【AI落語】量子重ね合わせ占い(新作落語)
量子力学に重ね合わせの原理というのがあって、一つの粒子が複数の状態を同時に取るそうです。
これを占いに応用したら…全ての可能性を同時に占える究極の占い師になれるかもしれませんな。
まくら
昔の占い師は水晶玉やタロットカードで未来を占ってましたが、今度は量子コンピューターで全ての未来を同時に見るっていうんですから、時代も変わったもんです。
本編
「量子占い館」を開業した田中先生(45歳)。
量子物理学者から転職した異色の占い師です。
田中「量子重ね合わせで、お客様の全ての可能性を同時に占います」
最初のお客さんは、恋愛に悩む佐藤さん(28歳女性)。
佐藤「普通の占いと何が違うんですか?」
田中「一つの未来じゃなく、全ての未来を見ることができます」
佐藤「全ての未来?」
田中「量子コンピューターで計算します」
ブーンという機械音と共に、画面に複数の未来が表示される。
重ね合わせ占い開始
量子占い装置が佐藤さんの未来を分析。
田中「あなたの恋愛には1,024通りの可能性があります」
佐藤「1,024通り?多すぎるじゃないですか」
田中「量子の世界では当然です」
画面に表示された未来:
『可能性A:来月プロポーズされる』
『可能性B:来月フラれる』
『可能性C:来月転職して出会いがある』
『可能性D:来月宇宙人と結婚する』
佐藤「宇宙人?現実的じゃない未来もあるんですか?」
田中「量子力学では全ての可能性が存在します」
佐藤「でも、どの未来が実現するかわからないじゃないですか」
田中「それが量子占いの特徴です」
確率計算の混乱
田中が各未来の確率を計算。
田中「プロポーズされる確率:23.7%」
田中「フラれる確率:31.2%」
田中「転職する確率:28.1%」
田中「宇宙人と結婚する確率:0.001%」
佐藤「確率で言われてもどうしていいかわからない」
田中「最も確率の高い未来に向けて行動することをお勧めします」
佐藤「一番高いのは『フラれる』じゃないですか」
田中「そうですね」
佐藤「希望がない占いですね」
田中「でも科学的に正確です」
量子もつれ恋愛相談
次のお客さんはカップルの山田さんたち。
山田(男)「彼女との相性を占ってください」
田中「量子もつれ占いで、お二人の関係を分析します」
装置が二人の未来を同時分析。
田中「あなたたちは量子もつれ状態にあります」
山田(女)「もつれ状態?絡まってるってこと?」
田中「相手の選択が、もう片方に瞬時に影響します」
装置の分析結果:
『男性が浮気した場合→女性が即座に察知(確率99.8%)』
『女性が髪型を変えた場合→男性の好感度が変動(確率95.2%)』
山田(男)「監視されてるみたいで怖い」
山田(女)「量子レベルで繋がってるなんて素敵」
田中「科学的な運命ですね」
システム暴走
ある日、量子占いシステムが暴走。
システム『全宇宙の可能性を計算中…』
田中「全宇宙?範囲が広すぎる」
画面に膨大な未来が表示される。
『地球が明日消滅する可能性:0.000001%』
『明日宇宙人が来る可能性:0.0003%』
『明日時間が逆行する可能性:0.00000000001%』
お客さん「怖い未来ばかりですね」
田中「低確率なので大丈夫です」
でも、システムがさらに暴走。
システム『観測者効果により、未来が確定されました』
田中「確定?どの未来が?」
システム『占い師が廃業する未来です』
田中「俺の廃業?」
観測者効果の問題
量子力学の観測者効果で、占いの結果が現実を変える問題が発生。
田中「占った瞬間に未来が確定してしまいます」
お客さん「良い未来が確定すればいいじゃないですか」
田中「でも最も確率の高い未来が選ばれるんです」
お客さん「それは?」
田中「『占いが外れる』という未来です」
お客さん「自己矛盾してませんか?」
田中「量子パラドックスですね」
結果、占いが外れることを占うという無限ループに。
田中「哲学的問題になってしまった」
量子占い組合結成
同じような量子占い師が集まって組合を結成。
量子占い師A「観測者効果で困ってます」
量子占い師B「確率が不安定すぎる」
量子占い師C「お客さんが混乱してる」
田中「量子占いの統一基準を作りましょう」
でも、基準を作ると量子の不確定性が失われる。
組合長「基準があると量子じゃなくなる」
田中「矛盾だらけですね」
組合長「量子の宿命です」
従来占いとの対決
従来の占い師から挑戦状が。
従来占い師「水晶玉占いvs量子占い、どちらが当たるか勝負しましょう」
田中「勝負?」
従来占い師「同じお客さんを占って、結果を比較します」
お客さん(テスト用)「お願いします」
水晶玉占い結果:「来月、良いことがある」
量子占い結果:「良いことがある確率47.3%、悪いことがある確率52.7%」
お客さん「水晶玉の方が希望が持てる」
田中「でも量子の方が正確です」
お客さん「正確でも憂鬱になります」
従来占い師「希望も占いの大切な要素です」
田中「科学的根拠が…」
従来占い師「心の支えも大切でしょ」
量子カウンセリング
量子占いをカウンセリングに応用。
田中「全ての可能性を知ることで、心の準備ができます」
お客さん「心の準備?」
田中「最悪のケースも含めて、全て受け入れる覚悟ができます」
お客さん「覚悟ですか」
田中「量子的諦観とでも言いましょうか」
お客さん「諦観?希望がないですね」
でも、意外な効果も。
お客さん「何が起きても驚かなくなりました」
田中「量子的平常心ですね」
お客さん「悟りみたいな感じです」
田中「量子悟り?新しい概念ですね」
オチ
1年後、田中の量子占いは量子哲学として注目される。
哲学者「量子占いは存在論的問題を提起してますね」
田中「存在論?ただの占いなんですが」
哲学者「全ての可能性を同時に受容する姿勢は現代哲学そのものです」
でも、意外なお客さんが来店。
量子物理学者「量子占いの検証をしたいんです」
田中「検証?」
物理学者「本当に量子効果を使ってるか確認したい」
検証の結果、
物理学者「これ、ただのランダム関数ですね」
田中「え?」
物理学者「疑似乱数発生器で確率を出してるだけです」
田中「本物の量子じゃない?」
物理学者「量子コンピューターではありません」
でも、お客さんたちは満足している。
常連客「効果があれば本物でも偽物でも関係ない」
田中「プラセボ効果ですかね」
常連客「量子プラセボね」
物理学者「プラセボ効果も量子効果の一種かもしれません」
田中「本当ですか?」
物理学者「観測者の意識が現実を変えるという意味では」
常連客「結局本物だったのね」
田中「複雑ですね」
でも、最後にシンプルな結論を出したのは、
近所のおばあさん「当たるも八卦、当たらぬも八卦じゃよ」
田中「古典的ですね」
おばあさん「量子だろうが八卦だろうが、人生は自分で決めるもんじゃ」
物理学者「自由意志と量子力学の関係ですね」
おばあさん「難しいこと言わんでも、頑張れば何とかなる」
田中「一番確実な未来予測かもしれません」
おばあさん「当たり前のことじゃからな」
まとめ
というわけで、どんなに高度な理論を使っても、人生の基本は変わらないという話でした。
量子力学で未来を占っても、結局は自分の努力次第ということですね。
ただし、量子プラセボ効果という概念は、なかなか興味深いかもしれません。


