【AI落語】102回目のプロポーズ 第4話「愛は計算ミス」(新作落語)
最近はAIで何でも解決できる時代になりました。
でも恋愛だけは、どうも計算通りにいかないもんです。
せいやんも最新技術に頼ろうとしましたが、愛に計算式はないってことを思い知らされます。
まあ、計算できたら苦労しませんわな。
アプリ開発
せいやんのアパート。暗い部屋にパソコンの青白い光だけが照らし、カップラーメンのからっぽの山が積み上がっている。
パソコンの前で徹夜明けのせいやんが、目を血走らせながらキーボードを叩いている。
せいやん「完成や!婚活アプリ『お見合い100』のベータ版や!」
画面には派手なロゴと、「あなたの運命の相手をAIが診断!」という文字が。
せいやん「これで狩子さんとの相性を科学的に証明できるで!」
早速、自分と狩子のデータを入力し始める。
せいやん「名前、空野せいやん。年齢33歳。職業…起業家(予定)。年収…ゼロ(将来性あり)」
そして狩子のデータも入力。
せいやん「星野狩子。30歳。チェリスト。年収…推定500万」
AIの診断
計算ボタンをクリック。
画面にローディング画面が表示される。
せいやん「お願い、いい結果を…」
結果が表示された。
「相性:99%」
せいやん「やったわ!99%や!これは運命や!」
詳細を見ると、理由が書かれている。
「せいやんと狩子は名前の相性が抜群です。せいやんが狩子を照らし、狩子がせいやんを輝かせます」
せいやん「さすがAIや!深いわ!」
しかし、次の項目を見て顔が曇る。
「経済的相性:3%」
「現実的相性:1%」
「恋愛成就確率:0.01%」
せいやん「なんだこれは…バグか?」
鉄やんへの報告
星野家。
せいやんが興奮した様子でタブレットを見せる。
せいやん「お義父さん!見てください!99%です!」
鉄やん「だから義父じゃ…まあいい。何が99%だ?」
せいやん「狩子さんとの相性です!AIが計算しました!」
鉄やん「AIねえ…」
鉄やんはタブレットを見る。
鉄やん「経済的相性3%って書いてあるぞ」
せいやん「それは今だけです!将来性を入力したら上がるはず!」
鉄やん「将来性って、具体的に何だ?」
せいやん「このアプリが成功したら億万長者です!」
鉄やん「そのアプリで相性を測ってる時点で説得力がないな」
カフェでの実験
街のカフェ。
せいやんは狩子と逃男を呼び出していた。
せいやん「二人にも試してもらいたいんです!」
狩子「婚活アプリ?」
せいやん「はい!カップルの相性診断機能もあります!」
狩子と逃男は顔を見合わせる。
逃男「面白そうだね、やってみようか」
狩子「そうね」
二人のデータを入力するせいやん。
結果が出た。
「相性:45%」
逃男「45%?低くない?」
せいやん「あ、いや、これは…」
狩子「でも、私たちうまくいってるけど」
せいやん「AIにもミスはあります!」
せいやんは慌てて画面を操作する。
せいやん「ほら、僕と狩子さんは99%!」
逃男「99%?じゃあ付き合えばいいじゃない」
せいやん「そうですよね!」
狩子「でも現実は違うでしょう」
せいやん「現実?」
狩子が画面をスクロールする。
狩子「恋愛成就確率0.01%って書いてあるけど」
せいやん「それは…四捨五入したら0.1%です!」
逃男「それでも低いよ」
システムの暴走
せいやんは必死にプログラムを修正する。
せいやん「待ってください!パラメーターを調整すれば…」
しかし、触れば触るほど数値がおかしくなる。
「相性:150%」
「相性:-30%」
「相性:ERROR」
狩子「壊れちゃった?」
せいやん「大丈夫です!再起動すれば…」
再起動後、新しい診断結果が出た。
「せいやん様は狩子様と結ばれる運命です。今すぐプロポーズしてください」
逃男「これ、自分で書き換えたでしょ」
せいやん「AIが独自に学習した結果です!」
狩子「様って敬語になってるし」
街頭実験
せいやんは諦めずに、街で通行人にアプリを試してもらうことにした。
せいやん「無料で相性診断します!」
老夫婦が立ち止まった。
老婦人「あら、面白そうね」
老人「60年連れ添ってるが、どうかな」
診断結果:「相性12%」
老婦人「12%!?」
老人「60年も一緒にいて12%か」
せいやん「これは、その、アプリの不具合で…」
老夫婦は笑いながら去っていった。
老人「機械に愛はわからんよ」
次に若いカップルが来た。
診断結果:「相性95%」
しかし、その場で喧嘩を始めて別れてしまった。
せいやん「95%なのに…」
最後の診断
夕方、公園のベンチ。
せいやんは一人でタブレットを見つめている。
狩子が通りかかった。
狩子「まだやってるんですか」
せいやん「狩子さん…」
狩子「そのアプリ、一つ聞いていい?」
せいやん「何ですか?」
狩子「あなたと誰が一番相性いいって出るの?」
せいやんは試しに、データベースの全員と自分の相性を計算させた。
結果が出た。
「最高相性の相手:空野せいやん(100%)」
狩子「自分自身?」
せいやん「これは…」
狩子「つまり、一番相性がいいのは自分ってこと?」
せいやん「そんな…」
AIが追加メッセージを表示した。
「あなたは自分を愛することから始めてください」
せいやん「AIに人生相談された…」
逃男がやってきた。
逃男「何してるの?」
狩子「せいやんさんのAIが、せいやんさんに自分を愛せって」
逃男「それ、計算やなくて説教やないか!」
まとめ
AIで恋愛を科学しようって、せいやんの発想は面白いんやけど、結果が全然あかんやん。相性の数値がコロコロ変わって、最終的に「自分を愛せよ」ってAIに説教されるとは思わんかったわ。
オチが秀逸!AIに説教されるという予想外の展開に笑いました。
次回もせいやんの奇行に期待してます!


