【AI落語】AI怖い(新作落語)
最近、AI技術の話題が連日ニュースに上がりますが、皆さんはどう感じていらっしゃいますか?
今回は古典の「まんじゅうこわい」の構造を借りて、現代のAI恐怖症をテーマにした落語を作ってみました。町内会の防犯会議という、いかにも現代的な設定で繰り広げられる人間模様です。
まあ、AIについて調べれば調べるほど、確かになんとなく怖いような気もしてきますが…果たして今回のオチはうまく決まりますでしょうか。
まくら
町内会の会議って、参加したことありますか?
最近は防犯対策が重要視されて、夜間パトロールだの防犯カメラだの、物騒な話題が多いんです。そんな中で「怖いもの」の話になったりすると、みんな思い思いの恐怖体験を語り出すもんでして。
そんな町内会で起こった、ちょっと変わった出来事を聞いてもらいましょう。
あらすじ
町内会の防犯会議
春の夜、地域のコミュニティセンターで開かれている町内会の防犯会議。
参加者は田中、佐藤、鈴木、山田の四人。防犯対策の話が一段落したところで、何となく怖い話になっていた。
蛍光灯がほんのり暖かい会議室で、お茶を飲みながらの和やかな雰囲気だった。
田中「最近は物騒な事件が多いから、みんなで怖いもんでも話して、防犯意識を高めましょうか」
佐藤「ええですね。ほな私から。私は泥棒が一番怖いです」
鈴木「それは分かります。夜中に物音がしたら、もう心臓が止まりそうになりますもん」
佐藤「そうでしょう?この前も隣の家で空き巣があって、もう眠れませんでした」
鈴木「私は詐欺が怖いですね。特にオレオレ詐欺とか」
田中「最近は手口が巧妙ですからね」
鈴木「息子を名乗って電話してくるなんて、考えただけでも恐ろしいです」
佐藤「山田さんは何が怖いですか?」
山田「僕は火事ですね。近所で火災があると、もうどうしていいか分からなくなります」
田中「確かに怖いですね。延焼したら大変ですし」
山田「煙の匂いがするだけで、もう不安になってしまいます」
三人の視線が田中に向かう。
田中の告白
佐藤「田中さんは何が怖いんですか?」
田中は少し困ったような顔をしてから、真剣な表情で答えた。
田中「私は…その…AIが怖いんです」
一瞬、会議室に静寂が流れる。空調の音だけがかすかに響いている。
鈴木「え?AIって…あの人工知能のAI?」
田中「そうです。ChatGPTとか、あの手の技術です」
山田「でも田中さん、AIって便利なものじゃないですか?」
田中「いえいえ、なんとなくこわいんですよ。シンギュラリティ2045とか聞くと、もう夜も眠れません」
佐藤「でも日本のAI使用率って、たしか26.7%で世界的には低い方じゃありませんでしたっけ?」
田中「そうかもしれませんが、それでも怖いものは怖いんです」
みんなの反応
鈴木「田中さん、それはちょっと時代遅れじゃないですか?」
山田「そうですよ。AIは我々の生活を豊かにしてくれる技術ですよ」
田中「でも、人間の仕事を奪ったり、悪用されたりするって話もあるじゃないですか」
佐藤「確かにそういう面もありますが、それより泥棒や詐欺の方が現実的な脅威でしょう」
山田「AI恐怖症なんて、ちょっと神経質すぎませんか?」
鈴木「そんなこと言ってたら、これからの時代についていけませんよ」
田中「皆さんにはわからないでしょうけど、本当に怖いんです」
みんなが帰る
佐藤「もう遅いし、今日はこの辺で帰りましょうか」
鈴木「AI恐怖症の人と防犯会議してても、話が噛み合いませんし」
山田「田中さん、もう少し現実的な恐怖心を持った方がいいですよ」
三人は呆れたような顔をして、会議室から出て行ってしまった。
一人残された田中は、周りを見回してから、そっとスマートフォンを取り出した。
田中の秘密
田中「はい、田中です。お疲れ様でした」
田中は嬉しそうに続ける。
田中「ええ、今日も予定通りうまくいきました。皆さん、帰られました」
電話の向こうの相手と何やら相談している。
田中「はい、それでは明日のAIコンサルティング業務の件ですが…」
田中「ChatGPT研修の資料も完成しましたし、生成AI活用セミナーの準備も万端です」
電話を切った田中は、満足そうに椅子に座り直した。
田中「ふふふ、毎回この手で早く帰れるんだから、AI様々だな」
バレる瞬間
そこへ、忘れ物を取りに戻ってきた佐藤が会議室のドアを開ける。
佐藤「田中さん、傘を忘れて…って、何の電話でした?」
テーブルの上には、AIの技術書や研修資料が山のように並んでいる。田中は慌てたような顔をした。
田中「あ、あかん…見られてしもた」
佐藤「AIが怖いんじゃなかったんですか!その資料は何ですか!」
田中「これは…AI恐怖症を克服するための勉強用資料や!少しずつ慣れるために読んでるだけや!」
まとめ
今回は町内会という身近な設定で、現代的なAI恐怖症をテーマにしてみました。
実際にAIの使用率や技術的な話も盛り込んでみましたが、やはり「まんじゅうこわい」の構造は何にでも応用が利く優秀な古典ですね。
田中さんのAIコンサルタントという裏の顔も、現代らしい設定で面白く仕上がったでしょうか。「勉強用資料」という言い訳も、なかなか苦しい感じが出ていたと思います。
自己採点としては70点といったところでしょうか。他の落語もぜひ読んでみてくださいね。


