【AI落語】キャッシュレス怖い(新作落語)
現代社会の進歩って本当にすごいですよね。政府が掲げていた2025年までにキャッシュレス決済普及率40%という目標を、実は昨年もう42.8%で達成してしまったんです。PayPayが5660万人のユーザーを抱える一方で、LINE Payは来年4月でサービス終了。まさに激動の時代です。
でも、便利になればなるほど、なんだか不安も増えていくのが人間の性というもの。2023年だけで54億円もの決済詐欺被害があったなんて聞くと、やっぱり怖くなってしまいます。特に年配の方は「現金が一番安全」という世代ですから、QRコード決済だのタッチ決済だのスマホ決済だの言われても、正直ピンとこないのが実情でしょう。
そんな現代のキャッシュレス社会への複雑な気持ちを、今回は古典落語の名作「まんじゅうこわい」の形式で描いてみました。果たして、本当に怖いのは一体何なのか…。自分なりに現代風にアレンジしてみましたが、落語らしい意外な結末になっているでしょうか。
まくら
先日、うちの母親の75歳の誕生日だったんです。三人兄弟が久しぶりに実家に集まってね。最近は2025年の大阪万博でも完全キャッシュレスになるって話で持ちきりですから、どうしてもその話題になっちゃうんですよ。
長男の俊介は銀行勤めで最新技術には詳しいし、次男の健太郎はIT関係で仕事してるから当然キャッシュレス派。で、三男の僕は…まあ、なんとなく現金派って感じでしょうか。
そんな三人がお母さんを囲んで、誕生日ケーキを前にして始まったのが、この話なんです。
あらすじ
兄弟の恐怖告白
母親「まあ、三人とも揃って。本当に嬉しいわ」
俊介「お母さん、誕生日おめでとう。で、実は今日、みんなで話したいことがあるんだ」
健太郎「そうそう。最近世の中がどんどんキャッシュレスになってるでしょ?僕らも正直、怖い部分があってさ」
母親「あら、怖いって何が?」
俊介「いやー、僕なんかは銀行にいるからよく分かるんだけど、キャッシュレス決済って本当に怖いんだよ」
健太郎「兄貴の言う通り。僕もIT関係だから余計に実感するけど、あんなもの、怖くて使えない」
三男「えー、二人ともそんなこと言うの?僕だってキャッシュレスなんて怖すぎて近づきたくもないよ」
母親「まあ、みんなそんなに怖がって。どうして?」
それぞれの恐怖の理由
俊介「だって考えてみなよ。スマホ一つに全財産を託すなんて、恐ろしいじゃないか。もしスマホを落としたら?壊れたら?」
健太郎「ハッキングされる危険性だってあるし、QRコードを偽装された詐欺なんて手口もどんどん巧妙になってる」
三男「タッチ決済なんて、知らない間に読み取られてお金盗まれちゃうかもしれないし」
俊介「それにシステム障害が起きたら一切使えないからね。現金なら絶対確実なのに」
健太郎「個人情報が全部筒抜けになるのも気持ち悪いよ。何をいつどこで買ったか、全部記録されるんだぜ」
三男「僕なんかQRコードを見ただけで手が震えてくるもん。あの白黒の四角いやつ、まるで呪文みたいで」
母親「みんな、そんなに怖がらなくても…」
俊介「お母さんは分からないよ。キャッシュレスの恐ろしさを知らないから」
健太郎「そうそう。現金が一番安全で確実なんだから」
三男「現金こそ正義だよね」
母親の意外な一言
母親「あらあら、三人ともそんなに怖がって。でもね…」
俊介「でも、なに?」
母親「実は私、もう半年前からPayPay使ってるのよ」
三人「ええええええ!!!」
健太郎「お、お母さん、まさか…」
母親「近所のスーパーの店員さんが親切に教えてくれてね。QRコードをピッとやるだけで簡単だし、ポイントも貯まるからお得だって」
俊介「そ、そんな…お母さんが…」
母親「タッチ決済も覚えたの。スマホをかざすだけで、本当に便利よ。おかげで小銭を数える手間もなくなったし」
三男「ぼ、僕たちより先に…」
母親「あら、でも三人は怖いって言うから、やっぱり危険なのかしら?だったら今日から現金に戻そうかしら」
俊介「あ、いや、それは…」
健太郎「ちょっと待って…」
三男「そ、その…」
本音の露呈
俊介「正直に言うとね、お母さん。キャッシュレス決済、めちゃくちゃ便利で手放せないんだ」
健太郎「僕もPayPayもタッチ決済も毎日使ってる。現金持ち歩くの面倒くさくて」
三男「実は僕、QRコード決済のマスターなんだ。PayPay、楽天ペイ、d払い、全部使いこなしてる」
母親「あら、じゃあ怖いって言ってたのは?」
俊介「それは…つまり…」
健太郎「お母さんがキャッシュレスを始めちゃうと…」
三男「今度の食事代とか、お小遣いとか…」
母親「ああ、なるほど」
俊介「今まではお母さん、現金しか使えないから、僕たちがいつもクレジットカードで支払ってたでしょ?」
健太郎「お母さんが自分で決済できるようになっちゃうと…」
三男「僕たちが格好つける機会が…」
母親「それが一番怖かったのね」(にっこり笑って)「大丈夫よ、今日のケーキ代、私がPayPayで払ってあげる」
まとめ
いかがでしたでしょうか。現代のキャッシュレス社会を「まんじゅうこわい」の形式で描いてみました。
確かにキャッシュレス決済には不安な面もありますが、結局のところ一番怖いのは、お母さんに先を越されて息子たちの立場がなくなることだったという、なんとも現代らしいオチになりました。2025年の大阪万博では完全キャッシュレスになるそうですから、もう避けては通れない時代なのかもしれませんね。
でも実際、PayPayの5660万人というユーザー数を見ると、もうかなりの方が使ってらっしゃるんでしょうね。僕自身も最初は不安でしたが、今では現金を持ち歩くことの方が不安になってしまいました。
時代の流れとは不思議なもので、親世代の方が新しい技術に順応が早かったりすることもあるんですね。息子としては、ちょっと複雑な気持ちです。
他の落語も楽しんでいただけると嬉しいです。現代社会の様々な「怖い」を、これからも落語の形で表現していきたいと思います。


