【AI落語】量子もつれ夫婦(新作落語)
量子物理学に量子もつれという現象があって、一方の粒子に変化が起きると、もう一方の粒子も瞬時に影響を受けるそうです。
これがもし人間にも起きたら…特に夫婦の間で起きたらどうなるでしょうか。
まくら
昔から「夫婦は一心同体」なんて言いますが、量子物理学的に本当に一体化してしまったら、それはそれで大変かもしれませんな。
本編
物理学研究所で働く田中博士(40歳)と、妻で同じく研究者の佐藤博士(38歳)。
量子もつれ実験中に、思わぬアクシデントが発生しました。
田中「量子もつれ装置のスイッチを入れます」
佐藤「安全確認OK」
ピピピピ
突然、装置が暴走して、夫婦に量子ビームが照射される。
田中「うわあ!」
佐藤「きゃあ!」
バチバチバチ
同僚「大丈夫ですか?」
田中「なんともない…みたい」
佐藤「私も平気」
異変の始まり
翌日から、奇妙な現象が始まる。
田中がコーヒーを飲みたいと思うと、
佐藤「あ、コーヒー淹れよう」
田中「え?なんで?」
佐藤「なんとなく…コーヒーが飲みたくなって」
お昼に、田中がカレーを食べていると、
佐藤「なんかカレーの味がする」
佐藤「私、サラダしか食べてないのに」
田中「不思議だな…」
感情の同期
だんだん感情まで同期し始める。
田中がテレビで悲しい映画を見ていると、
別の部屋にいる佐藤が突然泣き出す。
佐藤「なんで泣いてるの?私…」
田中「俺、映画見て泣いてた」
佐藤「感情が伝わってるの?」
今度は佐藤がお笑い番組を見ると、
研究室にいる田中が突然大笑い。
同僚「田中博士、なんで笑ってるんですか?」
田中「わからない…なんか面白い気分になって」
同僚「変ですね」
物理現象の確認
夫婦で実験してみることに。
田中「10キロ離れたところから、僕が右手を上げるから、感じるか試してみよう」
佐藤「わかった」
10キロ離れて実験開始。
田中が右手を上げた瞬間、
佐藤「右手が勝手に上がった!」
田中「量子もつれだ!」
今度は佐藤が左足を動かすと、
田中「左足が勝手に動いた!」
佐藤「完全に同期してる」
同僚たち「世紀の発見だ!」
日常生活の混乱
量子もつれ夫婦の日常生活は大混乱。
田中が会社でプレゼンをしていると、
家にいる佐藤が同じ内容を喋り始める。
佐藤「売上向上のためには…って、私なんで経営の話してるの?」
近所の奥さん「佐藤さん、経営コンサルでも始めたの?」
佐藤「違います…夫の同期現象です」
近所の奥さん「同期現象?」
食事の問題
食事の同期も深刻な問題。
田中が激辛カレーを食べると、
佐藤「辛い!辛い!水!水!」
佐藤「私、白米しか食べてないのに」
逆に、佐藤が甘いケーキを食べると、
会議中の田中が甘い顔になる。
部長「田中、なんでにやにやしてるんだ?」
田中「す、すみません。妻がケーキを食べてるようです」
部長「意味がわからん」
夫婦喧嘩も同期
夫婦喧嘩も量子レベルで同期。
田中「君はいつも…」
と怒り始めると、佐藤も同じ感情になって、
佐藤「あなたこそいつも…」
でも、同じ怒りを感じているので、相手の気持ちがわかってしまう。
田中「あ、君の怒りの気持ちがわかる」
佐藤「私も、あなたのイライラがわかる」
結果、喧嘩にならない。
田中「共感しすぎて喧嘩できない」
佐藤「量子和解ね」
プライバシーの問題
プライバシーも大問題。
田中「一人の時間が欲しい」
佐藤「でも常に繋がってるから無理よね」
田中が内緒でお小遣いを使おうとすると、
佐藤「罪悪感が伝わってくる。何か隠してる?」
田中「バレた…」
逆に、佐藤がサプライズを企画しようとすると、
田中「なんかわくわくする。何かあるの?」
佐藤「サプライズにならない」
田中「量子ネタバレだ」
医学検査
心配になって医学検査を受ける夫婦。
医師「脳波が完全に同期してますね」
田中「異常ですか?」
医師「医学的には不明です。でも健康状態は良好」
佐藤「副作用はありますか?」
医師「むしろ夫婦関係は改善されるかもしれません」
田中「なぜ?」
医師「完全に相手の気持ちがわかるから、思いやりが深くなります」
佐藤「確かに喧嘩できない」
量子離婚の危機
でも、だんだん息苦しさを感じる夫婦。
田中「個性がなくなってきた」
佐藤「同じ人格になっていく感じ」
田中「これって自分なのか、君なのか分からない」
佐藤「量子アイデンティティ・クライシスね」
ついに量子離婚を検討。
田中「量子もつれを解除する方法はないかな」
佐藤「でも元に戻れるかしら」
弁護士「量子離婚?初めてのケースです」
弁護士「財産分与はどうします?量子レベルで分割?」
解決策の発見
物理学者に相談すると、意外な解決策が。
物理学者「完全に切断するか、適度な距離を保つかです」
田中「適度な距離?」
物理学者「100メートル以上離れると、もつれ効果が弱くなります」
佐藤「近距離もつれなのね」
実験すると、確かに100メートル離れると同期現象が弱くなる。
田中「程よい繋がりだ」
佐藤「適度な夫婦関係ね」
新しい夫婦関係
量子もつれ夫婦として新しい関係を築く2人。
100メートル以内:完全同期モード
100メートル以上:独立モード
田中「使い分けできるようになった」
佐藤「一緒にいる時は完全に繋がって、別々の時は個人の時間」
これが理想的な夫婦関係として話題に。
テレビ出演「量子もつれ夫婦の秘訣は?」
田中「距離感です」
佐藤「物理的にも精神的にも」
司会者「量子夫婦学ですね」
オチ
1年後、夫婦の元に研究所から連絡が。
研究員「実は、量子もつれ装置、故障してました」
夫婦「え?」
研究員「本当の量子もつれは起きてなかったんです」
田中「じゃあ、僕たちの現象は?」
研究員「プラセボ効果だと思われます」
佐藤「思い込み?」
研究員「でも効果は本物でしたよね」
確かに、夫婦関係は改善されている。
田中「量子もつれじゃなくても、心は繋がってた」
佐藤「愛のもつれだったのね」
研究員「科学的には説明できませんが…」
でも、その時本物の量子もつれ装置が完成。
研究員「今度は本物で実験しませんか?」
夫婦「「遠慮します」」
研究員「なぜ?」
田中「偽物の方が良い関係だった」
佐藤「真実より大切なものがある」
研究員「愛は量子を超えるってことですか?」
夫婦「「そういうこと」」
でも、近所の独身男性が興味を示して、
独身男性「僕も量子もつれで恋人作れませんか?」
研究員「相手が必要ですが…」
独身男性「量子もつれ相手募集中って婚活サイトに書きます」
田中「時代の最先端婚活だ」
佐藤「でも相手がいないと成立しないわよ」
独身男性「一人量子もつれはできませんか?」
研究員「それは量子自己完結?新しい概念ですね」
夫婦「「一人でもつれるって寂しすぎる」」
まとめ
というわけで、科学技術も大切ですが、夫婦の愛情はもっと大切という話でした。
本物の量子もつれじゃなくても、心が繋がっていれば十分なのかもしれません。
ただし、一人量子もつれは、さすがに物理学でも解明できなさそうですが。


