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【古典落語】穴子でからぬけ – 与太郎の奇想天外ななぞなぞ勝負

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話芸の殿堂-古典落語-子でからぬ
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穴子でからぬけ

穴子でからぬけ(あなごでからぬけ) は、与太郎がなぞなぞ賭博で源さんを翻弄する古典落語です。「穴子でからぬけ」というオチが秀逸で、簡単な問題で油断させてから大金を巻き上げる騙しのテクニックが痛快な与太郎噺の代表作です。

項目内容
演目名穴子でからぬけ(あなごでからぬけ)
ジャンル古典落語・江戸落語
主人公与太郎
舞台江戸の町中
オチ「穴子でからぬけ」「ズイキの腐ったん」
見どころ愚者を装った与太郎の計算高い騙しのテクニック

3行でわかるあらすじ

与太郎が源さんになぞなぞ賭博を持ちかけ、牛、犬、猫などの簡単な問題で相手を油断させる。
五百円の賭けで「長いのもあれば短いのもある、つかむとぬるぬるするもの」と出題し、源さんはヘビかウナギと答える。
しかし与太郎の答えは「穴子でからぬけ」で、狡猛に五百円を巻き上げられてしまうオチ。

10行でわかるあらすじとオチ

与太郎が源さんになぞなぞ賭博を持ちかけるが、源さんは与太郎では相手にならないと乗り気ではない。
十円から始まると言われて、与太郎から金を巻き上げられると思って源さんが承諾する。
「黒くて大きくてモーモー鳴く」(牛)、「ワンワン吠えて片足上げる」(犬)など簡単な問題で与太郎が連敗。
二十円に上がって「ニャーニャー鳴く」(猫)、「カアカア鳴く七つの子」(カラス)も簡単に当てられて与太郎の連敗が続く。
すると与太郎は一挙に五百円に金額を引き上げ、「長いのもあれば短いのもある、つかむとぬるぬるするもの」と出題する。
源さんは「この野郎、誰の入れ知恵だ」と憤慰し、ヘビかウナギで答えを変えられると読んで両方を答える。
しかし与太郎の答えは「穴子でからぬけ」で、意外な答えに源さんはまんまと五百円を取られてしまう。
味をしめた与太郎が同じ問題を繰り返すと、源さんは「ヘビに穴子にウナギ」と三つ答える。
すると今度の与太郎の答えは「ズイキの腐ったん」で、さらに源さんを翔めすオチで終わる。

解説

「穴子でからぬけ」は与太郎噺の代表作の一つで、一見バカな与太郎が実は計算高い騙し師であることを描いた秀逸な作品です。物語の構造が非常に精巧に作られており、簡単ななぞなぞから始まって相手を油断させ、最終的に大金を巻き上げるという騙しの手口がリアルに表現されています。

特に注目すべきは、与太郎が段階的に賭け金を引き上げていく手法です。十円から始まり、二十円、そして一挙に五百円という大金に跳ね上がるこの構成は、ギャンブル心理を巧みに突いたもので、現代の詐欺手口にも通じる普遍的な手法として評価されています。

また、「穴子でからぬけ」という答え自体が、アナゴ(穴子)の語呂合わせで「からぬけ(空抜け)」という表現が結びついた洒落な言葉遊びであり、江戸時代の言葉センスとユーモアの絶妙な組み合わせを示した名作といえます。「ズイキの腐ったん」という最後の答えも、同様の特徴を持つものでありながら、いかにも与太郎が一枚上手であるかを示す仰天の一擃となっています。

あらすじ

与太郎さんがなぞなぞで、源さんに賭けをしようという。
与太郎では相手にならずつまらないので乗り気でない源さんに、与太郎は始めは十円の賭けという。
それなら与太郎から金を巻き上げられると源さんもOK。

