【AI落語】買い物こわい(新作落語)
買い物が嫌いという人、たまにいますよね。特に男性には多いかもしれません。店員さんとの会話が苦手だとか、値段交渉が面倒だとか、理由は様々です。
でも中には、変わった理由で買い物を避ける人もいるようで。今回は、そんな買い物嫌いを公言する男の話を作ってみました。
まくら
江戸時代の商店街は、現代のデパートのように賑やかだったそうです。魚屋、八百屋、呉服屋、薬屋と、様々な店が軒を連ねて、客引きの声が飛び交っていました。
「安いよ、安いよ」「新鮮だよ」「今日だけだよ」なんて声が聞こえてきて、それだけでも楽しい雰囲気だったでしょうね。
ただし、中にはその賑やかさが苦手という人もいたようで…
あらすじ
買い物の相談
ある初夏の日、長屋の連中が集まって、近所の商店街の話をしていた。
兎吉「今度の祭りで、新しい浴衣を買いたいんだが、どこの呉服屋がいいかな?」
狐次「角の店がいいぞ。品揃えも良くて、値段も手頃だ」
狸蔵「俺は魚屋で美味い魚を見つけたぜ。今度みんなで買い物に行かねえか?」
兎吉「いいねえ。商店街をぶらぶらするのも楽しいもんな」
そこへ、青い顔をした猪公がやってきた。
狐次「おう、猪公。いいところに来た。今度みんなで商店街に買い物に行くんだが、一緒に来ないか?」
猪公「え?買い物?」
猪公の顔がさらに青ざめる。
猪公「と、とんでもねえ!俺は買い物が大の苦手なんだ」
狸蔵「買い物が苦手?なんでだよ?」
猪公「あの店の人たちの呼び込みの声を聞くと、もうだめなんだ。『いらっしゃい』『安いよ』って声が頭の中でグルグル回って、めまいがしてくる」
猪公は大げさに頭を抱える。
猪公「それに、あの値段の札を見ると、数字が踊って見えるんだ。考えただけでも足がすくむ。買い物ほど恐ろしいものはねえよ」
兎吉「そんなに嫌なのか?」
猪公「ああ、商店街なんて絶対に近づかねえ。今日はもう帰らせてもらうぜ」
猪公は慌てたように逃げるように帰っていった。
仲間たちの作戦
狐次「あいつ、本当に買い物が嫌いなんだな」
狸蔵「人込みが苦手なのかもしれねえ」
兎吉「よし、猪公をからかってやろうじゃねえか」
狐次「どうやって?」
兎吉「簡単さ。商店街の店主たちに頼んで、猪公の家の前で商売をやってもらうんだ」
狸蔵「面白そうだな。きっと猪公は腰を抜かすぜ」
狐次「でも、店主たちが協力してくれるかな?」
兎吉「大丈夫さ。面白半分で乗ってくれるよ」
三人は早速、商店街の各店に相談に行った。
店主たちの協力
八百屋の主人「なるほど、面白いことを考えるねえ。猪公をびっくりさせるのか」
魚屋の主人「俺も参加するよ。久しぶりに出張販売だ」
呉服屋の主人「これは面白い。みんなで猪公の家の前に出店しよう」
商店街の店主たちは、この企画に大乗り気で、翌朝早くから猪公の家の前に集合することになった。
出張商店街の開店
翌朝、猪公の家の前は、まるで小さな商店街のような賑わいになった。
八百屋の主人「いらっしゃい、いらっしゃい!新鮮な野菜だよ!」
魚屋の主人「魚、魚!今朝獲れたばかりの新鮮な魚だよ!」
呉服屋の主人「浴衣、浴衣!祭りにぴったりの浴衣だよ!」
賑やかな呼び込みの声が響く中、猪公が部屋から飛び出してきた。
猪公「うわあああああ!」
兎吉「どうだ、猪公!商店街の出張販売だぞ!」
狐次「これでも嫌いか?」
狸蔵「参ったか?」
ところが、猪公の目つきが急に変わった。
猪公「ちょっと待てよ、その野菜、値段が高すぎるじゃねえか」
八百屋の主人「え?」
猪公「魚だって、この大きさでその値段は法外だぞ」
魚屋の主人「そ、そんなことは…」
猪公「浴衣も、この生地でその値段はぼったくりだ。相場の倍はしてる」
猪公は次々と店主たちの値段に文句をつけ始めた。そして、見事な交渉術で全ての商品を相場の半値で買い取ってしまった。
兎吉「え?」
狐次「安く買ってる…」
狸蔵「商売上手じゃねえか」
買い物が終わると、猪公は満足そうにニンマリした。
猪公「実は俺、買い物が大好きでたまらねえんだ。でも、みんなと一緒に行くと、俺の値切りテクニックがバレちまう。だから一人でこっそり買い物してるんだよ」
まとめ
買い物恐怖症を装った猪公の正体は、実は凄腕のバーゲンハンターだったという展開でした。「買い物が怖い」のではなく「値切りの腕前がバレるのが怖い」というのは、なかなか面白い理由ですね。
確かに、あまりに上手に値切る人と一緒に買い物に行くのは、店主にとっても、仲間にとっても気まずいものがあります。猪公の気持ちも分からなくはありません。
結果的に商店街の皆さんは猪公の腕前を知ることになりましたが、これからは彼に商品の相場を教えてもらえそうですね。


