裂いて・・・中をようく調べてやらあ」

番頭 「へ~ぇ、いったい何を調べるんで?」

源さん 「てめえの腸(はらわた)がサラか古いか・・・」


落語用語解説

この噺をより深く理解するための用語解説です。

  • 古着屋(ふるぎや) – 中古の着物を売買する店。江戸時代は新品の着物は高価だったため、庶民は古着屋で衣類を調達しました。
  • 熊さん・源さん – 江戸落語の定番キャラクター。熊さんは短気で直情的、源さんはのんびり屋で描かれることが多いです。
  • 算盤(そろばん) – 計算器具。珠を動かして計算しますが、この噺では源さんが全部動かして大金額にしてしまいます。
  • 番頭(ばんとう) – 商家の責任者。店主に次ぐ立場で、店の運営を取り仕切ります。
  • サラ – 新品のこと。「更」から来ており、「サラの着物」は新しい着物を意味します。
  • コケにする – バカにすること、からかうこと。番頭が熊さんと源さんをコケにする場面があります。
  • 腸(はらわた) – 内臓のこと。オチで源さんが「腸がサラか古いか調べる」と言います。
  • 羽織 – 着物の上に羽織る外衣。江戸時代の男性の正装には欠かせないものでした。

よくある質問(FAQ)

Q: なぜ源さんは算盤を全部動かしたのですか?
A: 源さんは算盤の使い方を知らず、珠を全部動かせば計算できると勘違いしたからです。その結果、とんでもない大金額になってしまいました。

Q: 番頭はなぜ二人をコケにしたのですか?
A: 熊さんと源さんの無知ぶりや、算盤を滅茶苦茶にする様子を見て、からかって面白がったからです。

Q: オチの「腸がサラか古いか」の意味を教えてください
A: 源さんが番頭に腹を立てて「お前の腸(内臓)が新品か古いか調べてやる」と凄むオチです。古着屋なので「サラか古いか」という言葉遊びになっています。

Q: この噺は江戸落語ですか、上方落語ですか?
A: 江戸落語の演目です。熊さん・源さんという江戸落語の定番キャラクターが登場します。

Q: 実際にこのような古着屋はあったのですか?
A: はい、江戸時代は新品の着物が高価だったため、古着屋は庶民にとって重要な店でした。

名演者による口演

この噺を得意とした・している落語家をご紹介します。

  • 古今亭志ん生(五代目) – 昭和の名人で、熊さんと源さんのダメぶりをユーモラスに演じました。
  • 古今亭志ん朝(三代目) – 洗練された語り口で、二人のやり取りをテンポよく表現しました。
  • 柳家小三治 – 人間国宝。番頭の意地悪さと熊さん源さんの無知を丁寧に描きます。
  • 春風亭一之輔 – 現代の若手実力派。コミカルな展開をエネルギッシュに演じます。

関連する落語演目

同じく「熊さん・源さん」が登場する古典落語

「商売・店噺」がテーマの古典落語

「滑稽噺」の古典落語

この噺の魅力と現代への示唆

「古着屋」のオチは、源さんが番頭に腹を立てて「お前の腸がサラ(新品)か古いか調べてやる」と凄むという、古着屋という舞台を活かした言葉遊びです。暴力的な脅しでありながら、「サラか古いか」という古着屋らしい表現が笑いを誘います。

この噺の最大の魅力は、熊さんと源さんというダメコンビの掛け合いです。算盤の使い方を知らない、商売の常識がない、簡単に番頭にからかわれるなど、二人の無知ぶりが次々と露呈します。しかし憎めない愛嬌があり、観客は二人に同情しながら笑ってしまいます。

番頭のキャラクターも興味深い点です。客をコケにするという商売人としてはあり得ない行為をしますが、あまりにも無知な二人を見て面白がってしまう人間臭さがあります。この番頭の意地悪さが、最後の源さんの怒りを引き出す重要な役割を果たしています。

現代的な視点で見ると、この噺は「知識の格差」というテーマを扱っています。算盤の使い方や商売の常識を知らない熊さんと源さんは、知識がある番頭に簡単にからかわれてしまう。情報格差や知識格差は現代社会でも重要な問題です。

また、「三文の物を三両」という価格設定に対する熊さんの抗議は、消費者としての正当な権利主張です。しかし源さんが「あべこべだ」と訂正するなど、二人の無知ぶりが権利主張の説得力を失わせてしまう。知識がないと正当な主張もできないという教訓が込められています。

実際の高座では、熊さんと源さんのダメぶり、番頭の意地悪さ、そして最後の源さんの怒りを演じ分ける演者の技量が見どころです。機会があれば、ぜひ生の落語会や動画配信でお楽しみください。


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