与太郎 「真っ黒で大きくて、角が2本、足が4本で、モーッモー鳴くもの、なんだ」

源さん 「牛に決まってんだろ」で、与太郎の負け。

次は与太郎 「ワンワン吠えて、小便する時、片足を上げるもの」

源さん 「犬だ」で与太郎の連敗。

与太郎は今度は二十円に上げて、「ニャーニャーないて、ネズミを追っかけるもの」、「猫だよ」、「当たり―」、

与太郎 「真っ黒で、七つの子があって、カァーカァー、鳴くもの」

源さん 「おい、大丈夫か、カラスだよ」 もうそろそろ降参して止めるだろうと思っていた源さんに、今度は一挙に五百円に吊り上げて、

与太郎 「長いのもあれば短いのもある。太いのもあれば細いのもあって、つかむとぬるぬるするもの、なーんだ」

源さん 「この野郎、誰の入れ知恵だ。俺がヘビと言ったらウナギ、ウナギと言ったらヘビと言うんだろ」

与太郎 「両方言ってもいいよ」

源さん 「じゃあ、ヘビとウナギだ」

与太郎 「へへ、穴子でからぬけだ」で、源さんはまんまと五百円取られてしまった。

味をしめたのか与太郎「長いのもあれば・・・」と、今のと同じなぞなぞを出す。

源さん 「ヘビに穴子にウナギだ」

与太郎 「へへへ、残念、今度はズイキの腐ったんだ」


落語用語解説

この噺をより深く理解するための用語解説です。

  • 与太郎(よたろう) – 落語に登場する定番キャラクター。一見愚かで間抜けな男だが、時に意外な機転を見せる。江戸時代から愛される庶民の代表的存在。
  • なぞなぞ賭博 – 江戸時代に流行した遊び。謎かけで金銭を賭けるギャンブルの一種で、庶民の娯楽として親しまれた。
  • 穴子(あなご) – ウナギに似た魚。江戸前寿司のネタとしても人気。この噺では「からぬけ(空抜け)」との言葉遊びに使用。
  • ズイキ – 里芋の茎。関西地方では煮物などにして食べられる。腐ると確かにぬるぬるする特徴がある。
  • 五百円 – この噺が作られた時代、五百円は現在の数万円相当の大金。庶民にとって相当な賭け金だった。

よくある質問(FAQ)

Q: 与太郎は本当にバカなのですか?それとも計算高い詐欺師なのですか?
A: この噺の面白さはまさにその曖昧さにあります。表面的には愚かに見えながら、実は周到に計画された騙しのテクニックを使っているという二重構造が魅力です。演者によって与太郎のキャラクター解釈が異なり、それぞれの高座で違った味わいが楽しめます。

Q: 「穴子でからぬけ」という答えは当時一般的だったのですか?
A: いいえ、これは与太郎が作った詭弁的な答えです。アナゴは確かに条件に当てはまりますが、「からぬけ」は単なる語呂合わせで、なぞなぞの答えとしては理不尽なものです。その理不尽さこそがこの噺の笑いどころです。

Q: なぜ源さんは最後まで騙されてしまうのですか?
A: ギャンブル心理の典型的なパターンです。小額で負けた後、取り返そうとして大金を賭けてしまう心理は、現代でも変わりません。また、与太郎を見下していた源さんのプライドも災いしています。

Q: 現代でも演じられていますか?
A: はい、与太郎噺の代表作として、多くの落語家が高座にかけています。特に新作落語として現代風にアレンジされたバージョンも人気があります。

名演者による口演

この噺を得意とした・している落語家をご紹介します。

  • 柳家小三治 – 人間国宝。与太郎の愚かさと狡猾さを絶妙なバランスで演じ、観客を魅了。
  • 古今亭志ん朝 – 江戸落語の名手。テンポの良い語り口で、騙し騙されの駆け引きを見事に表現。
  • 春風亭一朝 – 与太郎噺の第一人者として知られ、この噺でも独特の味わいを見せる。

関連する落語演目

同じく与太郎が活躍する古典落語

なぞなぞ・言葉遊びが楽しい古典落語

騙し騙されの駆け引きが見どころの落語

この噺の魅力と現代への示唆

「穴子でからぬけ」は、一見単純ななぞなぞ遊びに見えて、実は詐欺の心理学を描いた深い作品です。小さな成功体験で相手を油断させ、最後に大きく仕掛けるという手法は、現代の投資詐欺などにも通じる普遍的なテクニックです。

与太郎というキャラクターの二面性も興味深く、愚者を装って賢く立ち回る「弱者の戦略」として読み解くこともできます。社会的弱者が知恵を使って強者を出し抜く痛快さは、時代を超えて共感を呼びます。

実際の高座では、演者によって与太郎の演じ方が大きく異なります。本当に愚かな与太郎が偶然勝つパターンと、最初から計算づくで演じるパターンでは、全く違った味わいになります。ぜひ複数の演者の高座を聴き比べてみてください。

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