【AI落語】コーヒーこわい(新作落語)
神戸といえば、珈琲の街として有名ですよね。
明治時代から港町として栄えた神戸では、外国文化とともにコーヒー文化も根付いて、今でも老舗の喫茶店がたくさんあります。そんな神戸のカフェを舞台にした「まんじゅうこわい」の現代版です。
コーヒーを愛する街で、コーヒーを怖がる人がいたら…そんな話をお聞きください。
まくら
神戸の喫茶店って、独特の雰囲気がありますよね。
重厚な木のカウンターに、年季の入ったサイフォン、マスターが丁寧に淹れる一杯一杯に込められた愛情。港町らしいハイカラな空気と、関西人らしい親しみやすさが混ざり合った、なんとも言えない居心地の良さがあります。
そんな神戸のカフェでの出来事を、ちょっと聞いてもらいましょう。
あらすじ
神戸の老舗カフェで
神戸・元町にある創業50年の老舗カフェ「珈琲館マドンナ」。
夕方の休憩時間、店の奥でマスター、佐々木、田村、谷口の4人が、それぞれコーヒーカップを手にしながら雑談している。
窓の外には神戸の港が見え、夕陽がガラス窓を赤く染めている。
佐々木「今日もええ天気やったなあ。でも暑くて、お客さんもアイスコーヒーばっかりや」
田村「そやなあ。ホットコーヒーの注文が少ないと、なんか寂しいわ」
谷口「ところで、夏やし怖い話でもして涼しくなろか」
マスター「ええやん。みんな、一番怖いもんは何や?」
それぞれの恐怖
佐々木「俺はゴキブリが一番あかん。この前も厨房で遭遇して、殺虫剤片手に追いかけ回したわ」
田村「分かる分かる。あいつら動きが予測でけへんからなあ」
佐々木「そやろ? 夜中に電気つけた瞬間、カサカサ逃げていくのを見るとゾッとするわ」
田村「俺は客からのクレームが怖いねん。理不尽なこと言われても頭下げなあかん」
谷口「それは接客業の宿命やなあ」
田村「この前も、ブレンドコーヒーなのに『豆の産地を全部教えろ』って言われてなあ」
谷口「俺は火事が一番怖いわ。厨房で働いてるとなおさらや」
マスター「それは分かるなあ。火の取り扱いは慎重にせなあかん」
谷口「そやねん。夜中でもガスの元栓が気になって、確認しに戻ったりするわ」
三人の視線がマスターに向かう。
マスターの告白
佐々木「マスター、あんたは何が怖いん?」
マスターは少し考えるような仕草を見せてから、真剣な顔で答えた。
マスター「俺は…コーヒーが怖いねん」
一瞬、店の奥に静寂が流れる。外から聞こえる港の汽笛の音だけが響いている。
田村「は? コーヒーって…うちの看板商品のこと?」
マスター「そや。あの黒い液体が、カップに注がれてるやつや」
谷口「ちょっと待てや。珈琲館のマスターがコーヒー怖いって、それおかしいやろ」
マスター「いや、でもほら、あの湯気とか、匂いとか…なんかゾワゾワするねん」
佐々木「アホか。50年間コーヒー淹れ続けてきたやないか」
みんなの呆れと退場
田村「もう無理や。コーヒーが怖いマスターなんて、信用でけへん」
谷口「俺も帰るわ。そんなマスターの店で働いてるなんて、恥ずかしくて人に言えへん」
佐々木「マスター、病院行って診てもらいや。それは絶対おかしいで」
三人は呆れたような顔をして、エプロンを外しながら店の奥から出て行った。
一人残されたマスターは、周りを見回してから、そっと携帯電話を取り出した。
マスターの本音
マスター「もしもし、問屋の兄ちゃんか? 今日も成功したで」
マスターは満足そうに続ける。
マスター「そやそや、みんな帰ったわ。例のやつを持ってきてくれるか?」
電話の向こうの業者と何やら相談している。
マスター「ブルーマウンテンの特級豆、それからコナコーヒーも頼むわ」
マスター「あ、ゲイシャの豆もあったら持ってきてや。今日は贅沢したい気分やねん」
電話を切ったマスターは、嬉しそうに椅子に座り直した。
マスター「ふふふ、毎回この手に引っかかりよって。これで今夜も一人で極上の珈琲が楽しめるわ」
配達到着
30分後、店の裏口がノックされる。
業者「珈琲豆の配達でーす」
マスター「おおきに、待ってました」
入ってきたのは、高級珈琲豆専門店の配達員だった。手には大きな麻袋を持っている。
配達員「ブルーマウンテンNo.1、ハワイコナ、ゲイシャ種、合計5キロになります」
マスターの目がキラキラと輝く。
マスター「完璧や! これで今夜も至福の時間や」
配達員「毎度おおきに。新鮮なうちにお楽しみください」
配達員が去った後、マスターは豆の袋を開けて、香りを深く吸い込みながらつぶやいた。
マスター「ああ、やっぱりコーヒーは最高やなあ。50年やってても飽きへん」
そこへ、財布を忘れて取りに戻ってきた佐々木が店の奥に入ってくる。
佐々木「マスター、財布忘れて…って、なんやそれ!」
テーブルの上には、高級珈琲豆の袋が山のように並んでいる。マスターは豆を手に取りながら、慌てたような顔をした。
マスター「あ、あかん…バレてもうた」
佐々木「コーヒーが怖いんちゃうかったんかい!」
マスター「これは…克服訓練や! 怖さに慣れるために、ちょっとずつ試してるねん!」
まとめ
神戸の老舗カフェを舞台にした今回の作品、いかがでしたでしょうか。
コーヒーの街・神戸で、マスターがコーヒーを怖がるという設定は、相当無理がある話でしたが、それがまた落語らしい面白さを生んでくれたと思います。
「克服訓練」という言い訳も、50年のキャリアを持つマスターらしい、なかなか苦しい弁解でした。実際に5キロもの高級珈琲豆を一人で消費するのは、さすがのマスターでも大変でしょうが、そこは落語の世界ということで。
神戸の港町らしい雰囲気と、コーヒーへの深い愛情を込めて書かせていただきました。


