【AI落語】令和クラブハウスばあさん(新作落語)
令和に入って、また新しいSNSが登場しましたねぇ。
今度は音声だけでやり取りする「Clubhouse」ってやつ。若い人たちがスマホに向かって喋りまくってる姿は、なかなか面白い光景です。
まくら
昔なら井戸端会議、今はClubhouse。
おしゃべり好きは時代を問わないってことでしょうか。でも、音声だけのSNSにおばあさんが参加したら、どうなるか…
本編
東京下町に住む田中サト子おばあさん(78歳)。
孫の大学生、ユウタに勧められてClubhouseを始めることになりました。
ユウタ「おばあちゃん、これ面白いよ」
サト子「音だけで話すの?電話じゃダメなの?」
ユウタ「違うんだ。世界中の人と話せるんだよ」
サト子「世界中?国際電話は高いでしょ」
ユウタ「無料だよ」
サト子「無料?詐欺じゃない?」
初参加
ユウタに設定してもらって、初めてのルーム参加。
『起業家が語る成功の秘訣』というルームに入室。
司会者「では次の方、お話しください」
サト子「あ、はい。田中サト子です」
司会者「田中さん、どちらの会社を経営されているんですか?」
サト子「会社?専業主婦です」
司会者「専業主婦…業?」
サト子「はい。50年やってます」
参加者たち「(50年のキャリア!?)」
サト子「従業員は夫一人ですけど、毎日文句ばかり言って困ります」
司会者「従業員管理が大変なんですね」
サト子「そうなんです。ボーナスも出さないし、昇格もしないし」
投資ルーム参加
次に参加したのは『仮想通貨投資術』のルーム。
投資家「ビットコインの将来性について語り合いましょう」
サト子「私、仮想って言葉が嫌いなんです」
投資家「え?」
サト子「実体がないものは信用できません。やっぱり現金が一番」
投資家「でも、これからは仮想通貨の時代で…」
サト子「昔、架空請求に騙されそうになったことがあるんです」
投資家「それとは違いますよ」
サト子「同じようなもんでしょ?見えないお金なんて」
参加者「(おばあちゃん、正論すぎる)」
恋愛相談ルーム
今度は『恋愛相談ルーム』に参加。
相談者(20代男性)「彼女が冷たくて…」
サト子「あら、何歳の方?」
相談者「25歳です」
サト子「まだお子ちゃまね。女性の気持ちがわかってない」
相談者「え…」
サト子「いい?女性はね、気遣いが欲しいの。毎日お疲れさまって言いなさい」
相談者「でも僕、働いてないので…」
サト子「働きなさい!25歳で無職って何やってるの!」
パチパチパチ(拍手の絵文字が画面に)
司会者「田中おばあちゃん、的確なアドバイスですね」
サト子「当たり前よ。人生の先輩なんだから」
料理ルーム
『簡単料理レシピ』のルームでは、
料理研究家「時短料理のコツを教えてください」
サト子「時短?何それ」
料理研究家「時間を短縮する調理法です」
サト子「料理に手抜きはダメよ。愛情込めて作らなきゃ」
参加者「でも忙しくて…」
サト子「私の時代はかまどで炊飯してたのよ。電子レンジなんてなかった」
料理研究家「かまど…」
サト子「でも、その方が美味しかったわ。今の若い子は便利すぎて、料理の基本がわかってない」
参加者「おばあちゃんのレシピ教えて」
サト子「いいわよ。まず薪割りから始めましょうか」
参加者「(薪割りから!?)」
人気者になる
気がつくと、サト子おばあさんの発言がClubhouseで話題に。
『田中おばあちゃんの人生相談』という専用ルームまで作られて、
司会者「今日も田中おばあちゃんをお呼びしました」
サト子「あら、専用番組なの?まるでラジオの人生相談みたい」
相談者A「仕事で悩んでます」
サト子「逃げちゃダメよ。私の時代は石の上にも三年って言ったもんです」
相談者B「恋人と別れそうです」
サト子「話し合いなさい。黙っていてはわからないもの」
毎回、シンプルで的確なアドバイス。
参加者「おばあちゃんの言葉、心に刺さります」
メディア出演
ついには、テレビ番組からも取材が。
レポーター「Clubhouseで人気のおばあちゃんですが」
サト子「人気なの?よくわからないけど、みんな話を聞いてくれるから嬉しいわ」
レポーター「秘訣は何ですか?」
サト子「秘訣?当たり前のことを言ってるだけよ」
レポーター「当たり前のこと?」
サト子「挨拶して、お礼を言って、謝る時は謝る。それだけ」
レポーター「シンプルですね」
サト子「でも、それができない人が多いのよ、最近は」
オチ
ある日、孫のユウタが訪ねてきました。
ユウタ「おばあちゃん、Clubhouseやめたんだって?」
サト子「ええ、飽きちゃったの」
ユウタ「人気だったのに、なんで?」
サト子「だってね、画面の向こうの人たちより、目の前のユウタの方が大事じゃない」
ユウタ「おばあちゃん…」
サト子「それに、近所のおばさんたちとの井戸端会議の方が楽しいのよ」
ユウタ「井戸端会議?」
サト子「そうよ。顔が見えるから安心するの。Clubhouseは音だけでしょ?やっぱり人と人は会って話さなきゃ」
ユウタ「おばあちゃん、それって対面コミュニケーションの重要性を説いてるよね」
サト子「難しいこと言わないで。当たり前のことよ」
でも近所では、サト子おばあさんは『Clubhouseの先生』として有名に。
近所のおばさん「サトちゃん、今度SNSの使い方教えて」
サト子「井戸端会議で十分でしょ」
まとめ
というわけで、どんなに技術が進歩しても、基本は人と人との繋がりという話でした。
新しいSNSも楽しいですが、たまには直接会って話すのも大切ですね。
ただし、78歳でClubhouseデビューするおばあちゃんのパワーには脱帽です。


