【AI落語】寿限無〜和菓子編〜(新作落語)
和菓子の世界って奥が深いですよね。練り切り、羊羹、最中にどら焼き…職人さんの技術と季節感が織りなす美しい世界です。
そんな和菓子をテーマに、今回は古典落語の名作「寿限無」をアレンジした新作落語を作ってみました。長い名前といえば寿限無ですが、和菓子の銘もなかなか風雅で長いものが多いんですよね。果たしてどんな展開になるのか…自分でも予想がつきません。
まくら
最近、和菓子屋さんに行く機会が増えましてね。季節ごとに変わる上生菓子の美しさに、すっかり魅了されております。
春は桜餅に柏餅、夏は水羊羹に葛きり、秋は栗きんとんにもみじ饅頭、冬は花びら餅に椿餅…四季折々の風情を一口に込める職人さんの技というのは、本当に素晴らしいものです。
ただ、困るのがその銘の長さでして。「春霞に舞い散る山桜の花びらを模した練り切り製上用饅頭」なんて言われても、覚えられませんよね。
そんな和菓子の世界で起こった、ちょっと変わったお話をひとつ…
あらすじ
和菓子職人と弟子の出会い
江戸は浅草、老舗和菓子店「甘楽堂」の話でございます。
この店の主人、甘楽師匠は腕利きの和菓子職人として名を馳せておりました。ある日、一人の若者が弟子入りを志願してまいります。
甘楽師匠「ほう、和菓子職人になりたいと。なかなか根気のいる仕事じゃが、覚悟はあるかの?」
若者「はい、師匠!どんなに厳しい修行でも耐え抜く覚悟でございます!」
甘楽師匠「よし、それでは今日から弟子として迎え入れよう。ところで、お前の名前は何というのじゃ?」
若者「はい、私の名前は…」
長すぎる名前の披露
若者「私の名前は、春の桜練り切り夏の涼風水羊羹秋の紅葉もみじ饅頭冬の雪見大福四季を通じて愛される上品な甘さの小倉餡白餡こし餡粒餡黄身餡抹茶餡胡麻餡栗餡芋餡桜餡柚子餡梅餡柿餡いちご餡ずんだ餡最中の皮どら焼きの皮カステラ生地求肥餅米粉寒天葛粉片栗粉上新粉白玉粉もち米きな粉黒蜜蜂蜜水飴砂糖和三盆糖氷砂糖と申します」
甘楽師匠「…は?」
弟子「春の桜練り切り夏の涼風水羊羹秋の紅葉もみじ饅頭冬の雪見大福四季を通じて愛される上品な甘さの小倉餡白餡こし餡粒餡黄身餡抹茶餡胡麻餡栗餡芋餡桜餡柚子餡梅餡柿餡いちご餡ずんだ餡最中の皮どら焼きの皮カステラ生地求肥餅米粉寒天葛粉片栗粉上新粉白玉粉もち米きな粉黒蜜蜂蜜水飴砂糖和三盆糖氷砂糖です」
甘楽師匠「そんな長い名前、覚えられるかい!短く縮めて呼ばせてもらうぞ。餡太郎でどうじゃ?」
餡太郎「はい、師匠!」
和菓子作りの修行
こうして餡太郎の修行が始まりました。朝は早くから餡炊き、昼は練り切りの成形、夕方は饅頭の包み…毎日が修行の連続です。
甘楽師匠「餡太郎、今日は上生菓子の練り切りを教えるぞ。まず餡を丸めて…」
餡太郎「はい、師匠!」
師匠の手つきは実に見事なもので、白餡が瞬く間に美しい桜の花に変わってまいります。
甘楽師匠「ほれ、こうやって箸で筋を入れて花びらを表現するのじゃ。お前もやってみろ」
餡太郎「はい!」
ところが餡太郎、不器用なもので、なかなか形になりません。白餡はべたべた手につくし、箸で筋を入れようとすると崩れてしまう。
甘楽師匠「まだまだじゃな。まあ、練習あるのみじゃ」
一年後の成長
一年が過ぎ、餡太郎もだいぶ上達してまいりました。練り切りも美しく作れるようになり、お客様からもお褒めの言葉をいただくようになります。
ある日のこと、常連のお客様が慌てて店に飛び込んでまいりました。
お客「大変だ!うちの子が池に落ちた!」
甘楽師匠「なんと!餡太郎、すぐに助けに行け!」
餡太郎「はい、師匠!」
餡太郎は店を飛び出し、池のほとりへ向かいます。すると確かに子供が池でもがいております。
餡太郎「大丈夫か!今助けるぞ!」
そう言って池に飛び込み、子供を抱えて岸に上がります。
時間の経過と意外な展開
甘楽師匠「おお、よくやった餡太郎!ところで、溺れていた子の名前は何というのじゃ?」
子供「ぼくの名前は…」
子供「春の桜練り切り夏の涼風水羊羹秋の紅葉もみじ饅頭冬の雪見大福四季を通じて愛される上品な甘さの小倉餡白餡こし餡粒餡黄身餡抹茶餡胡麻餡栗餡芋餡桜餡柚子餡梅餡柿餡いちご餡ずんだ餡最中の皮どら焼きの皮カステラ生地求肥餅米粉寒天葛粉片栗粉上新粉白玉粉もち米きな粉黒蜜蜂蜜水飴砂糖和三盆糖氷砂糖です」
甘楽師匠「なんと、餡太郎と同じ名前じゃないか!」
お客「実は、この子は餡太郎さんの弟なんです」
甘楽師匠「弟?」
お客「はい、兄弟そろって同じ長い名前をつけられたんです。兄の餡太郎さんがこちらで修行していると聞いて、弟も会いたがっていたんですが…」
甘楽師匠「それで池に落ちたのか?」
お客「いえ、実は…弟の方は泳ぎが得意で、池で泳いで遊んでいただけなんです」
甘楽師匠「え?」
子供「お兄ちゃん、僕は別に溺れてなかったよ。気持ちよく泳いでたのに、いきなり助けられちゃった」
餡太郎「…そ、そうだったのか」
甘楽師匠「つまり、長い名前を聞いている間に、溺れていない子を助けたということか?」
お客「はい、でも兄弟の再会ができて良かったです」
甘楽師匠「まあ、結果オーライじゃな。ところで餡太郎、お前は一体何分間池の中にいたんじゃ?」
餡太郎「師匠、弟の名前を最後まで聞いていたら、日が暮れてしまいました」
まとめ
いかがでしたでしょうか。古典落語「寿限無」の和菓子版、なかなか甘い仕上がりになったのではないでしょうか。
長い名前を言っている間の時間経過というのは、落語の定番中の定番ですが、和菓子の材料や製法を盛り込むことで、また違った味わいが出せたかなと思います。オチも古典らしく、時間の経過がもたらす意外な展開にしてみました。
和菓子の世界も奥が深く、職人さんの技術や季節感など、落語のネタにするには格好の素材ですね。今回は自分なりに70点くらいの出来かなと思います。もう少し和菓子の専門用語を増やしても良かったかもしれません。
他にも様々なテーマで寿限無バリエーションを作っておりますので、ぜひそちらもご覧ください。きっとお気に入りの一編が見つかるはずです。


